アマノ文筆クラブ 『ラーメン食べたい』
昼下がり。
休日の午後は、君と他愛のない話をする。
「腹減ったな」
「いやいや、お昼食べたばっかでしょ」
「もう二時間前だよ。そろそろ空き始めるよ」
「いや早いって」
「夕飯何時頃にする?」
「えー、七時頃でいいんじゃない?」
「えー、あと五時間もあんじゃん」
「普通だって」
「じゃあさ、せめて何食べるか、俺に決めさせてよ」
「別にいいけど……私がNGなのは勘弁してね」
「NGって……たとえば何?」
「んー、あんまり好き嫌いないけど、なんか今夜はラーメンとかの気分じゃないな」
「えー、なんでだよ」
「え?ラーメン食べたいの?」
「そーゆーわけじゃないけど、一番身近にあってさ、日本人のソウルフードじゃん。それを真っ先に否定されちゃうと……」
「否定してるわけじゃないけどさ、確か最近も食べなかったっけ?ラーメン」
「えー、そんなの関係ないって。美味しいんだから」
「結局、食べたいのね」
「まあ、そうかも。ラーメンいいかも」
「じゃあ、ラーメンにしようか。どこのお店にする?」
「……え?お店?」
「え?もしかして……家で作るの?」
「ラーメン、作れるでしょ?手伝うよ」
「作れるけど……お店の方が美味しいんじゃ……」
「そんなことない。僕は君と作ったラーメンが食べたい」
「そう……なの?」
夕暮れが近付き、君がキッチンに入る。
僕も続いて入ろうとするけど、君に何故か入室拒否される。
「私のラーメンにはね、秘伝の仕込みがあるの。そこは見せたくない」
「なんだよ、それ。鶴の恩返しじゃないんだから」
「見られたら、不貞腐れて実家に帰っちゃうかもよ」
「月じゃないんだ」
「当たり前でしょ。私は地球人」
途中でキッチンに呼ばれ、そこからは二人の共同作業。
もうすでに、秘伝の仕込みがなされているスープに、僕が茹でた麺を加え、ハムや煮卵、メンマやネギを切って乗せて完成。
時刻は夜の七時半。
僕のお腹は限界を迎えようとしていた。
食卓に、二つの丼が置かれ、僕達は向かい合って座る。
「どう?これで満足した?」
「いやいや、まだ食べてないって。満足どころか、もはや飢餓状態だよ。早く食べよ」
「ちょっとぉー、作ってくれた人への感謝の意はどーしたのよ」
「俺も作ったじゃん。最初んところは君が混ぜてくれなかったんじゃん」
「そゆこと言っちゃう?私の秘伝の味を軽んじてない?」
「秘伝の味って、昆布だしでしょ?この前君がYouTubeで見てたの知ってるよ」
「……マジか。秘伝じゃなくなっちゃったじゃん」
「世界中の人が見れるんだよ、YouTubeは」
君と声を合わせて、「いただきます」
やっぱり、ラーメンは美味しい。
君の秘伝の仕込みのおかげか、それとも、目の前に君がいるからかな。
そんなこと、調子乗るから言わないけど。
今日もひとつ、願いが叶った。
そんな僕達の休日の過ごし方。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
