この質問にすぐに答えられなかったらマズいです! 「あなたのサロンの人時売上高はいくらですか?」
はじめに:プレミアムサロン制度の講義で強調したこと
こんにちは、CHOKIP(チョキップ)代表の佐久間です。
先日、日本ペットサロン協会が実施している「プレミアムサロン制度」の「経営&マーケティング」に関しての、講師を務めさせていただきました。
サロン協会の会員のみなさまは、間もなく動画が配信されると思いますので、楽しみにお待ちください!
<日本ペットサロン協会>
https://www.japanpetsalon.org/
さて、その講義の中で、私が強調させていただいたことのひとつに「人時売上高の重要性」というのがあります。
これまでもnoteの他の記事や、YouTube動画の「ちょい聴きカフェ」でも何度か取り上げているテーマでもあります。
今日はこの記事で、改めて「人時売上高」について、徹底解説します!
なぜ「人時売上高」なのか?トリミングサロンのビジネスモデル
トリミングサロンの経営において、最も重要と言っても過言ではない指標。それが「人時売上高」です。
そもそも人時売上高とは何でしょうか?
言葉は少し難しそうに見えますが、計算はとてもシンプルです。

つまり、「スタッフ(またはあなた自身)が1時間働くことで、いくらの売上を生み出すことができたか」を表す指標です。
ここで大切なのは、「売上」だけではなく、「働いた時間」も一緒に見ることです。
たとえば、同じ月商200万円のサロンが2つあったとします。
Aサロンは、スタッフ全員の総労働時間が400時間。
Bサロンは、スタッフ全員の総労働時間が600時間。
どちらも売上は同じ200万円です。
でも、人時売上高を計算すると、こうなります。
Aサロン:200万円 ÷ 400時間 = 5,000円
Bサロン:200万円 ÷ 600時間 = 約3,333円
売上だけを見るとどちらも同じですが、時間あたりの生産性は大きく違います。

Aサロンは、1時間あたり5,000円の売上を生み出しています。
Bサロンは、1時間あたり約3,333円です。
この差は、以下のようなポイントにおいて、経営に大きく影響します。
スタッフの給与を上げられるか。
オーナー自身が休めるか。
新しい設備に投資できるか。
広告や教育にお金を使えるか。
急なキャンセルや売上減に耐えられるか。
こうしたことに、人時売上高は深く関わっています。
だから私は、人時売上高はトリミングサロンの収益力を測る、とても重要な指標だと考えています。
なぜ、この数字がそこまで経営に影響するのでしょうか。 それは、トリミングサロンが「労働集約型ビジネス」だからです。
労働集約型ビジネスとは、機械が自動で商品を作るのではなく、「人の手と時間」がそのまま売上になるビジネスのこと。トリミングはまさにその代表例です。トリマーさんが施術をしている時間、ワンちゃんと向き合う時間がそのまま価値となり、売上へと繋がっています。
そのため、サロンの収益力を正確に測るには、ただ「今月の売上は〇〇万円だった」と見るだけでは不十分なのです。 「その売上をあげるために、全員で何時間働いたのか?」 この視点が抜けてしまうと、以下のような危険な状態に陥ってしまいます。
売上は増えたけれど、実はみんなが毎日残業をして、ボロボロになりながら達成していた(時給換算すると非常に低い状態)。
一人サロンで夜遅くまでカルテ書きやSNS投稿をしていて、自分のプライベートの時間が全くない。
スタッフに「もっとお給料をあげたい」と思っても、原資がどこにあるのか分からず、結局昇給できずにスタッフが離職する。
もし、自分のサロンの「人時売上高」がいくらなのかを把握していないとすれば、それは目隠しをして車を運転しているようなものです。まずは、この数字を「絶対に押さえておくべき指標」として、把握することから始めてみましょう。

業界標準は気にしなくていい!あなたのサロンの「目標値」の出し方
「人時売上高が大事なのは分かったけれど、うちのサロンはいくらを目指せばいいの?」
そう疑問に思われるかもしれません。
実は、日本ペットサロンが発行している「ペットサロン経営白書」に記述がある以外はトリミング業界全体における「人時売上高の標準的な数値」というものは、明確には存在しません。しかし、それで良いのです。なぜなら、目指すべき数字はサロンによって全く異なるからです。
家賃の額、導入している設備のリース代、あなたがスタッフに支払いたいと考えている理想の給与額、そしてあなたが自分自身のために確保したい報酬。
これらによって、目指すべき人時売上高は大きく変わります。誰かと比べる必要はありません。大切なのは「あなたと、あなたのサロンの理想」に合わせることです。
では、実際にあなたのサロンの「理想の人時売上高」を計算してみましょう。
月単位での計算式は、以下のようになります。

※「理想の総労働時間」は以下のように算出します。

※分子にある1.2という倍率は、会社の利益や将来への投資(店舗の修繕や新しい道具の購入、セミナー参加費など)を考慮した、ゆとりを持つための係数です。
実際のサロンを例にシミュレーションしてみましょう
【ケースA:ヒトリマー経営の場合】
理想の給与(自分の手取り+社会保険など):35万円
経費(家賃、水道光熱費、シャンプーなどの消耗品、広告費すべて):15万円
理想の労働時間:1日 8時間、月20日 勤務(週休2日をしっかり取る)
<総労働時間=8×20×1=160時間>
この場合の計算式は次のようになります。

つまり、1時間あたり3,750円の売上を作ることができれば、週休2日をキープしながら、理想の給与を自分に支払い、サロンを健全に維持できるということです。
【ケースB:オーナーとスタッフ2名の合計3名体制(スタッフ雇用型サロン)の場合】
理想の給与(オーナー 40万円 + スタッフA 25万円 + スタッフB 25万円 = 合計 90万円)
経費(家賃、水道光熱費、求人費、システム利用料などすべて):40万円
理想の労働時間:1日 8時間、月 20日 勤務、3名体制
<総労働時間=8×20×3=480時間>
この場合の計算式は次のようになります。

このサロンであれば、1時間あたり約3,250円の人時売上高を達成することが、全員が幸せに働き続けるための「約束の数字」になります。
いかがでしょうか?
このように計算してみると、「なんだか自分にもできそう」「目指すべきゴールがはっきり見えた」と感じられませんか?
知るだけで終わらせない。人時売上高を改善する「4つのステップ」

目標となる数値が見つかったら、いよいよ実践です。
人時売上高を改善し、サロン経営を成功へ導くためには、次の4つのステップを順番に回していく必要があります。
ステップ1:現状の把握
まずは「今のサロンの人時売上高」がいくらなのかを知ることから始めます。
先月の「総売上」を、スタッフ全員(あなた含む)が実際に働いた「総労働時間(残業時間なども含む)」で割ってみてください。
理想の数値と比べて、どれくらいのギャップがあるでしょうか?ここを正確に把握することが、すべてのスタートです。
ステップ2:目標の設定
先ほどご紹介した計算式を使い、あなたのサロンが本当に目指したい「理想の人時売上高」を設定します。
現実とかけ離れた高すぎる目標ではなく、「まずはこのレベルからクリアしていこう」というステップを踏むのもおすすめです。
ステップ3:対策の考案と実行
現状と目標のギャップを埋めるための具体的なアクションを考えます。
人時売上高を上げるアプローチは、大きく分けて2つしかありません。
1.時間あたりの「売上」を増やす
値上げ
単価アップ(高付加価値オプションの提案、コースの見直し)
次回予約の促進による稼働率の向上 など
2.売上を作るための「無駄な時間」を減らす
施術以外の業務(予約管理、カルテ作成、レジ締め、売上集計)の効率化
スタッフ間の引き継ぎや連絡のスピードアップ など
特に、2つ目の「無駄な時間を減らす」ことは、トリマーの体力を削ることなく、すぐにでも取り組める非常に効果的な対策です。

ステップ4:推移のトラッキング(追跡)
対策を実行したら、人時売上高がどのように変化しているかを毎週、毎月追いかけていきます。
「オプション提案に力を入れたから、今週は人時売上高が200円アップした!」
「予約受付をスムーズにしたら、残業時間が減って数字が改善した!」
このように数字の変化を実感できるようになると、サロン経営はどんどん楽しくなっていきます。
デジタル化をお勧めする理由は「効率化」だけではありません
人時売上高を追いかける上で、最も大きなハードルになるのが「日々の計算と管理の手間」です。
「ただでさえ毎日忙しいのに、労働時間を集計して、売上を割って……なんて面倒なことやっていられない!」
そう思う方も多いと思います。人時売上高の把握と向上こそが、忙しいサロン経営から抜け出す最大の鍵なのです。そのために、デジタル化の力は欠かせません。
たとえばCHOKIPを使えば
スタッフの稼働時間と、売上データがシステム上で自動的に連動します。
「人時売上高」がリアルタイムで自動計測され、いつでもダッシュボードから一目で確認できます。

このようにデジタル化は、単に業務効率化だけではなく、健全な経営のかじ取りに必要な数字を簡単に、正確に把握するという大きな意味があります。
おわりに:みんなが笑顔になれる、ゆとりあるサロン経営を目指して
トリミングサロン経営の「成功」とは、売上をただ大きくすることではありません。
オーナーであるあなたが心から仕事を楽しめていること。
一緒に働いてくれるスタッフが、自身の仕事に誇りを持ち、十分なお給料と休みを得てキラキラと輝いていること。
そして、ゆとりのあるトリマーから心のこもった丁寧な施術を受け、お客さまと愛犬たちが心から満足して笑顔で帰っていくこと。
この「全員の幸せ」が調和している状態こそが、真の成功だと私は考えます。
その土台を作るための第一歩が、「人時売上高」を把握し、サロンの健康状態を整えることです。 あなたが大切にしているサロンが、今よりもっと素敵で、もっとゆとりのある場所になるように。
私たちCHOKIPは、これからもサロンオーナーさんの挑戦を、全力で応援します!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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<CHOKIP代表 佐久間プロフィール>
1992年 P&Gマーケティング本部に入社。退社後の2000年7月にペット関連事業を行う株式会社カラーズを設立し、20年間トリミングサロン6店舗を運営してきたほか、ネット通販の立ち上げ等を行う。2013年、日本ペットサロン協会設立・副理事長に就任。2022年10月には小売&サービス業を対象にしたDX /OMOサポートを行う株式会社DAY ONE設立。トリミングサロン向け電子カルテ「CHOKIP」を開発・運用を行う。
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