収穫量だけで一喜一憂しない理由

# 収穫量だけを見ていても、トマトの状態はわからない


トマトを栽培していると、どうしても収穫量が気になります。


今日は何コンテナ採れたのか。  

昨日より多いのか、少ないのか。  

去年の同じ時期と比べてどうなのか。


収穫量は、農家にとってとても大事な数字です。


売上にも直結しますし、作業の忙しさにも関わります。自分も毎日の作業日誌で、ハウスごとの収穫量はかなり気にして見ています。


でも最近、収穫量だけを見ていても、トマトの本当の状態はわからないと感じることが増えました。


今たくさん採れているから、今後も安心とは限りません。


反対に、今の収穫量が少ないからといって、この先も悪いとは限りません。


収穫量は大事な数字ですが、それはあくまで「今までの結果」です。


これから先の収穫を見るには、今採れている量だけではなく、次の果実や芯の状態を見ないといけないのだと思っています。


## 収穫量は、今までの管理の結果


収穫量を見ると、その日のハウスの良し悪しを判断したくなります。


たくさん採れた日は、うまくいっているように感じます。  

少ない日は、少し不安になります。


でも、今日採れているトマトは、今日だけでできたものではありません。


それまでの灌水、肥料、温度管理、葉かき、日射量、樹の状態。そういうものが積み重なって、今の収穫量として出てきています。


つまり、今日の収穫量は「過去の管理の結果」に近いものです。


もちろん、その結果を見ることは大事です。


ただ、今日の収穫量だけを見て、これから先の状態まで判断するのは少し危ない気がしています。


今たくさん採れていても、その後に太ってくる果実が少なかったり、芯が弱っていたりすれば、先の収穫は落ちるかもしれません。


逆に、今はあまり採れていなくても、次の果実が揃っていて、芯がしっかりしていれば、これから持ち直してくる可能性もあります。


収穫量は結果として見る。


そのうえで、次を考えるときは、今の樹がどこに向かっているのかを見る。


この切り分けが大事なのかもしれません。


## 次の収穫を見るには、果実の大きさを見る


これから先の収穫を考えるとき、自分が見るのは次の段の果実です。


果実の大きさ。  

玉の張り。  

成長の揃い方。


これから太ってくる果実に力があるかどうかを見ます。


順調に大きくなりそうな果実は、玉に張りがあるように見えます。段ごとの果実の大きさも、ある程度そろって見えます。


反対に、玉が小さかったり、張りが弱かったり、段の中で大きさにばらつきがあると、少し気になります。


果実の肥大には、光合成で作られるエネルギーが関わっています。


葉で光を受けて、作られたエネルギーが果実に回る。その流れがうまくいっていれば、次の果実も太ってくるはずです。


だから、今の収穫量だけでなく、次の果実に光が当たっているか、果実を太らせるだけの力が樹に残っているかを見たいと思っています。


前回、ハウスの雰囲気を見るときに、果実に光が届いているかを見ていると書きました。


今回の話も、そこにつながっています。


収穫量を見るだけでは、次の果実にエネルギーが回っているかまでは見えません。


だから、果実の大きさや張り、光の入り方を合わせて見る必要があるのだと思います。


## たくさん採れていても、不安なときがある


収穫量が多い日は、普通に考えれば良い日です。


でも、収穫量が多いからといって、必ずしも安心できるわけではありません。


たとえば、今採れている玉がかなり肥大していて、収穫量は出ている。


でも、芯を見ると細い。  

生長点の色が淡い。  

次に向かう力が弱そうに見える。


そういう状態だと、今は採れていても、この先が少し心配になります。


今採れている玉が大きいということは、それだけ樹に負担がかかっている可能性もあります。


果実を太らせるためには光合成のエネルギーが必要で、果実に力が取られすぎると、芯や次の果実にうまく回らなくなることがあります。この「果実がかかることで生じる負担」を、自分は着果負担と呼んでいます。


もちろん、玉が大きいこと自体が悪いわけではありません。


ただ、その裏で芯が弱っていないか。  

次の果実が揃っているか。  

樹の先端に力が残っているか。


そこを見ておかないと、収穫量だけで「良い状態」と思い込んでしまうことがあります。


自分の中では、芯が細く、色が淡いときは少し注意して見ています。


樹が無理をして進んでいるのか。  

着果負担が強くなりすぎていないか。  

次の果実に力を回せる状態なのか。


そういうことを考えるきっかけになります。


## 芯が弱いときは、着果負担を考える


芯が弱いと感じたとき、自分はまず着果負担を考えます。


果実を太らせるにはエネルギーが必要です。


その負担が大きくなりすぎると、芯の動きが弱くなったり、次の果実に力が回りにくくなったりするのではないかと見ています。


そのときに考える対応のひとつが、葉かきです。


果実に光が当たっていなければ、光が入るように葉を整理する。葉が多くて果実が隠れているなら、果実に光が届く状態を作る。


葉を取ればいいという単純な話ではありません。


でも、果実に光が入らないままだと、果実を太らせるためのエネルギーがうまく回りにくくなる気がします。


だから、葉の枚数や位置を見ながら、どこまで葉かきを進めるかを考えます。


もうひとつ見るのが温度管理です。


芯が細いまま進んでいるときは、昼間と夜の温度差を少なくすることも考えます。


昼夜の温度差が大きすぎると、樹が無理に進んでいるように見えることがあります。


そのときは、温度のかけ方を少し見直して、樹全体のバランスを整える方向で考えます。


着果負担、光の入り方、温度の流れ——このあたりの関係は、まだ自分の中で観察を続けているところです。だからこそ、今日見えたことをここに書き残しておくことに意味があると思っています。


## 収穫量が少なくても、期待できる状態もある


反対に、収穫量が少ない日でも、そこまで悪くないと感じることがあります。


たとえば、芯がバランスよく展開している。  

着いている玉がそろっている。  

次の果実に張りがある。  

ハウス全体に、次へ向かう力が残っている。


こういう状態なら、今日の収穫量が少なくても、今後に期待できると思えます。


もちろん、収穫量が少ないことは気になります。


でも、今の数字だけを見て落ち込みすぎると、次に向けた判断を見失うことがあります。


大事なのは、今採れている量と、これから採れてくるものを分けて見ることなのだと思います。


今日の収穫量は、今までの結果。


次の果実や芯の状態は、これから先の収穫のサイン。


このふたつを同じものとして見てしまうと、ハウスの状態を見誤ることがある気がします。


## 一喜一憂しないために、見る場所を増やす


収穫量は、数字としてはっきり出ます。


だから、どうしても気持ちが動きます。


多ければうれしい。  

少なければ不安になる。


これは自然なことだと思います。


ただ、毎日の収穫量だけで一喜一憂していると、判断がその日の数字に引っ張られすぎてしまいます。


トマト栽培は、日々の積み上げで将来の収穫量が変わっていきます。


今日の収穫量だけではなく、次の果実、芯の状態、着果負担、光の当たり方を見る。


そうすると、今の数字に振り回されるだけではなく、次に何を見るべきかが少しわかりやすくなります。


自分もまだ、毎日の収穫量に気持ちが動きます。


でも、数字だけを見て終わらせずに、


「次の果実はどうか」  

「芯は弱っていないか」  

「果実に光は入っているか」  

「着果負担が強くなりすぎていないか」


そういう問いを持ってハウスを見るようにしたいと思っています。


## 未来の収穫は、今日の観察から作られる


収穫量は大事です。


でも、それだけではトマトの状態は見えません。


今たくさん採れているから安心とは限らない。  

今少ないから、この先も悪いとは限らない。


大事なのは、今採れている量を結果として受け止めながら、次の果実と芯の状態を見ることだと思っています。


トマト栽培は、今日の判断がすぐに今日の収穫量に出るわけではありません。


今日見た芯の状態。  

今日見た果実の張り。  

今日進めた葉かき。  

今日調整した温度。


そういうものが、少し先の収穫につながっていきます。


だからこそ、今日の収穫量だけで一喜一憂しすぎない。


収穫量は結果として見る。  

次の果実と芯は、未来のサインとして見る。


今の自分は、そんなふうにハウスを見るようにしたいと思っています。


来年の自分が同じように収穫量を見て迷ったとき、そして同じような悩みを持つ誰かに、この感覚が届くといいと思いながら、ここに残しておきます。


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