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高校生の俺がラジカセで録音していたもの——とんねるず・村上春樹・牧瀬里穂が教えてくれた、52歳が書き続ける理由


ダウンタウンを語る前に。

深夜1時。

ラジカセのそばに座って、120分のノーマルテープが回り始めるのを待っていた。

とんねるずのオールナイトニッポンが始まるのを、高校生の俺は毎週録音していた。

1985年10月15日に始まったこの番組は、火曜深夜25時から27時の2時間枠だった。


あの番組には、奇妙なジンクスがあった。

普通のラジオ番組は数分話してから番組名を叫ぶ。でも石橋貴明は違った。

帝京高校時代の話が面白すぎて止まらない。気づいたら1時間以上経っている。やっと「とんねるずのオールナイトニッポン!!」と叫ぶ。

深夜1時から始まって、番組コールが2時を過ぎることがあった。

それでも笑いが止まらなかった。

俺は高校生で、翌日授業があった。

寝落ちしてしまうこともあった。

だからラジカセで録音した。

120分テープに全部入れて、何度も聞き直した。

当時、この番組の聴取率はビートたけしのオールナイトニッポンを抜いてトップに立った。

ナインティナイン、中居正広、つんく♂が「影響を受けた」と明言している番組だ。

「面白いのは石橋だ」と誰もが言った。俺もそう思った。

でも木梨憲武のアーティスト感が、俺は好きだった。

論理で笑わせるのではなく、空気で笑わせる。

説明できない何かを持っている人間の存在感——それが木梨憲武だった。



同じ頃、「みなさんのおかげです」に3Mが登場した。

宮沢りえ。牧瀬里穂。観月ありさ。

3人のイニシャルを取って「3M」と呼ばれていた時代だ。

この番組は1988年10月13日にレギュラー放送を開始し、最高視聴率29.5%(1989年3月30日)を記録。

1989年から1994年まで6年連続でバラエティ番組年間平均視聴率1位を保持した。平均視聴率は20.1%だ。

ボクの名前はモジお!

俺が一番好きだったのは牧瀬里穂だった。

1989年のJR東海クリスマス・エクスプレスCMで息を切らしながら駅に走ってくる姿——あれで一気に有名になった女優が、とんねるずのコントに出てくる。

その牧瀬里穂が吉本ばなな原作の映画「つぐみ」(1990年・市川準監督)に出た。

映画館に足を運んだ。映画は傑作とは言えなかった。

でも帰ってから原作を読んだ。

吉本ばなな「つぐみ」——読んだ瞬間、胸の痛みが走った。青春の淡さ、取り戻せない時間の感触。映画では伝わらなかったものが、文章には入っていた。

装丁も見事。今でも胸が切なくなる。

「書かれた言葉にしかできないことがある」

それを初めて体感した瞬間だった。


同じ時期に出会った一行がある。

村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」——1979年7月23日刊行、群像新人文学賞受賞作だ。

主人公と鼠が一夏で25メートルプール一杯分のビールを飲み干した話が冒頭近くに出てくる。そうでもしなければ生き残れないくらい退屈な夏だった、と書いてある。


この一行を読んだ時、何かが開いた感覚があった。

退屈を退屈のまま書ける。無駄な夏を無駄なまま描ける。それが文学だと知った。

そのまま「ハードボイルド・ワンダーランドと世界の終わり」(1985年)を読んだ。

二つの世界が交互に進む構成——「計算士の世界」と「世界の終わり」。並列して動く二つの物語が最後に一点で交差する。

40年エンジニアとして並列処理を設計してきた俺には、この構造が骨の髄まで刺さった。

村上春樹は論理で書いていない。でも設計されている。

「感情で読めるが、構造で作られている」——それが俺の文章への入口だった。


書くことが習慣になった。

深夜に書いた。村上春樹は毎朝決まった時間に書いたと言う。俺は深夜に書いた。スタイルは違う。でも「書かずにいられない」という感覚は同じだったと思う。

気づいたら本を135冊書いていた。

誰かに頼まれたわけじゃない。売れると思って書いたわけでもない。

ただ「書かないと生き残れない」という感覚が、あの深夜のラジカセの前から続いている。


52歳になった今、映画館で1000本以上観て、AIとデータで映画を断言している。

でも原点はあのラジカセの前だ。


ラジカセ、Wデッキ。カセットテープをダビング出来た。

石橋貴明の止まらない話。木梨憲武の説明できない空気。牧瀬里穂の走る姿。吉本ばなな「つぐみ」の胸の痛み。村上春樹の25メートルプール。

全部繋がっている。

書くことは、あの頃からずっと「そうでもしなければ生き残れない」行為だ。

気づいたら本を135冊書いていた。


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 ダンちゃん|映画解体評論家 難解作品の謎をPythonでデータ解析して、誰も答えを出せなかった問いに答え続けています😭 それでも有料記事は売れてない。次の食事の事はわからない。目の前の一食分のもやし(一袋30円)ください🙇

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