アマノ文筆クラブ 『売り物ですから』
店長の発注ミスで、大量のカボチャを仕入れてしまった。
「店長、どーします?うちのスーパーだけじゃ捌ききれませんよ、これ」
「もう、しょうがない。バイトの皆で持って帰っていいよ」
「でも…売り物ですから、お金は払いますよ」
「いや、いいって。私のミスなんだから。その代わり、食べ終わった後で、ちょっと手を貸して」
来月はハロウィンだ。
例年、それに合わせた店内の飾り付けをするが、今年はカボチャマスク多め。
バイトの皆がそれぞれいくつも持ち帰って、家族や友達や近所の人達に配り、オリジナルのマスク作りを依頼した。
それが今、店内のいたるところに飾られている。
お店には連日、自分達が作ったマスクが飾られているのを一目見ようと、いつもよりたくさんのお客さんがやって来る。
売り上げも上昇中。
発注ミスが、この季節にカボチャで良かったよ。
店長は言う。
ズッキーニだったら、如何ともしがたい。
そう言って笑う。
僕は、店長の策略にうまく乗せられたんじゃないかと睨んでいる。
カボチャマスク、作るの結構大変だったからね。
カボチャ一個の値段じゃ割に合わないほど。
まあでも、この店の盛況振り。
そして、自分達が作ったマスクを探してお店を巡る、お客さん達の楽しそうな笑顔。
悪い気はしない。
来年も店長、発注ミスしないかな…するだろうな。
