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どれに乗ったっていいじゃない?

比較の表現で「AとBは一緒だ」の意味を中国語でよく次のように言う。

他和她一样(高)。
彼は彼女と同じ(背丈)だ。

比較するのが高さや長さ,数量などなら⑴の表現でいいが,二つの事柄について同じ性質,同じ問題だと言うことになれば,もう少し複雑な表現になる。

他去和她去都一样。
彼が行くのと彼女が行くのとは同じだ。
今天出差和明天出差都一回事儿。
きょう出張に出かけるのと明日出かけるのとは同じことだ。

では,次のようなシチュエーションを想定してみよう。B君は彼女と念願の北海道旅行へ出かけることになったが,飛行機で行こうかな,船もよさそうね,新幹線や電車がいいかも,と交通手段に迷い始め,なかなか決められない。交通手段はどうでもよく,北海道での旅行を楽しみにしている彼女は見かねて,「どれに乗ったっていいじゃない?」と促した。彼女のことばを中国語に訳すのはかなり難しい。

乘哪个不都(是)一样?
 
これはいわば優等生的な訳で中国語も問題がないが,何かが足りない。日本語の「〜いいじゃない?」にある「北海道まではどれでも行けるからあれこれと考えても意味がない,そうじゃないか」というニュアンスがどうも出ていない。そこで中国語では次の表現の出番となる。

乘哪个去不是去?
直訳:どれに乗って行ったら行くことにならないの?そんなことはないでしょ!

意訳すれば,どれに乗ったっていいじゃない?ということになる。⑷にしても⑸にしても「どれに乗ったって」に対応する前半の部分は“乘哪个”としても問題がないが,中国語らしくするのなら,動詞“去”を入れて“乘哪个去”と言いたいものだ。もう少し例を見てみよう。

学什么不是学?
(バイオリンではなくピアノを習えばよかったと後悔している人に)
何を習っても習い事じゃない?
在哪儿聚不是聚啊?
(どこのレストランでクラス会をやればいいか迷っている人に)
どこで集まっても集まったことになるじゃないの?

次は実際にあった関係のよい友人同士の会話でこの表現の機微を味わおう。


A:昨天半夜有猴子来我家院子,把我种的已经红了的西红柿都吃了我正想送人呢
昨日の真夜中に猿がやってきて植えていた赤くなったトマトを全部食べちまった。人に送ろうとしていたのに。
B:猴子来帮你了,省得你去忙碌它们肯定想谁吃还不是吃
君が忙しくせんように猿が助けに来たのよ。きっと誰が食べたっていいじゃないって思ったんだろ。

張 勤(ちょう きん)
日本中国語検定協会副理事長・中京大学