コスト? 投資? 違いが分かれば、経営が一気に変わる。
私の原点、豆腐屋の息子として叩き込まれた「コスト意識」
こんにちは、CHOKIP代表の佐久間です。
今日は、お金を「削る」と「活かす」を使い分ければ、経営はもっと楽になるというお話です。
私の実家は豆腐屋です。 小さな頃から、商売をしている両親の背中を見て育ったのですが、そこで母から口を酸っぱく教えられたことがあります。
それは、「無駄を徹底的に削ること」です。
「豆(豆腐の原材料となる大豆)1つ落ちてるやん!すぐ拾いなさい」 「水、出しすぎ!そんなに出さんでも洗えるやろ」
「こら!電気のつけっぱなししてるのは誰や!?」
てな感じです。
そんな風に毎日教育されてきました。 だからこそ、私は商売において「コストをカットすること」がどれほど大事かということが、自然と理解できていたように思います。
無駄を省くことは、商売人の基本中の基本ですよね。

でも、社会人になって教わったのが、「コスト削減」だけではビジネスは成長しないということです。
コストに意識を向けて無駄を省くことで、一定の利益を出せる商売としては成立しますが、それだけではどこかで限界が来るということを学びました。
そこで大事になってくるのが「投資」という概念です。サロンオーナーさんとお話ししていると、削るべき「コスト」と一緒に、未来を創るための「投資」まで削ってしまっている、ということを感じることがよくあります。
「コスト」と「投資」って、何が違うの?
そもそも「コスト」と「投資」って、何が違うのでしょうか?
難しく考えがちですが、実はとってもシンプルです。
コスト(費用):いくら増やしても、売上が上がらないもの
例えば、水道光熱費。電気を倍つけても、売上が倍になることはありませんよね。こういったものは、質を落とさない範囲でできるだけ削るべきものです。投資:うまく工夫して使うことで、売上が上がるもの
例えば、新しい技術を学ぶセミナー代や、使いやすい道具。
これらにお金を使うことで、今までより高い単価メニューが提供できたり、一頭にかかる時間が短くなって他のお仕事ができたりします。
つまり、後から「プラス」になって返ってくるお金のことです。
これら2つの概念は、「お金が出ていく」という点では同じですが、その中身は全くの別物です。
サロンでよくある「コスト」と「投資」の具体例
では、トリミングサロンに当てはめて考えてみましょう。
【これは「コスト」:徹底的に見直してOK】
水道光熱費: 昔の私のように、お母さんに怒られる前に節約しましょう。
眠っている在庫: 「安売りしていたから」と大量に買ったシャンプーが棚の奥で眠っていませんか? それは現金がそのまま眠っているのと同じです。
効果のない広告: 「なんとなく」続けているけれど、目立った効果がない……そんな広告費はただのコストです。
【これは「投資」:未来のために活かしたいもの】
良いハサミや道具: シャンプーマシーンはうまく使えば、シャンプー時間の短縮につながったり、シャンプーそのものの質を高めたり、はたまた、トリマーさんの体の負担も減らすことにもつながったりと、たくさんの見返りがある投資です。
予約やカルテのシステム: 「月々の支払いが増えるのは嫌だな……」と思うかもしれません。でも、今まで紙のカルテを探したり、夜遅くまで予約帳をまとめたりしていた「タダ働き」の時間がなくなるとしたらどうでしょう? 生まれた時間で新しいサービスを考えたり、しっかり休んで体調を整えたり。システム代は、あなたの「自由な時間」を買うための投資です。

判断に迷う「お給料」や「お店の見た目」はどう考える?
中には、どっちかな? と迷うものもありますよね。
スタッフのお給料: 単に「人手が必要だから払う」と考えるとコストに見えてしまいます。でも、「スタッフがやりがいを感じて、もっとお店を良くしよう」と思えるような給与アップや教育は、お店のファンを増やすための立派な投資です。
お店の内装: ただ綺麗にするだけなら維持費ですが、「ワンちゃんがリラックスできる」または「スタッフが気持ちよく仕事ができる」というような、仕掛けや環境を作るなら、それはお客様のリピート率を上げたり、スタッフのモチベーションを高めたりするための投資になります。
大切なのは、「これにお金を使ったら、あとでどんな良いことが返ってくるかな?」と想像してみることです。

投資を活かすサロン運営のポイント
最後に、投資をうまく活かすためのポイントをいくつか整理します。
まずひとつ目は、「目的をはっきりさせること」です。
お金を使うときに、「これは何のため?」と必ず自問自答しましょう。
・リピート率を上げたい
・スタッフの負担を減らしたい
・顧客との関係を深めたい
といった目的を明確にします。
ふたつ目は、「小さく試すこと」です。いきなり大きな投資をする必要はありません。まずは一部から試してみる。そして、
・どう変わったか
・どんな反応があったか
を見ていくことが大切です。
三つ目は、「短期ではなく、少し長い目で見ること」です。
投資は、すぐに結果が出ないこともあります。でも、半年、1年と積み重ねると、じわじわと効いてきます。
そして最後に、「現場の感覚を大切にすること」です。数字も大切ですが、
・お客様の反応
・スタッフの表情
・仕事のしやすさ
効果が数字として表れる手前のこういった変化も、重要なサインです。
コストを見直すことは、守りの経営です。
投資を考えることは、未来をつくる経営です。
どちらか一方ではなく、両方をバランスよく持つこと。
その中で、
「これはコストなのか、それとも投資なのか?」
この問いを持ち続けることが、サロンのこれからを大きく変えていくと感じます。

未来の「ゆとり」を手に入れるために
実家の豆腐屋で学んだ「大豆一粒を大切にする心」は、今でも私の宝物です。 でも、それだけではビジネスとしての未来や発展はありません。
お金を使うことがすべてダメなことと、無意識に思い込んでいないでしょうか?
コストを賢く抑えて、浮いたお金を「未来」のために投資する。 そうすることで、自分にも、スタッフにも、それからお客様のワンちゃんにも、もっともっと還元できるようになります。
少しだけ視点を変えて、今日から「これはコストかな?投資かな?」と考えてみてください。その小さな気づきが、あなたのサロンの未来を大きく変えていくはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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<CHOKIP代表 佐久間プロフィール>
1992年 P&Gマーケティング本部に入社。退社後の2000年7月にペット関連事業を行う株式会社カラーズを設立し、20年間トリミングサロン6店舗を運営してきたほか、ネット通販の立ち上げ等を行う。2013年、日本ペットサロン協会設立・副理事長に就任。2022年10月には小売&サービス業を対象にしたDX /OMOサポートを行う株式会社DAY ONE設立。トリミングサロン向け電子カルテ「CHOKIP」を開発・運用を行う。
