【ベトナム・ホーチミン】地中に築かれた"もうひとつの街"|クチトンネル探訪〈ホーチミン シリーズ③〉
ホーチミン特集、第3弾。
これまで、砂丘(①)と、街と信仰(②)をご紹介してきましたが、
今回は——地面の"下"へ潜ります。
ホーチミンの北西、車で1〜2時間ほど。
クチ(Củ Chi)という町の地中には、
総延長250kmにもおよぶ、巨大な地下トンネル網が広がっています。
ベトナム戦争のさなか、
ここで人々は、地下に"もうひとつの街"を築いて暮らし、戦いました。
見えない罠、破壊された戦車、そして真っ暗な縦穴——
歴史の重みを、全身で感じる一日をご紹介します。

地面にぽっかり空いた、小さな縦穴。
ここから、地下の世界へと潜っていきます。
🕳️ クチトンネルとは
クチトンネルは、ベトナム戦争のとき、
南ベトナム解放民族戦線(通称ベトコン)が、
アメリカ軍とのゲリラ戦のために掘った、地下要塞です。
その総延長は、なんと250km以上。
ただの避難壕ではありません。
司令部、病院、厨房、寝室、井戸まで——
生活のすべてが、地中にありました。
昼は畑を耕す農民が、
夜になると、この地下から現れて戦う。
地上からは、どこに入口があるのかもわからない。
そんな"見えない街"が、アメリカ軍を大いに苦しめたのです。
🌿 見えない入口——巧妙なカモフラージュ
まず驚かされるのが、入口の隠しかた。
案内されなければ、まず気づけません。
地面に空いた、人ひとりがやっと入れるほどの縦穴。
その蓋(ふた)は、落ち葉や草でカモフラージュされていました。
02_隠しトンネルの縦穴入口.jpg
コンクリートで補強された、縦穴の入口。当時はこれが、草や落ち葉で完全に隠されていました。
そして、恐ろしいのが、いたるところに仕掛けられた落とし穴の罠。
草でカモフラージュされた蓋を踏み抜くと——
下には、鋭い竹槍や鉄の棘が。

芝で偽装された、落とし穴の蓋。
うっかり足を踏み入れれば、ひとたまりもありません。
蓋を開けると、底には鋭い槍。こ
うした罠が、そこかしこに潜んでいました。
罠の種類も、実にさまざま。

園内には、当時使われた数々のブービートラップが展示されています。
人の急所を狙う、いずれも凄惨なものばかり。
なかには、回転式のドラムに竹槍を仕込んだ罠まで。

踏むと回転して、落ちた人を槍で挟み込む——ぞっとするような仕掛けです。
💣 戦争の、生々しい遺物
園内には、当時の戦争を物語る遺物が、そのまま残されています。
朽ちて横たわる、破壊されたアメリカ軍の戦車。
06_破壊された米軍戦車.jpg
地雷で撃破された、米軍の戦車。半世紀を経て、静かに朽ちていました。
そして、鹵獲(ろかく)した大砲。

ベトコンが奪った、155mm榴弾砲。
迷彩ネットの下に据えられています。
さらに衝撃的なのが、これ。

不発弾や砲弾の数々。
ベトコンは、こうした"不発の爆弾"を回収し、分解して、
自分たちの武器や罠に作り替えていました。
限られた物資のなかで、あらゆるものを再利用して戦った——
その執念が、伝わってきます。
🕯️ いざ、地下の世界へ
そして、いよいよトンネルの中へ。
観光客が体験できる区間は、
少しだけ広げられているそうですが、それでも、かなり狭い。

ひんやりと暗い、地下の通路。
腰をかがめ、身をよじるようにして進みます。
真っ暗な地中で、身をかがめて進むだけでも、ひと苦労。
ここで、何年も暮らし、戦っていた——
その事実を思うと、言葉が出ませんでした。
🍠 トンネルの"食"——蒸したキャッサバ
見学の途中では、当時、地下の人々が主食にしていた
キャッサバ(タピオカの原料になる芋)の試食も。

ほくほくに蒸したキャッサバを、塩とすりごまのタレで。
素朴な味が、当時の暮らしをしのばせます。
甘みのある、素朴な味わい。
「これだけを食べて、地下で戦い続けた」と聞くと、
その一切れの重みが、ぐっと増します。
🎒 クチトンネルを訪れるコツ
・行き方:ホーチミン市内から、半日ツアーに参加するのが定番。午前・午後の便があります
・服装:トンネル内は土で汚れます。汚れてもいい服・靴がおすすめ。狭い場所が苦手な方は、無理せず地上の見学だけでもOK
・射撃体験:園内には実弾射撃場もあり、AK-47などを撃つ体験ができます(別料金)。かなりの轟音なので、苦手な方はご注意を
・暑さ対策:日差しが強く蒸し暑いので、帽子・水分は必須です
🚗 アクセス・基本情報
・場所:ホーチミン市から北西へ約70km。車でおよそ1.5〜2時間
・まわり方:市内発のツアーが便利。メコンデルタと組み合わせた1日ツアーもあります
・マイル活用:日本各地からホーチミンへは、ANA・JAL・ベトナム航空などの特典航空券が狙えます。ホーチミンを拠点にすれば、こうした歴史の現場にも、気軽に足をのばせます
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※本記事は2026年3月の訪問時の記録です。ツアー内容・施設・料金などは変更される場合があります。最新の情報は、現地ツアー会社などで必ずご確認ください。
