風まかせ文芸部 『瞳』
目は口ほどに物を言う、わけで、君に見つめられて最初に思ったのは、「私の邪魔をしないで」だった。
慌てて身を引くと、「なんで?」みたいな表情になる。
どうすりゃいいんだよ。
「邪魔しないように手伝ってよ」
おお、合ってた。
合ってたので、素直に従って、君を手伝う。
憧れの先輩とやらに、誕生日プレゼントを渡したいらしい。
その先輩の帰り道で、待ち伏せして突撃。
突撃している間、他の女の子が割り込んでこないようにストッパーとなるのが僕の役目。
先輩はそんなにモテるのか。
ホント、世の中って不公平。
結果、先輩は姿を現したが、付き合っている彼女と一緒だった。
君はプレゼントを渡しそびれる。
たぶん、あのプレゼントは手編みのマフラーだ。
今時ずいぶん古風な…と思うが、君の趣味と実益を兼ねて、編み物はかなりの腕前だもんね。
僕は知ってるよ。
君の瞳に、一粒の涙。
あんなに希望に燃えていたのに。
ま、しょーがないよね。
僕だって君にフラれて落ち込んでるんだから、お互い様だよ。
恋なんて痛い思いするだけの感情だね。
先輩みたいにモテる奴は別として。
ホント、世の中って不公平。
「セーター、せっかく編んだのに、渡せなかったな。……着る?」
残酷すぎる。
絶対に着たくないけど、抗うことも出来ない。
だって、君からのプレゼントを断るなんて、今の僕の選択肢にはない。
「先輩に似合うかなってブルーにしたんだけど、君もブルー、似合いそうだよね」
鬼の所業だね。
ホント、なんで好きになったのか、自分を問いただしたい。
きっと、その瞳で見つめられたから。
口ほどに物を言う、その瞳で。
おかげで、痛い思いするだけの感情に振り回されているわけだ。
ホント、世の中って不公平。
でも、ブルーは好きな色だからもらっとく。
こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。
