Nikon COOLPIX A を相棒にして分かった、カメラは退化していると。
こんにちは、CiMAです。
最近、私の中で写真機の在り方を巡って、葛藤の日々を過ごしています。
葛藤の議題は「コンパクトさを取るか、画質を取るか」。恐らくは写真機を愛する誰しもが一度は葛藤する「究極の二択」です。
私の中で写真機とは「日常の些細な瞬間を切り取る道具」だと思っています。コンビニで買った新作のお菓子やアイスを買った記念に一枚撮ってみたり、スタバで買った季節限定のメニューを注文しては一枚撮ってみたり、通勤路で見かけた一輪のお花に一目惚れして一枚撮ってみたり。そういった「些細な発見」を共に出来る写真機こそが、理想だと思っています。





だって、フルサイズや中判サイズのセンサーを搭載したゴツい筐体に、厚みのある明るくてゴツいレンズを装着したクソデカフル装備のボディを肩から下げてぶらつくわけですよ。
フルサイズや中判センサーが吐き出す写真は、高解像度でダイナミックレンジの広い素晴らしい写りで思わずうっとりしますし、ライカの”M"シリーズやハッセルブラッドの"CFV100C"、富士フィルムの"GFX100RF"やソニーの"RX1"シリーズは、フルサイズから中判サイズの大きなセンサーを一つの筐体に収めつつも比較的コンパクトに収まっています。
…しかし重いし高い!相当な気合いを持って旅に出掛けないとこれらの写真機の本領は発揮出来ないし、もはやファッションの一部に取り入れるくらいの気持ちでないと…道具として持ち出すには重過ぎます笑。値段も驚きで"RX1RM3"や"Q3"は60万円前後だし、ハッセルなんて100万円越え…もう世界一周できちゃいそうな大金ですよね笑。
そんなわけで、画質を追い求めつつ比較的持ち出し易い筐体をと思い、富士フィルムの"X-E5"や"X100Ⅵ・X100F"、ライカの初代"Q"やルミックスの"S9"、ニコンの"Zfc"と多くのコンパクトな写真機を相棒に据えてきました。それでも「ポケットに入らない写真機」は大きかれ小さかれ持ち出すレベルが高いことに変わりないことを痛感しました。
どれだけうっとりする画質でも、気軽さが欠けると自然と撮る機会が減ってしまいます。この「ポケットに入るか否か」が自分の中でボーダーラインとなり、入らないのであれば「どんなサイズであろうと一緒」なのです。何十万円や百万円で手に入れた写真機も、撮らないと宝の持ち腐れですから…。





だからと言って「センサーサイズの小さい写真機なんてiPhoneと同じじゃないか」なんてぼそっと呟く人もいそうですが…全然別物です。写真機は「写真機のフォルムであることが一番の魅力」なんですから。
最新のiPhoneには、本体側面に写真機で言う"シャッターボタン"の役割を担う「カメラコントロールボタン」が搭載されるようになりました。このボタンにより、片手でサクッと撮るのに丁度良い一台になりました。メインカメラが確か1/1.28インチのセンサーサイズだったので、RAWで撮ってLightroomで色編集すればそこそこ綺麗な写真が残せるようになりました。



しかしながらiPhoneは「"撮る感覚=喜び"は満たしてくれない」のです。シャッター半押しからシャッターを切る感覚…ピントがバチっと決まる瞬間やF値ダイヤルをいじいじする感覚。この「撮る感覚」がモチベーションに直結して最高の一枚が撮れるのです。iPhoneにその感覚は…ありません。
なので、私の写欲を満たすものこそが「APS-C搭載のコンデジ」なのです。ポケットに入れておける身軽さと、APS-Cの大きなセンサーでiPhoneをリードする画質で写真を残せる。フルサイズでコンデジとなると、最小クラスの"SONY RX1"シリーズが挙がりますが…筐体はRICOHのGRシリーズにとても近い小さなサイズ感ながら、F2のツァイスレンズが飛び出てぶ厚いので残念ながらポケットには収まりません。
対してリコーのGRや富士フィルムのX70・XF10、ライカのX1・X2は、APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載した「画質と携帯性のバランスが非常に優れた」写真機です。いずれも写真機本体で色味のカスタマイズが出来ちゃうので、撮って出しでも大変愉しめます。
「"後からPCに取り込んで色編集"なんて面倒が過ぎたことは自分の性分に合わない。撮って出しじゃないと…」なんて編集することにちょっぴり抵抗があった「撮って出し愛好家」の私ですが、最近はリコーでも富士フィルムでもライカでもない、かつては「日本光学」を呼ばれていたレンズ界でもトップクラスの光学性能を誇るニコンのコンデジを相棒に据えています。

【COOLPIX A 作例-熱海編】
























【"後継機不在"のニコン唯一のAPS-Cコンデジ、COOLPIX A DX】
「….え?ニコンのコンデジ?センサーサイズの小さいやつなんか使ってるのかい?笑」なんて声が聞こえてきそうですが、いいえ、ちゃんとAPS-Cです。
…2013年、"GR Digital(CCDセンサーを搭載し、フィルムからデジタルへ切り替わった初のGR)"でスナップシューター界隈を密かに沸かせていたRICOHから満をじして登場した、初めてAPS-Cを搭載したGR!…よりも早く登場していたニコン唯一のAPS-C搭載コンデジ「COOLPIX A」です。
APS-Cコンデジの元祖とも言えるGRシリーズですが、実はニコンの方が一足早く"APS-Cコンデジ界"に参入していたのです。"A"の一文字というシンプルなネーミングチョイスでありながら、その削ぎ落とされたシンプルな筐体からは想像出来ないほどシャープでキレのあるニッコーーーーールレンズの圧倒的描写力をしっかりと閉じ込めたニコン渾身の一台に仕上げられています。
しかし、同時期に登場したGRが話題を掻っ攫ったことで、"COOLPIX A"の存在感は惜しくも薄れ、カメラ界隈の陰に隠れた後継機不在の名機となってしまったのです。GRはレンズの駆動速度が凄まじく片手操作を難なく熟す事が出来るので、現在に至るまで多くのスナップシューターから愛されています。II型III型Ⅳ型と着実に性能が磨き込まれており、28mmの標準画角の他に40mmの単焦点レンズを搭載した"IIIx"まで展開されています。私も長らくGRシリーズを愛用してきましたが…日常のスナップがとても捗る至高の一台でした。
今回はそんな「GRと同時期に誕生したニコン唯一のAPS-Cコンデジ」こと「COOLPIX A」のお話を、作例を散りばめて繰り広げていきます。後継機不在の13年前のオールドコンデジ…この一台こそが、現代のカメラ業界では決して登場することのない名機だと、私は思います。
【28mmの気軽さとキレのあるニッコーーーールレンズ!】
いきなり画角のお話ですが、さらっと読んで頂けると嬉しいです。
今までありとあらゆる焦点距離で撮影に挑んできたのですが、28mmという焦点距離は一言で言うと「日常の何気ない瞬間を気兼ねなく撮る」のに最適だと感じています。
かつて私が熱狂的に愛用していた名機ことGR IIIxの焦点距離は"40mm"です。40mmは周辺の歪みがなく物撮りに最適な距離なのが特徴です。自炊したお料理を撮ってみたり、映画のチケットを手に摘んで記念に一枚撮ってみたり…そう言う「魅せたいもの一点にフォーカスを合わせて画角に収め易い」のが28mmの醍醐味です。しかし、風景写真を撮るには視野が狭く自分の思い通りの写真を得られない事がちらほらあったり、「物撮り=作品撮り」に近い構図になるので、しっかり構図を合わせないと残念写真を生み出すことが多くなります。40mmは撮りたい被写体としっかり向き合って最適な構図で撮影に挑まなくてはならないので、撮影の難易度は高くなるものの撮れた時の爽快感はまさに至高の領域です。
対する28mmはより広い画角で収められるもののiPhoneの24mmより狭い画角になります。COOLPIX Aは専用設計された"28mmニッコールレンズ"を搭載しているので、歪みも少なく撮って出しでも非常に優れた描写をしてくれます。マクロモードで5cmとなんとか寄れるので、風景写真から物撮りまでしっかりとこれ一台でカバーできちゃいます。何よりニッコールの解像度バキバキの素直な色味に一目惚れしていて、レフ機で撮ったような色の深みには感動すらあります。F値を解放F2.8で撮ると"周辺露光(写真周辺が黒くなる)"が見受けられますがこれが良い…笑。現在ではほとんど見ることがないので逆に新鮮です。こういう表現が編集なしの撮って出しで味わえるのはなかなかに至極です。
【COOLPIX A 作例-みなとみらい編】












【筐体の質感は随一…隙の無い重厚な金属感にうっとり(●´ω`●)】
さらに、「本当に13年前の写真機なのか…?」と思わず声を漏らしてしまうほど使用面で困る要素がありません。現行機種ほど機能を備えていないものの、AFもゆっくりだけどストレスを感じるほどではないし、ボタンの数はむしろAPS-C搭載コンデジの中では一番多いと思う。GRの様な片手操作で完結する操作性を持ち合わせていなくても「だから何?」とひと蹴り。確かに、頻繁に触らないISOや露出補正はシャッターボタンとは正反対の左側に配置されていますが…むしろ下手にダイヤルで安易に触れて不意に変わってしまう心配がないのはメリットでもあります。
あとは"COOLPIX A"の筐体について。ボディ全体が"アルミ合金とマグネシウム合金"で包まれでおり、持った時の質感と重厚感は"GR"や"X100Ⅵ"をリードしています。グリップのレザーや金属削り出しのダイヤルまで、細部に至るまでこだわりの質感で高級感があります。現行機種のような「ケチるところはケチっていくぜ」スタイルとは正反対の「隙のないこだわりで他者を圧倒するぜ」スタイルを見せつけられている様です。ボディを眺めていると「このコンパクトな筐体にAPS-Cセンサーが入ってるのか…」と感動します。ニコンが満をじして作り上げた高級感漂う質感が、そう思わせているのかもしれません…もはやポケットに入る芸術品です。

「写真機は画質よりも持ち出したくなる筐体であるか」が重要だと思っています。だってiPhoneでも風景写真ならミラーレスカメラとぱっと見 見分けが付かないですもん。物撮りやポートレートはまだまだセンサーサイズがもの言う時代ではありますが、手軽さでは圧倒的に不利なミラーレスカメラなので、仕事ならともかく趣味で使うにはハードルが高いと思います。だから「ポケットに入って重厚感漂う格好の良いフォルム」こそ写真機の在り方なのではないかと…。"COOLPIX A"は現代にこそ必要な写真機だと思います。
しかし、物価高の時代に質感やコンパクトさを追求するコスパの悪さにも同感します。各社開発費を注ぎ込んでこだわり抜いた製品も、高価であれば手にする人が極端に限られてしまう。コンデジブームの現在でも新型が少ないのはそういった問題に各メーカーが直面してるからじゃないかなと思います。だから違うアプローチで挑んできた"富士フィルムのX-half"や"LUMIXのL10"には感謝しています。写真機を愛する私達の為にフルモデルチェンジした筐体を見せてくれることに…。
【Lightroomはじめました】
今回のCOOLPIX Aの作例には全てLightroomのプリセットを当てています。「それだとiPhoneで撮っても同じ雰囲気を出せるんじゃないか?」と思われる人もいると思いますが…そう思った私もiPhone 17 Proで撮った写真を同じプリセットを当ててみて見比べてみました。
やはりAPS-CセンサーとF2のニッコールレンズが写す世界は別格で、デジタル補正をガンガンに効かせたiPhone画質では話になりません。4000万画素を超える解像度をもつ小型センサーに実質無名のレンズ構成…iPhoneを含めスマートフォンが写す写真はハッタリに過ぎません(言い過ぎ)。でも、これだけ罵倒しても望遠の景色や風景全体を目一杯撮りたい時には重宝するのも事実です。「撮る楽しさと手軽さが醍醐味」のコンデジと「超広角から望遠までしっかりカバー出来る画角の幅広さが醍醐味」のスマートフォン。素晴らしい棲み分けだと思います。なので、写真機を持っていてもiPhoneの出番は意外とあったりします。
しかし、色編集必須のスマートフォンに加え、色編集必須の写真機を持つのは正直気が重いと感じてしまいます。富士フィルムのフィルムシミュレーションで撮って出し運用出来る方が自分の性分に合ってるのかなあ…とCOOLPIX Aを使用して強く感じました。色編集を自分でする様になってから「この写真にはどのプリセットが合うのかな…」という選ぶ時間と、強度や細かな色味の微調整に使う時間と労力が、ついつい嵩んでしまします。プリセットを当てる時間こそ至高ですが、すぐにシェアしたい時にLightroomを一度通す工程を挟んだり、旅終わりの疲れた脳で編集まで回らないなんてこともあったりと、筐体は手軽でも写真を完成させるのは手軽で無いことに少しストレスに感じたりします。個人差はあるものの、趣味で写真機を持つ者にとってはマイナスな部分になるかもしれません。だからこそ、その時間と労力を掛けて「プリセットがピタッとハマった瞬間の感動」は最高なのです。
【COOLPIX A 作例-撮って出しVS Lightroom現像編】













Lightroomでプリセットを当てて調整してると分かってきたことがあります。このCOOLPIX A、撮って出しの色が良過ぎるのです。
なんとも素直で癖のない色味、シャープで解像度バキバキのディティール、開放時に見られる周辺減光による素晴らしい雰囲気作りはニコンの狙い通りの美しい表現力だと感じています。色の諧調の良さとなだらかなボケ感にうっかりフルサイズと間違えそうなくらいです。
そして、APS-Cの余裕のあるセンサーサイズと素晴らしい光学性能を持つニッコールレンズが取り入れる光は、Lightroomに通してプリセットを当ててもほとんどが破綻しない優れた耐久力を持ちます。夜間に撮影した写真にプリセットを当てると、暗部のノイズがやや見受けられましたが、まあそれも表現の一つとして嗜められるので良しです。フィルムカメラで撮った写真のノイズを愛おしく思えるのと同じです。
富士フィルムやGRの撮って出し(フィルムシミュレーションやカラー調整を行なったJPEG撮って出し)よりも自分の思う色にし易いのもRAW現像の醍醐味です。私の場合はプリセットを絞って現像しているので表現の幅に制限がありますが、プリセットの強度や選択肢が多くあることで自分の残したい世界観を表現することができます。加えてニッコールが写す色味に癖がない且つ非常に綺麗なので、プリセットを当てるとより一層美しい写真を残すことができます。ベースが優れた描写なのがiPhoneとの雲泥の差です。
【COOLPIX A でコラージュ写真】


【Nikon COOLPIX A を相棒にして分かった、カメラは退化していると。】
今回は私が綴った渾身の記事を最後まで見ていただき、ありがとうございますm(__)m
富士フィルム X100F に続くオールドコンデジのお話でしたが、やはり古いモデルほどワクワクする写真機は近年なかなかお目に掛かりません。ソニーはカメラ業界をリードする最強スペックなモデルを展開していますし、富士フィルムやルミックスは多くのライトユーザーからも支持されています。しかし、近年の物価高の影響もあるのか「高価で質感がチープ」なモデルが多い傾向にあると見受けられます。そして「動画性能や連写性能に拘ったモデル」が多いです。趣味でカメラを嗜む私にとって「手ぶれ補正の効いた動画撮影」や「高速連写で撮る逃さない撮影」は正直に言うと全く必要ありません。はい。
【COOLPIX A 作例-東京駅編】






AFはゆっくりでも合えばいいし、単写しか要らない。チルトやバリアングル液晶は無くてもいいし、ファインダーも筐体がコンパクトなら要らない。大きいセンサーサイズに明るいレンズを搭載していてポッケに収まるサイズ感…COOLPIX A は「気軽にポケットに入れて持ち運べてAPS-CセンサーとF2.8の明るいニッコーーーーールレンズを収めた至高の一台」なのです。
電源レバーを引いてウィーンとレンズが起動、半押しで「バチっと」ピントを決めて「パチっ」というリーフシャッター音が気持ちよく鳴り響く…そういう「写真機の作法」を経て撮れた写真をPCに取り入れては Lightroomでプリセットを当てて彩っていく。この一連の流れは、スマートフォンでは愉しめない至福の時間なのです。
富士フィルム X-E5を相棒に据えていた時に、たった一つ大きな不満がありました。それが「絶望的なレスポンスの悪さ」です。
電源レバーをONにしてから画面が起動するまで1.5秒ほど掛かります。フィルムシミュレーションダイヤルで操作した時に画面に表示されるフィルム表示もカクカクしてるし、OFF時も画面が完全に消灯するまで数秒掛かります。X-E5が写し出す写真はとても良く、4000万画素を超える高解像度でクラシッククロームの素晴らしい色味はまさにセンサーの進化を感じます。それに対してレスポンスの悪さは古いモデルよりも酷いのではと感じました。X100Ⅵは従来モデルよりレスポンスが向上しているので、X-E5でも同様のレスポンスが出せるはずなのですが意図的なのでしょうか。ボディだけでも20万円を超える高価な写真機なだけに一番大事な操作性が欠けた製品を提供するのは如何なものかと内心ブチギレておりました笑。
COOLPIX Aは当時こそ不人気だったものの、ニコンが満を持して拘り抜いた傑作であり、ニコンの技術力を詰め込んだ至高の一台であることを実際に使い込んで分かってきました。APS-Cコンデジの中ではトップクラスの光学性能秘めており、撮って出しの色ノリの良さから、RAWから現像すればより自分の好きな色味を創り上げる事ができちゃいます。何より筐体の質感が病み付きになる素晴らしさなので、皆さんもこのCOOLPIX Aをお目に掛かる機会があれば、是非一度手に持ってみてほしいです…。
【COOLPIX A 作例-〆の作例編】














