シロクマ文芸部 『晴れた日に』
晴れた日に、大空の下で深呼吸。
自分ってちっぽけだなーって、再認識。
この大空はどこまでも広がっていて、世界中の人々を包み込んでいる。
それは澄んだ青だけではなく、黒や灰色や真っ赤に染まることもある。
見上げれば、巨大なキャンバス。
ポッカリと浮かぶ白い雲。
どれひとつとして、人間の手が加えられていない、あるがままの空。
そんな空の下で、殺し合いが始まる。
ちっぽけな人間達が強大な兵器を作り上げ、澄んだ青空に向けてミサイルを放つ。
空のキャンバスに軌跡を描いて、違う言語を話す人々が住む国へと。
通訳がいたって伝わらない、双方の想い。
ミサイルではなく愛を伝えることなど、夢物語。
大空に包まれた私達の穏やかな暮らしを、一瞬にして奪い去る悪魔が青空を横切ってゆく。
だから今日は、昼下がりのカフェで平和な日常を満喫する。
なんて贅沢な時間だろう。
道を誤る手前のほんのひとときの安寧かもしれない。
そうだとしても、今を享受する以外に我々の防衛手段など存在しない。
ちっぽけな人間達が作り出した強大な兵器を前に、我々に出来ることなど。
だから今日は、大空の下で深呼吸。
今この時を幸せとして受け止めよう。
次の瞬間には様変わりするかもしれない現実を見据え、そうでない今があることに感謝して、ほんの少しの祈りと覚悟を持って。
晴れた日に、家族で公園を散歩する。
「あ、見て。飛行機雲」
「ホントだ。ずいぶん長く続いてるな」
「なんか、青いキャンバスに白い筆で線を引いたみたいだね」
「確かに。デッカイ筆だよな。何百人もの乗客を乗せてさ」
「皆、どこへ行くのかな?海外?アメリカとか?」
「いや、あれは国内線だから、沖縄とかじゃないのかな」
「沖縄かー行きたいねー。ソーキそば食べて、青い海で泳いでさー」
「そのうち必ず、家族で行こうよ。子供達にも、綺麗な海を見せてあげたい」
「そうだね。ずっと、綺麗な海のままでいて欲しいね。子供達と楽しく遊べるような……」
「……どうしたの?泣いてるの?」
「えっ?ああ、どうしたのかな。青い空を見上げてたら、なんとなく……」
「大丈夫だよ、俺達は」
「大丈夫かな、私達」
この大空に包まれている限り、幸せは繋がっていくように、思えた。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
