【ドバイWC】フォーエバーヤング2着、1年ぶりの黒星…昨年3着の雪辱成らず。
世界の頂点を掴み損ねた「絶対王者」の涙と、永遠の挑戦者魂
2026年3月28日(現地時間)、ドバイのメイダン競馬場は熱気に包まれていた。世界最高峰の賞金レース、G1ドバイワールドカップ(ダート2000m、1着賞金約10億8000万円)。日本からただ一頭の出走馬として、圧倒的な期待を背負ったのがフォーエバーヤング(牡5歳、矢作芳人厩舎)だった。
昨年の同レースで3着に敗れた雪辱を果たし、BCクラシック制覇に続くサウジカップ連覇を加えて「世界3冠」を達成する——そんな歴史的偉業が目前に迫っていた。単勝オッズは1倍台前半の圧倒的人気。世界中の競馬ファンが、日本馬の金字塔を夢見た一戦だった。
しかし、結果は無念 Flanders の2着。逃げ切った米国馬マグニチュード(Jose Ortiz騎乗)に1馬身差及ばず、約1年ぶりの黒星を喫した。勝ちタイムは2分04秒38。3着には英国調教馬メイダーンが入った。
永遠の若さを象徴する「フォーエバーヤング」の軌跡
フォーエバーヤングの血統は、父リアルスティール(2016年ドバイターフ優勝)。母系も底力のある血を継ぎ、矢作厩舎の期待を一身に背負ってデビューした。2024年のUAEダービー制覇を皮切りに、海外遠征でその才能を爆発させた。
特に2025年は圧巻だった。
ブリーダーズカップクラシック(G1)優勝:米国ダートの頂点を掴む。
サウジカップ連覇:2026年も勝利し、史上初の同一年中東ダブル制覇へ王手。
JRA年度代表馬、エクリプス賞最優秀古馬ダート牡馬など、国内外のタイトルを総なめ。
通算獲得賞金はすでに巨額。勝利すれば世界歴代最高額更新も現実味を帯びていた。オーナーはサイバーエージェント会長の藤田晋氏。彼の熱い支持と、調教師・騎手の結束が、この馬を「絶対王者」へと押し上げた。
レース前、藤田オーナーはABEMA中継で「勝って帰ってこないと意味がない」と語っていたという。中東情勢が緊迫する中での遠征。馬とスタッフの安全、そして勝利への強い覚悟が、そこにあった。
レースの激闘を振り返る——理想の展開から、鬼門のメイダン砂
ゲートは6番。矢作師が「外枠希望」に近い好枠だった。好スタートを決めたフォーエバーヤングは、坂井瑠星騎手の手綱さばきでスムーズに2番手へ。逃げるマグニチュードをがっちりマークする、理想のポジション。
道中は落ち着いたラップ。サウジカップから中6週というローテーションも、調整は万全に見えた。最終追い切りでは僚馬アメリカンステージと併せ、馬なりで上々の動き。坂井騎手も「上積み十分」と手応えを掴んでいた。
しかし、勝負の3〜4コーナー。
マグニチュードが楽な手応えで加速する一方、フォーエバーヤングは坂井騎手の手が激しく動く。昨年と同じ光景が、再びメイダンの直線に現れた。懸命に追いすがるが、差は詰まらない。最後は1馬身差でゴール。坂井騎手は手綱をしごき続け、馬の限界まで絞り出したはずだ。
矢作師のレース後コメントは重かった。
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