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「強ければ良いわけではない。トマトの草勢を『季節の変わり目』で考える」

トマト栽培では、「草勢が強い」「草勢が弱い」という言い方をよくします。

結論から言えば、自分が見るのは芯です。ただし、芯の太さだけで判断するのではなく、その時期に合った強さになっているかを見る。

弱ければ悪い、強ければ良い。そういう見方では、少し足りない気がします。

トマトは長い期間栽培する作物です。暑い時期に植えて、冬の低日射期を通り、春先の強い日射にも向かっていきます。その時期ごとに、必要な草勢は変わります。

だから大事なのは、今の時期に合った芯の強さになっているかどうか。そして、次に来る季節に耐えられる状態を作れているかどうかだと思っています。

草勢を見るとき、まず芯を見る

草勢を見るとき、自分がまず見るのは芯です。

芯の太さ。
芯の色。
成長点の動き。
葉の大きさ。
節間の詰まり方。

こういうところを見ています。

ただし、同じ芯の太さでも、時期によって意味が変わります。8月に定植したばかりの時期、年内に向かう時期、冬の低日射期、春先の日射が強くなる時期。それぞれで、ちょうどいい芯の状態は違います。

だから、芯が太いから良い、細いから悪いとすぐに判断するのではなく、その時期に合っているかを見たいと思っています。

年内までは、強くしすぎない

自分の作型では、8月に定植します。

そこから収穫が始まる年内までは、草勢を強くしすぎないことを意識しています。

この時期に芯が太すぎると、木ぼけしやすいと感じています。木ぼけというのは、ざっくり言えば、葉や茎の勢いが強くなりすぎて、果実とのバランスが崩れてしまう状態です。

そのまま冬の低日射期に入っていくと、光が少ない中で大きな葉を抱えることになります。そうなると、後の管理が重くなりやすい気がします。

だから年内までは、葉の大きさを少し抑えながら、強くしすぎないように見ています。

この時期は「勢いを出す」よりも、「冬に入る前にバランスを崩さない」ことを大事にしている感じです。

芯が細く徒長気味なときは、DIFを見る

草勢が弱いと感じるのは、芯が細く、節間が徒長気味に見えるときです。

徒長というのは、茎や節間が間延びして伸びているような状態です。ただ伸びているから強いわけではありません。細く、間延びして、葉色も薄い。そういう状態は、草勢があるというより、弱く伸びてしまっているように見えます。

こういうとき、自分は温度の流れを考えます。

特に見るのは、昼間の平均温度と夜間の平均温度の差です。この昼夜の温度差を、DIFと呼びます。

DIFが大きくなりすぎると、芯が細く伸びやすくなるように感じています。昼間が高く、夜が低い。その差が大きいと、樹が伸びる方向に進みやすい。

だから、芯が細く徒長気味のときは、DIFを少なくすることを考えます。

昼間の温度を上げすぎない。
夜間の温度を少し上げる。
昼と夜の温度差をなだらかにする。

草勢が弱く見えると、肥料や水で押したくなることがあります。でも、肥料や水だけで見るのではなく、温度の流れを整えることも大事だと思っています。

調整したあとに確認するのは、芯の太さと節間の詰まり方です。細く間延びしていた芯が太さと色を取り戻し、節間が締まり、葉に力が出てくる。そういう変化が見えると、草勢が少し戻ってきたと感じます。

一日で急に変わるものではないので、昨日よりどうか、先週よりどうかを毎日少しずつ見ています。

春先に向けては、芯を強くしていく

冬の低日射期を抜けて春先に向かう時期は、見方が変わります。

春先は日射が強くなる一方、夜はまだ下がりやすい。そうすると、昼夜の温度差、つまりDIFが大きくなりやすい時期です。そのままにしておくと、芯が細く進みやすくなります。

だから春先に向けては、夜温を意識的に少し上げてDIFをなだらかにしながら、必要であれば肥料も少し多めにして、芯の強さを維持することを考えます。

同じ「芯が太い」という状態でも、年内と春先では意味が違います。

年内に太すぎると重く見える。
春先に細すぎると頼りなく見える。

強い日射に向けて、芯と葉が耐えられる状態を作る。それが春先の草勢管理だと思っています。

強すぎるときは、葉かきで調整する

反対に、草勢が強すぎると感じることもあります。

そういうときは、葉かきを増やしてみることがあります。

葉を取ることで葉量を調整できます。葉量が変われば蒸散も変わり、光の入り方も変わり、果実へのエネルギーの回り方も変わるはずです。

葉かきは、ただ葉を減らす作業ではありません。樹の勢い、光の入り方、果実とのバランスを整えるための作業でもあると思っています。

草勢が強すぎるときに、葉かきで少し軽くする。これも、自分の中では草勢を整えるひとつの方法です。

草勢は、今と次の季節をつなげて見る

草勢を見るとき、今だけを見ていると判断が難しくなります。

トマトは長期栽培です。今の状態が、次の季節にどうつながるのかを見る必要があります。

年内は強くしすぎない。
冬を抜けて春先に向かうときは、強い日射に耐えられる芯を作る。
細く徒長しているときは、DIFを見て温度を整える。
強すぎるときは、葉かきで軽くする。

草勢管理は「強い・弱い」だけではなく、「今どの時期で、次に何が来るのか」を見ることなのだと思います。

来年の自分へのメモとして

迷ったら、芯を見る。そして、今がどの時期かを考える。

それが今の自分の出発点です。

芯が細く徒長気味なら温度の流れを見直す。強すぎるなら葉かきで軽くする。その先に何の季節が来るかを考えながら、今の草勢を整える。

草勢は強ければいいわけでも、弱ければすべて悪いわけでもない。今の時期に合った芯の強さと、次の季節に耐えられるバランスを作ること。今は、そんなふうに考えています。

来年また草勢を見て迷ったときに、ここに戻ってこられるように残しておきます。


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