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アマノ文筆クラブ 『投げやりな恋』

夢の中で君に会った。
優しい笑顔で迎え入れてくれた。
君の部屋。
何故か懐かしい。
初めて来たはずなのに。
…そうか。
前にも夢で来たことがあったな。
僕はいつも、君の夢ばかり見てるから。

そうだ。
夢の中で、君は僕の恋人。
目覚めたら、忘れてしまうことも多い。
だけど、もう何回も君とデートしてる。
一緒に食事をして、映画を観て、君の部屋に泊まって。
現実では起こり得ないことを、ずっと夢の中で体験してるんだ。

思ったんだけど、それならば、僕は君と付き合ってるということにならないかな。
夢の中で。
夢を見ている間は、それが現実だとしか思えない。
君は僕の隣で笑って、怒って、時に悩んだりもして。
そんな、たくさんの君を知ってる。
恋人同士じゃなけりゃ、知り得ないようなことも。

分かってるよ。投げやりな恋だって。
独りよがりの、妄想としか呼べないようなものだって。
でもね、もうこれ以上、心を砕かれるのは嫌なんだ。
大好きな君が、目の前でアイツと寄り添って歩くのをただ見せられるだけの日々。
アイツから君との温泉旅行の話を聞かされて、心が悲鳴を上げている。

君はこの世界に一人しかいないから。
アイツから奪い去ることも考えるけど、勝ち目のない勝負だという思いも捨てきれない。
アイツに寄り添う君の幸せそうな笑顔。
じゃあさ、じゃあ、僕の隣にいてくれるのは、夢の中の君でいいよ。
それくらいのワガママは、許してくれないかな。
どんな夢を見るのも、それは僕の自由じゃないかな。

時折、考える。
僕の夢の中に出てくる君は、僕の脳が作り出した君であって、それはつまるところ、僕そのものなんじゃないかと。
君が甘えてくる仕草も、微笑みかけてくれる優しさも、ちょっと拗ねた態度も、落ち込んで俯いた時の哀愁も、
すべては僕の想像の産物。
そこに本当の君はいない。僕は僕に恋してる?

それでもいいよ。
もう、どうだっていい。
この僕の投げやりな恋に奇跡が起こるのなら、すべての夢を忘れずに思い出として残したい。
僕と君が付き合っていた証に。
ああ、キモいとでも何とでも言ってくれ。
周りがどう言おうと、夢の中の君は決して僕をバカにしたりしないから。
僕の思うがままだから。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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