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アマノ文筆クラブ 『エクレア食べたい』

「エクレア食べたいなー。誰か買ってきてくんないかなー」
職場にて。
課長が聞こえよがしにそんなことを言う。
自分で行けっての。
「エクレアって美味いんだよなー。急に食べたくなっちゃったなー」
知らんって。
下のコンビニ行ってこいって。
普通に売ってるのか知らんけど。
「なあなあ、誰かコンビニ行きたい奴いないの?エクレア食べたい奴は?」
それはお前だろ。さっさと行ってこいっての。
「あ、そーだ。来月、業績評価の面接やるから。皆、資料用意しといてね」

社員の間に、お互いの顔色を伺う空気が張り詰める。
エクレアと昇進?
いやいや、天秤にかけるまでもない。
だが、今ここで手を挙げるのはさすがに……あからさま過ぎないか。

「あ、私、ちょうどタバコ買いに行こうかと思ってたところで。行ってきましょうか?」
同僚の佐々木が立ち上がる。
おい待て。裏切るのかお前。
一緒にてっぺん取ろうって約束しなかったか?
……しなかったな。
「そうか。行ってくれるか、佐々木。よし、じゃあな、エクレア18人分、コンビニで無理だったら近くの洋菓子店を探してくれ。今月は皆が頑張ってくれて、業績が絶好調なんだ。そのご褒美に俺からの奢りだ。まあ、佐々木は俺から見てもタバコ休憩が長すぎて、他の皆より一歩遅れを取ってたからな。お前も引け目を感じて手を挙げてくれたんじゃないのか?」

課長の長ゼリフの後の沈黙。
そして、すごすごと職場を出ていく佐々木。
改めて、ウチの課長は鬼だと知った。
……いや、部下の頑張りを評価してご馳走までしてくれる、素晴らしい上司なのか?
いずれにせよ、次の使いっ走りにならないように頑張るしかない。
佐々木にもそう伝えよう。

今はただ、ご褒美のエクレアが待ち遠しい。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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