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地中海ハーブの寄せ植えが教えてくれた、未来の不安をどかす衝撃的ソリューション

プロローグ


こんにちは、クリストファー・セレジェイラスです。

本格的な夏を前に、3種類のハーブを使った寄せ植えを作りました。

選び抜いたのは、ラベンダー’グロッソ’、ローズマリー’マジョルカピンク’、そしてコモンタイム。

どれも太陽がよく似合う、地中海地方原産の植物たちです。

植えた目的は、日々の暮らしのご馳走(笑)。

肉類の臭みを消してくれるローズマリーは、わが家の定番である「鶏肉とじゃがいものローズマリー・ロースト」に。

魚の臭みを消してくれるタイムは、大好きな「タラとじゃがいものタイム・ロースト」に。

そしてすっきりとした香りのラベンダーは、花を収穫してドライフラワーにして虫除けにしたり、お湯に煮出して南仏プロヴァンス気分を味わう「ラベンダー風呂」に挑戦したりしようかと、妄想を膨らませています。

性質の似たこの3種類をひとつの鉢にギュッと植え付けながら、ふと気づいたことがありました。

それは、僕がずっと抱えてきた「ある苦手なこと」を克服するための、衝撃的なソリューション(解決策)だったのです。


1: ラベンダーを求めて、プロヴァンスの旅へ


就職氷河期、新卒でなんとか滑り込んだ財団法人を退職したときのこと。

転職前の有給消化期間を使って、僕はバックパックを背負い、南仏プロヴァンスを旅しました。

今のようにスマホで簡単に情報が手に入る時代ではありません。

現地で泥臭く情報を集めては、1日に数本しかないバスを必死に乗り継ぎ、光溢れるプロヴァンスの小さな村々を巡るような旅でした。

2016年9月 プロヴァンス再訪時のボニュー村とプロヴァンスの大地

英語がほとんど通じない南仏の田舎。

そこで僕を救ってくれたのが、大学時代に力を入れて勉強したフランス語でした。

拙いながらも自分の言葉で意思を伝え、現地の人とコミュニケーションが取れたときの嬉しさは、今でも忘れられません。

ある村の自転車屋さんで、頼み込んでマウンテンバイクを借り、地元の人に道を聞きながら、僕は「作物」としてのラベンダー畑を目指しました。

想像以上の急坂の連続に息が上がりましたが、道端のあちこちに自生するハーブたちが、応援してくれるかのように良い香りを放っていたのを今でも鮮明に覚えています。

その急坂を登り切った丘の上。

薄紫に染まったラベンダー畑が目の前にパッと広がったときの感動は、今でも忘れることができません。

それは、誰かに見せるための観光地ではなく、現地の人々が大切に育てている「作物」としての、本物のラベンダー畑でした。

2016年9月 プロヴァンス再訪時かつて自転車で登った急坂を観光バスで

季節は6月の下旬。

目的のラベンダーは、まだ咲き始めたばかりでした。

ですが、これが逆に良かったのです。

ラベンダーは満開になる前に収穫されてしまうため、まさに収穫前のベストタイミング。

計算のない、旅の偶然がくれた最高の贈り物でした。


2: ラベンダーの意外すぎる力

そんなプロヴァンスの青い空を思い出しながら、今回はラベンダーにまつわる少し強烈なお話を。

実は、いま僕の部屋には2年前に収穫したラベンダーのドライフラワーが飾ってあります。

天然の虫除けとして重宝しているのですが、この使い方はプロヴァンスで授かった知恵がベースになっています。

フランスに詳しい方ならご存知かもしれませんが、プロヴァンスを象徴する生き物といえば、まず「セミ」が挙げられます。

緯度の高いヨーロッパにおいて、セミが生息できるのはプロヴァンスをはじめとする南欧の限られた地域だけ。

そのため、現地のお土産屋さんには所狭しと蝉モチーフのグッズが並んでいます。

ただ、そのデザインが日本の感覚からすると、ちょっとリアルで不気味というか・・・。

中には、紐を引っ張ると「ジジジ・・・」と鳴き声をあげる壁掛けの蝉飾りまであって、思わず苦笑いしてしまいました。

日本でお馴染みのセミも、ヨーロッパでは南国の風情を感じさせる特別な存在のようです。

2016年9月 プロヴァンス再訪時ルシヨン村のお土産やさんでやはり売っていたセミの壁飾り

そして、プロヴァンスのもう一つの主役。

それが、日本では考えられない「サソリ」です。

地元の人いわく、僕が滞在したような田舎町では、サソリが普通に家の中へ侵入してくるのだそう。

「命に別状はないけれど、刺されるとめちゃくちゃ痛いから本当に厄介なんだよ」と困り顔で教えてくれました。

そこで登場するのが、ほかでもないラベンダーです。

乾燥させたラベンダーを布袋に入れてクローゼットに忍ばせる虫除けは有名ですが、なんとこれがサソリの侵入防止にも絶大な効果を発揮するのだとか。

現地では、乾燥させたラベンダーを窓辺に並べてサソリ避けにするのが定番の知恵でした。

日本の感覚ではせいぜい衣類の虫除け(防虫剤)止まりですが、まさかサソリと戦う防衛ラインになっていたとは。

当時の僕にとって、園芸植物の秘めたるパワーを思い知らされた、最高に強烈なエピソードです。


3: 大きくなったらどうするのか?


プロヴァンスでの強烈な思い出はこれくらいにして、話を今回の寄せ植えに戻しましょう。

僕がこの記事で本当に書き留めてておきたかったのは、ここからのお話です。

いくら小さな苗とはいえ、8号鉢(内径24cm)に3種類のハーブを植えるというのは、園芸のセオリーから見ればちょっと「欲張りすぎ」です。

ハーブは野生の植物に近いためとにかく成長が早く、1年もすれば鉢から溢れんばかりに大きくなります。

「繁殖力が強すぎるミントを庭に植えてはいけない」という警告は有名ですが、今回植えた3種類もなかなかの生命力を持っています。

それなのに、なぜ僕はこの寄せ植えを作ったのか。

理由はシンプルです。

わが家のささやかなベランダ「洛中の小さなスカイガーデン」はスペースが限られており、これが今できる精一杯の選択だからです。

では、このハーブたちが成長して窮屈になったらどうするのか?

答えは、「その時に、考えればいい。」

・・・と、文字にすればたった一言なのですが、実はこれこそが僕の人生における最大の苦手分野なのです。

僕は、牡牛座の性質のせいなのか、あるいは「INTJ-T(建築家型)」というMBTIの性格診断の通りなのか、とにかく「先が見通せないこと」が猛烈に苦手です。

常に計画を立て、未来を予測し、コントロールしていないと落ち着かない。

思えば僕はクリスチャンとして育ち、幼い頃から聖書にあるこの言葉に親しんできました。

だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。

『新約聖書』マタイによる福音書 6章34節

頭ではずっと、この美しい教えを理解していたはずでした。

それなのに、いざ実生活となると、まだ見ぬ未来の不安を先回りして数え上げてしまうのです。


4: 僕にとっては衝撃的なソリューション


そんな「先回りして悩みすぎる」僕に、ある日、信じられないほど斬新な視点を投げかけてくれた人がいました。

それは、とある文化講座に参加したときのこと。

講義のあとの懇親会で、一人の建築デザイナーの方とお話しする機会に恵まれました。

当時、僕は自分が園芸好きであることを、あまり周囲に話していませんでした。

しかし、その方と「将来、どんな家に住みたいか」という話題になったとき、ふと、胸に秘めていた理想を口にしてみたのです。

「園芸が好きなので、本当は庭のある家が理想なんです。でも、都市部ではなかなか難しいですよね。現実的には、ルーフバルコニーのあるマンションかなと思っているのですが・・・。ただ、マンションって十数年ごとに大規模修繕工事があるじゃないですか。そのとき、せっかく育てたベランダの植物をすべて撤去しなきゃいけないと思うと、二の足を踏んでしまって」

まだ見ぬ未来の、しかも大規模修繕という「数ヶ月間の不便」を先回りして憂う僕に、その建築デザイナーの方は、事もなげにこうおっしゃいました。

「その時が来たら、どかせばいいんですよ。その時に考えれば。」

・・・それは、僕にとって、まさに頭を殴られたような衝撃的な一言でした。

「その時に、考えればいい。」

きっと、多くの人にとっては、ごく当たり前のシンプルな思考なのかもしれません。

しかし、未来の計画をすべてあらかじめ完璧に見通しておきたい、INTJ-Tで牡牛座の僕にとっては、天地がひっくり返るほど斬新なソリューション(解決策)だったのです。


エピローグ


あれから、一体どれほどの月日が流れたでしょう。

今の僕は、あのとき想像していたような広い庭のある一軒家や、ルーフバルコニー付きのマンションには住んでいません。

相変わらず街中の賃貸マンション暮らしです。

けれど、この「洛中の小さなスカイガーデン」と呼んでいるささやかなバルコニーで、僕は日々、ベランダ園芸を心から満粋しています。

たとえ管理会社から大規模修繕の通知が届いても。ライフステージが変わって、この場所を引っ越すことになっても。

僕の心には、あのときの建築デザイナーの言葉が、いつも確かな指針として深く刻まれているからです。

「その時が来たら、どかせばいい。その時に考えれば。」

そう、だから今回植えた3種類の地中海ハーブたちが、鉢から溢れるほど大きく育ったとき、どうするか。

答えはもう決まっています。

「その時に、考えればいい」のです。

先の先まで見通せないと不安で、どうしても一歩が踏み出せない。

そんな風に、かつての僕のように思い悩んでしまう方がいたら、ぜひこのシンプルな思考を取り入れてみてはいかがでしょうか。

初夏の光と風を浴びて青々と育つ、3種類のハーブの寄せ植え。

それが、未来を先回りして憂う僕に教えてくれた、今を軽やかに生きるための「衝撃的ソリューション」です。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

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