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地域福祉に「VIP戦略」を実装できるか

──お金・物語・当事者性の話

「福祉にお金の話を持ち込むと、どこか居心地が悪い」

これは、現場に長くいる人ほど感じていることかもしれません。
私自身も、ずっとその違和感を抱えながら仕事をしてきました。

けれど最近、ある問いが頭から離れなくなっています。

「お金をどう集めるか」ではなく、
「誰と、どんな関係をつくるか」を設計できているだろうか?



エンタメの世界にある「VIP戦略」

エンタメの世界では、
西野亮廣 さんが語る「VIP戦略」がよく知られています。

それは単に
「高いチケットを売る」
「お金持ちを優遇する」
という話ではありません。

むしろ逆で、
• 高額を支払える人に、きちんと役割を持ってもらう
• そのお金によって、子どもや弱い立場の人を守る
• 結果として、全体が持続可能になる

という循環の設計です。

飛行機にファーストクラスがあるから、
エコノミークラスの価格が抑えられる。

この構造自体は、実はとても公共的です。



これを「地域福祉」に持ち込むと、何が起きるか

ただし、そのまま真似ることはできません。
福祉には、絶対に越えてはいけない倫理ラインがあります。

それは、

困っている人を、マネタイズしない

という一点です。

だから、地域福祉で考えるべきVIPは
「支援を受ける人」ではありません。



福祉における「VIP」とは誰か

私が考える、地域福祉におけるVIPとは、
• 当事者ではない
• でも、無関係ではいられない人
• お金だけでなく、時間や判断力を持っている人

です。

たとえば、
• 地域の中小企業経営者
• 元行政職員、元教員
• 専門職(医療・士業・教育)
• 子育てが一段落した世代

彼らは、
「支援を受けたい」のではなく、
**「意味のある関わりを持ちたい」**と思っていることが多い。

でも、福祉の側が
その「関わりしろ」を用意できていない。



お金の話を、もう一度整理する

ここで一度、正直に言います。

地域福祉は、
善意だけでは回りません。

そして、制度だけでも足りません。

だから必要なのは、
• 利用者からお金を取らない
• 代わりに「関われる人」から、納得の形で支えてもらう

という構造です。

私は、こんな三層構造を考えています。

① 当事者層
• 利用者
• 家族
→ これまで通り、制度と最低限の自己負担

② 共感層
• 月1,000〜3,000円程度
• 活動報告、現場の声、支援の葛藤を共有

③ VIP層(共犯者)
• 年数万円〜数十万円
• プロジェクト初期から関わる
• 「応援」ではなく「一緒に悩む立場」

ここで渡すのは
特権ではなく、当事者性です。



人の心は「成功」ではなく「揺れ」で動く

福祉の現場にいると、
どうしても「成果」を出そうとします。

でも、正直に言うと、
• 支援しても良くならないケース
• 選択が“正解”とは言えない瞬間
• 支援者自身が迷った判断

こうした揺れのほうが、
人の心を強く動かします。

これは、ソーシャルワークでいう
ナラティブ(語り)の力でもあります。

「うまくいった話」よりも、
「迷いながら続けている話」に、人は関わりたくなる。



福祉を「助ける行為」から「関わる文化」へ

この一連の議論で、
私がいちばん大事だと思っていることがあります。

それは、

福祉を、
誰かが一方的に“助けるもの”にしない

ということです。
• 悩む人がいて
• 揺れる支援者がいて
• 関わりたいと思う人がいて

その全員が、
少しずつ当事者になれる構造をつくる。

それが、
地域福祉における「VIP戦略」の本質だと思っています。



おわりに

これは、まだ構想段階です。
実験も、失敗も、これからたくさんあるでしょう。

でも、

「誰と、この地域を続けていくのか」

この問いから目を逸らさないことが、
これからの福祉には必要だと感じています。

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