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JACK WHITE『Frozen Charlotte』レビュー

ジャック・ホワイトは、ロックンロールをまだまだ刷新できる、未開拓の土地が残されている、そう信じている数少ないミュージシャンのひとりだと思っている。


待望の新作『Frozen Charlotte』
まずジャケットが印象的。
ジャック自身によるアートワークには、スカルヘッドだけが鮮やかな青で塗られている。
『No Name』から続く”青”という色彩は、今回もどこかコンセプトとして引き継がれているように思える。
冷たさと熱さ、生命と死が同居するような、不穏で美しいブルー(ブルーズ)だ。

前作『No Name』でリフ主体のロックンロールへと回帰し、今作では、その路線をさらに推し進めてきた。
しかし、もちろん単純な続編ではない。
前作がジャック・ホワイトという個人の衝動だったとすれば、今回はツアーを共にしたバンドメンバーとの化学反応を、そのままスタジオに封じ込める事に成功した作品だと言える。

昨年、豊洲PITでそのバンドを目撃した。

4人がリアルタイムで火花を散らし、一瞬一瞬の判断で音楽が形を変えていく。
完成品を再現するライブではなく、その場でブルーズ・ガレージ・ロックンロールが生成されていく現場だった。
あの生々しいグルーヴを体験していたからこそ、本作から漂う空気がよく分かる。

このアルバムには、驚くほどシンプルなリフとコード進行で成り立っている曲が多い。
もちろん、そのシンプルさは決してアイデア不足なわけではない。
むしろ余白があるからこそ、ジャックの直感や、その場のセッションで自然に飛び出したフレーズが自由に息づいているように感じる。
おそらく骨格だけを持ち込み、その先は演奏しながら導き出された部分も少なくないのだろうと想像する。

それでいて、手癖には決して陥らない。

誰かが真似できそうで、誰にも真似できない。リフの組み立て方も、曲の展開も、やはり「ジャック・ホワイトとしか言いようがない」ユニークなものだ。
また単音よりもコードを押し出したリフが増えていることも興味深い。
ギターがリズムとハーモニーを同時に担うことで、サウンドは以前より軽やかに、そして立体的になっている。

その結果、一聴した印象は意外なほどポップだ。
ファズで塗り潰すような轟音はやや後退し、その代わりに輪郭のはっきりしたディストーションが心地よく鳴る。
とはいえ飛び道具の様なエフェクター達が最高のスパイスとなって最高の味付けをする。
そこへ絶妙なタイミングで差し込まれるハモンド・オルガンが、ロックンロールにソウルの温度を与えている。

アルバム全体も実によくできている。

緻密にソングライティングされた曲と、その場の空気から生まれたようなセッション色の濃い曲。そのバランスが絶妙。
どちらか一方に寄ることなく、互いが刺激し合いながらアルバム全体に推進力を与えている。

そしてその情報量にも驚かされる。

どの曲も3分前後というコンパクトなサイズなのに、リフ、転調、ブレイク、コーラス、ギターの絡み……次々とフックやアイデアが飛び込んでくる。
決して足し算の音楽ではない。
それでも聴き終える頃には、一枚のアルバムを何度も聴いたような密度が残る。

ロックンロールとは、本来こういうものだったではないか、と思ってしまう。
めちゃくちゃ難しいことをしているわけではない。複雑な理論を並べるわけでもない。たった数本のコードとリフだけで、こんなにも新しく、こんなにも興奮できる。

このレコードを爆音で聴いていると、その振動でレコードの針が早く摩耗してしまうのでないかと思わせる。

でも、それでいい。

ジャック・ホワイトのロックンロールは、そうやって少しずつ世界を削りながら鳴っている。

#jackwhite #FrozenCharlotte


同時にリリースされたローリング・ストーンズのアルバムと並べて聴くとさらにその感動は倍増する。

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