ウチの愛犬に、神様が降臨した日。
コーギー最高。
すみません。
しょっぱなから、世の摂理を
説いてしまいました。
とにかく私は、
大のコーギー好きである。

あの、キツネのような顔も

短い脚や、丸太のような体型も

そして、食パンのようなお尻も、
全てがクリティカルヒットの
オーバーキルなのである。
そんな私が、家族の一員として
コーギーを迎え入れた事は、
もはや、宿命と言ってもいい。

ある夏の日のこと。
私は某SNSの、とある画像に
釘づけになっていた。
それは、可愛いコーギーの

涼し気な、
サマーカットの画像だった。

「・・・では、ムギちゃん(仮名)を
夕方までお預かりしますね。
いつもの感じで大丈夫ですか?」

「あのー。サマーカットって出来ますか?」

「ええ、出来ますよ。お好みの長さは
ありますか?」

「んー。じゃあ、
けっこう短めでお願いします。」
私は物事を、あまり
深く考えない人間であった。
面倒ごとや厄介ごとを
考えること自体が、
何よりも面倒だからである。
なお、その性格は
今も変わっていない。
なので、
とても楽しみにしていた。

『おねえちゃん★』(脳内音声)

『涼しいよ。ありがとう★』(脳内音声)
もう、そんな表情を
想像するだけで

おねえちゃん(飼い主)冥利が
尽きに尽きてしまう。
嗚呼、春はあげぽよ夏はサマー(カット)。
仰げば尊しウチのコ可愛ゆし。
そんな妄想に沈没しているうちに、
光の速さで夕方となり、
インターフォンが鳴った。

「お待たせしました。今日もイイコでしたよ。
さ、ムギちゃん。飼い主さんだよ。」

えっ?

ちょ・・・

アヌ・・・ビス・・・?
アヌビスは、古代エジプト神話に登場する死とミイラ作りの神。ジャッカルの頭を持つ姿で知られている。死者の魂を冥界へ導く「案内人」として尊ばれ、心臓の重さを計る審判の場にも関わる神。守護と導きの象徴とされている。

『・・・ただいま』(脳内音声)

嫌アアアァァァァァ!!!!!
確かに紛れもなく、
間違いなく正真正銘の
うちのムギちゃんではあるが。
人相変わってる。いや、犬相か。
そんな事、もはやどうでもいいほど
変わってる。
あろうことか、ムギちゃんは
極短のサマーカットにされて
しまったのである。
『けっこう短め』
何気なく発したこの言葉と
テキトーな自分を、
心から悔いる変貌っぷり。

「では、有難うございました。
またね、ムギちゃん★」
そう言って、トリマーさんは、
にこやかに帰っていった。
アヌビスなのに。

心なしか、ムギちゃんも
ゴキゲン斜めである。
というより急カーブ。
そしてどこか、責めるような瞳で
私を見つめてくる。
落ち着いて。
私まだ、冥界に
案内されたくはない。
ホントごめん。ガチでごめん。
そう思いつつ、

気まずいおねえちゃんは、
目を逸らし続ける事しか出来ない。
まずい。非常にまずい。
絶対これ、絆ポイント5くらいは
減っているハズだ。
何か、好物を捧げないと。
ケバブ?コシャリ?フムス?
違う、落ち着け私。
いくら見た目がアヌビスだからって
捧げなくてもいいし、
別に、エジプト料理でなくていい。
ムギちゃんは、リンゴと納豆が好物の
れっきとした、広島生まれの
ジャパニーズ・コーギーだ。
しばらくそうして
重い沈黙が続いた後、
私は、ある事に気づいた。

・・・お尻。
お尻、どうなった???
前述のように、コーギーは
食パンのようにふっくらとした
丸いお尻が特徴である。
よって、コーギーの飼い主は高確率で
コギ尻マニアと言われており、
私とて例外ではない。
私は、ムギちゃんの背後に廻り
そっとお尻を覗いてみた。

ない。
あの、可愛くて丸いお尻が
どこにもない。

まるで、ローストチキンのように
綺麗すぎるほどにトリミングされた、
味気ないお尻と足しかない。
サマーカットなのに、まさかの
メリークリスマス襲来。

私は、泣いた。
ムギちゃんのお尻が、なくなった。
可愛いお尻が、ない。
ムギちゃんのオシリス、ナイル川。
その後、慣れないカットで
少し肌荒れを起こしてしまった
ムギちゃんは、ときおり
薬浴などをしつつ、
二か月後には毛も生え揃い、
コーギーに戻った。
いや、元からしっかり
コーギーだったのだが。
ただ、戻る前のムギちゃんは

大体こんな感じで、
私の守護神と化していた。
・・・もう、本当にごめんなさい。
先日、ムギちゃん(仮)の
数回目の命日を迎えたので、
ふと、懐かしい想い出を
書いてみたくなりました。

見てるかな。
おねえちゃん、
なんとか頑張ってるよ。
天国にいたとしても、
生まれ変わって
別のコになっていたとしても。
愛してるからね。
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物好き・・・とは言いませんし、とっても素直に喜びます。