モチベーションを奪う「ディスカレッジ」とは?マネジメントにおける感謝の力
もうすぐ評価面談の時期ですね。
マネージャーの皆様は、メンバーの半年や1年の頑張りを振り返り、フィードバックの準備を進めている頃かと思います。
しかし、単なる成果の査定や「ダメ出し」だけで終わらせず、次期に向けた動機づけがしっかりできているでしょうか?
面談や日々のコミュニケーションにおいて、良かれと思ったアドバイスが、知らず知らずのうちに相手のやる気を削ぐ「ディスカレッジ」になってしまうことは珍しくありません。
では、どうすればメンバーの心に火をつけ、前向きな行動を引き出せるのでしょうか。
そのカギは、実はとても身近な「感謝」に隠されています。
今回は、代表の鹿内が、自身の過去の「マッチョなマネジメント体験」も交えながら、モチベーションを高めるエンカレッジの重要性と、明日から使える実践的なアプローチについて語ります。
次期に向けてチームの士気を高めたいリーダーさん、必見の内容です。

あなたはチームメンバーに対して、日頃どれくらい「感謝」を伝えていますか?
「業務なんだから、やって当たり前だろう」と思ったり、いざ面と向かうと気恥ずかしさがあったりして、なかなか感謝を言葉にしづらいという方も多いかもしれません。しかし、「感謝」を伝えることは、組織における信頼を作り出すプロセスに絶対に欠かせない要素なのです。
僕は「ありがとう」という言葉は、相手をエンカレッジする(勇気づけ、励まし)最強のフィードバックの1つだと思っています。
真心からの感謝を伝えられたら、相手も「自分のことを見ていてくれたんだな」「応援してくれる人のためにも、もっと頑張ろう」と内発的なモチベーションが自然と湧いてくるものです。お互いにエンカレッジするフィードバックが飛び交う環境があれば、それは強固な動機づけに繋がります。
ここで、エンカレッジの反対である「ディスカレッジ(やる気を削ぐ)」な行動についても考えてみましょう。特に評価面談の時期などは、注意が必要です。
僕たちは、目標に対して未達だった部分や、相手がしてくれたコトに対して「ここが足りてない」「この視点が抜けている」といったダメ出しをついしてしまいがちです。
マネージャーとしては成長を願っての指導のつもりでも、ダメ出しばかりを受けた相手は「自分は能力不足なんだ……」と萎縮し、しょげてしまうことも少なくありません。
ちなみに、僕がかつて身を置いていたアカデミア(学術研究)の世界は、実はディスカレッジの応酬でした。学会発表などで、みんなで寄って集って質問攻めにし、発表者を谷底に突き落とすような「マッチョなマネジメント」が当たり前に行われていたんです(苦笑)。そんな厳しい世界で揉まれてきた僕は、「厳しいことをガンガン言われても、そこから這い上がって来る経験でこそ鍛えられるモノがある」と本気で考えていた時期がありました。
しかし、今は明確に違います。「楽しく取り組んで、良いアウトプットが出る方が絶対にいい」と思っているんです。
科学的な観点から見ても、人が過度なプレッシャーやディスカレッジを受けて萎縮している時、脳は「防衛モード」に入り、視野が狭くなって創造的なアイデアが出にくくなります。逆に、安心感があり楽しいと感じている時は、認知の柔軟性が高まり、パフォーマンスが向上しやすいのです。
僕の好きな言葉に、
「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず」
という言葉があります。
これは、孔子の『論語』にある言葉です。現代語に訳すと
「ある物事を理解している人は知識があるけれど、そのことを好きな人にはかなわない。そして、あることを好きな人は、それを心から楽しんでいる人には及ばない」
という意味になります。
僕自身も最近、「楽しい」ということと「成果が出る」ということが直結していると強く実感しています。
ディスカレッジは、シンプルに楽しくありません。楽しくなければ、モチベーションは下がり、結果として良い成果も出づらくなる悪循環に陥ります。
では、明日からどうすればいいのか。
感謝の対象は、必ずしも「目標を100%達成してくれてありがとう」「この業務を完璧にこなしてくれてありがとう」といった、目に見える行動や成果に留まらなくていいんです。
「面倒な役割を快く担ってくれる」「チームの小さな課題に気がついてくれた」など、”組織に貢献してくれている”という相手の「意図」や「姿勢」に対しても感謝を伝えるようにしてみてください。結果が出る前のアプローチの段階でも構いません。
「チームを良くしようとしてくれてありがとう」と伝えるだけで、相手は劇的に嬉しいと感じるはずです。
相手をエンカレッジして、楽しみながら物事に取り組める状況を創ること。そんな素晴らしい状況を創り出す力を「感謝」は持っています。
これからの面談や日々のマネジメントにおいて、ディスカレッジの応酬ではなく、感謝の応酬で、心から仕事を楽しめる組織を一緒に作っていきましょう。
いかがでしたか?
評価面談が近づくと、どうしても「目標に対する成果の査定」や「不足しているスキルの指摘」に意識が集中してしまいがちです。
しかし、マネジメントの本来の目的は、メンバーの次なる成長と組織の成果を最大化することにあります。
鹿内が語ったように、成果だけでなく「チームへ貢献しようとする意図」に目を向け、そこへ感謝(エンカレッジ)を伝えることは、メンバーが心理的安全性を感じ、主体的に仕事を楽しむための強力なブースターとなります。
「ダメ出しをして鍛え上げる」という過去の成功体験を手放し、感謝ベースのコミュニケーションへシフトすることが今の時代には求められているのかもしれません。
まもなく本格化する面談シーズン。ぜひ次回の面談では、メンバーの「貢献の意図」を1つでも多く見つけ出し、感謝を言葉にして伝えることから始めてみませんか?
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本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。メルマガ登録はこちらから。
