風野真知雄のおすすめ作品ガイド|代表シリーズと知られざる歴史小説の名作まで
風野真知雄のおすすめ作品ガイド|代表シリーズと知られざる歴史小説の名作まで
書店の時代小説の棚に、同じ作家の名前がずらりと並んでいて、どこから手をつけていいのかわからず立ち尽くした経験はないでしょうか。何冊もシリーズが走っていて、どれが本命なのか、どれが自分に合うのか、背表紙を眺めているだけでは判断がつきません。かといって、あらすじを流し読みして適当に一冊選んでも、当たりを引ける保証はない。そんなときに知っておきたいのが、その作家が本当は何を書き続けてきたのか、という一本の芯です。時代小説の棚でとりわけ多くの背表紙を占めている書き手のひとりが、風野真知雄です。軽妙でユーモラスな設定ばかりが語られがちな作家ですが、その作品群を貫いている主題を知ってから読むと、同じ一冊がまるで違う手触りで立ち上がってきます。
風野真知雄とはどんな作家なのか、その経歴と作品を貫く一本の芯
具体的な作品に入る前に、この書き手がどんな道のりを歩いてきたのかを押さえておくと、あとの読書がぐっと面白くなります。経歴そのものが、作品の主題と地続きになっている作家だからです。
風野真知雄は1951年、福島県須賀川市の生まれです。立教大学法学部を卒業したのち、すぐに小説家になったわけではありません。長くフリーライターとして活動し、下請けのような仕事を重ねる時期が続きました。作家としてのデビューは1990年代初頭、「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞してのことです。年齢でいえば四十を超えてからの遅い出発でした。
この「遅れてきた」という感覚は、実は風野作品を読み解くうえで無視できない要素です。本人は後年のインタビューで、自分の気質は武将ではなく足軽や百姓に近いという趣旨のことを語り、ライター時代は下働きばかりで、デビューにも時間がかかり、いつも負け続けている感覚があったと振り返っています。そのうえで、結果がだめでも挑戦し続けたいという思いを作品に投影していると述べています。この自己認識は、多くの紹介記事が触れないまま素通りしている部分です。しかし、この一点を知ってから作品を眺め直すと、風野作品の主人公たちが驚くほど一貫していることに気づきます。
風野作品の主人公は、ほぼ例外なく「本流から外れた者」です。星に夢中で変わり者扱いされる下級藩士、兄と比べて何もかも劣ると自他ともに認める気弱な同心、若い頃に無頼を尽くし刺青まで彫った町奉行、隠居して孫にでれでれになっている元目付。誰ひとりとして、生まれながらの英雄ではありません。中央にいる者でも、完成された者でもない。むしろ、どこかが欠けている、あるいは世間からずれていると見なされた人間ばかりです。そして物語は、その欠けた部分やずれこそが事件を解く鍵になる、という形で進んでいきます。ユーモア時代小説の名手という評価はまったく正しいのですが、その笑いの底には、負けた側、外れた側への静かな共感が沈んでいるのです。
この芯がもっともはっきり露出したのが、2015年に第21回中山義秀文学賞を受けた『沙羅沙羅越え』でした。題材は戦国武将の佐々成政。歴史上、明確な敗者です。興味深いのは、この中山義秀文学賞の名を冠する作家・中山義秀自身が、長い雌伏を経てデビューし、戦後の歴史小説では好んで「人生の敗残者」を描き続けた書き手だったことです。福島出身の作家が、福島ゆかりの文学賞を、敗者を描いた作品で受けた。偶然といえば偶然ですが、風野真知雄という書き手の輪郭を、これほど的確になぞる出来事もそうありません。同じ2015年には「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞のシリーズ賞も受けており、笑いの側と重厚な歴史小説の側の両方が、同じ年に評価されたことになります。
もうひとつ、風野作品を語るうえで押さえておきたい手法があります。それは、江戸時代に実在した随筆を、物語の骨組みそのものとして使う、という発想です。町奉行・根岸鎮衛が書き残した奇談集『耳嚢』、そして元平戸藩主・松浦静山が書き続けた『甲子夜話』。どちらも江戸の不思議話や巷説を集めた実在の書物で、風野真知雄はこの二つをそれぞれ看板シリーズの土台に据えました。書物の外側にあらすじを乗せるのではなく、「この随筆に書かれた不思議な話には、実は裏があった」という構えで物語を立ち上げる。だから風野作品の怪談めいた事件は、必ず合理的な解決に着地します。本人も、一つの謎をこねくり回すより、謎が次から次へと現れる話が好きだと語っており、そのテンポの良さがシリーズの推進力になっています。
つまり風野真知雄とは、実在の江戸の書物を素材に、負けた側・外れた側の人間を主人公に据えて、軽やかな笑いにくるんで差し出す作家である、ということになります。この見取り図を持ったうえで、代表作を見ていきましょう。
まず読みたい風野真知雄の代表作、シリーズの入り口と単発の傑作
数十のシリーズが並走している作家なので、選び方に迷うのは当然です。ここでは、風野作品の入り口としてふさわしい代表シリーズを、シリーズ全体の輪郭と第一巻の内容の両面から紹介していきます。あわせて、シリーズものが苦手な方のために、一冊で完結する重厚な歴史小説も取り上げます。
妻は、くノ一
風野真知雄の名前を一般層にまで広げた、代表格のシリーズです。角川文庫から書き下ろしで全10巻が刊行され、その後に新章として「蛇之巻」全3巻が加わりました。シリーズ累計発行部数は100万部を超えています。2013年にはNHKのBS時代劇枠で市川染五郎主演としてドラマ化され、翌年には完結編も放送されました。
設定の妙が、まず群を抜いています。主人公は平戸藩の下級藩士・雙星彦馬。三十俵一人扶持の軽輩ですが、算術に長け、蘭語も読め、星の運行はすべて頭に入っているという天文好きです。ただしそのあまりの星狂いゆえに世間からは変わり者と見られ、縁談も断られ続けてきました。そんな彼のもとに、織江という美しい妻が嫁いでくる。ところが織江はひと月ほどで、忽然と姿を消してしまいます。彼女は幕府が送り込んだくノ一で、平戸藩の松浦静山の動向を探るのが任務だったのです。
シリーズを貫くのは、彦馬の一途さです。妻を探すためだけに江戸へ出て、神田の裏長屋に居を定め、手習い所で子どもたちに教えながら織江を探し続ける。剣術はからきしで、争いごとを好まない。武術がすべての世界で、彼が持っているのは知識と算術と一途さだけです。一方の織江もまた彦馬を忘れられず、正体を明かせぬまま、密かに彼の暮らしを見守り、時に助けてしまう。くノ一としての務めと、妻としての情。この板挟みが、シリーズ全体の緊張を生み続けます。
そして第一巻から、彦馬は開明的な思想を持つ元平戸藩主・松浦静山に、その知識の広さを見込まれてしまいます。静山は自身が見聞きした不思議な出来事を『甲子夜話』という随筆に書き綴っている最中で、彦馬に謎解きを求めるようになる。こうして、妻を探す旅と、江戸の巷に起こる怪異の謎解きが、一冊の中で二重に走り出すのです。剣で解決しない時代小説、知恵で解く時代小説として、この設定はいまなお新鮮です。文体は驚くほど軽く、時代小説特有の言い回しに身構える必要がありません。第一巻の終わりが完全な区切りにはなっていないので、続きが気になる方はまとめて手に取るのが安心です。なお、後年に二巻ぶんを一冊にまとめ、加筆修正を施した「完本」版も刊行されています。
耳袋秘帖
風野真知雄の代表シリーズを一つ挙げるなら、第4回歴史時代作家クラブ賞のシリーズ賞を受けたこの作品群になるでしょう。主人公は南町奉行・根岸肥前守鎮衛。これは実在の人物です。若い頃には無頼の限りを尽くし、肩には赤鬼の刺青を彫っていた。出自もはっきりしないのに、六十を過ぎてから町奉行に就任するという異例の出世を遂げた男です。彼が世に残した奇談集『耳嚢』は本当に存在します。
このシリーズの発想の核心は、「あの『耳嚢』には、誰にも見せない秘帖版があった」という一点にあります。表向きの奇談集には書けなかった事件の真相が、門外不出の秘帖に記されていた——この設定ひとつで、実在の随筆が丸ごと物語の鉱脈に変わってしまうのです。
内容は、江戸に起こる怪事件を、根岸が一癖ある部下たちとともに解き明かしていく捕物帳です。物を言う猫、続けて人が死ぬ井戸、幽霊を食った男、牢から忽然と消えた男、天狗の仕業と噂される神隠し。怪異は次から次へと現れますが、根岸は「殺しに決まっている」と断じ、必ず裏側の人間の企みを暴き出します。作者自身が岡本綺堂『半七捕物帳』からの影響を語っており、不可解な出来事に合理的な解決をつけるという捕物帳の原型に、正面から取り組んだシリーズだと言えます。
シリーズは大きく、同心の栗田と家臣の坂巻が活躍する「殺人事件」系統と、怪談テイストをより前面に出した「妖談」系統に分かれ、その後も長く書き継がれています。入り口としてわかりやすいのは、『耳袋秘帖 赤鬼奉行根岸肥前』です。評判の良かった商家の主人が殺され、現場近くでは謎の書き付けを残して失踪した大店の若旦那が目撃される——この一件から、根岸と配下たちの探索が始まります。読みどころは、事件の奇天烈さと、それを裁く根岸の人間味の落差です。無頼だった過去の人脈が捜査に生き、六十を過ぎた男の目が、江戸の底のほうで蠢く悪をまっすぐ見通していく。一話ごとにきっちり決着がつくので、通勤の合間に一編ずつという読み方もできます。
隠密 味見方同心
「食」を捜査の対象にしてしまった、風野真知雄らしい着想が光るシリーズです。舞台は南町奉行所。腕利きと噂される臨時廻り同心・月浦波之進に、上司から奇妙な特命が下ります。江戸の食いもの屋の動向を探れ、と。しかも、調べに必要な飲み食いの掛かりはすべて請求できる。同僚たちが羨むこの「味見方」という役目が、物語の入り口です。
第一巻『くじらの姿焼き騒動』には、雷に撃たれたようになるという雷うどん、妖怪の名がついた団子、禿げそば、うなぎのとぐろ焼き、鍋焼き寿司と、聞いたこともない珍妙な料理が次々に登場します。ただの食べ歩き小説ではありません。金貸しが殺され、死の間際にその男が口にしたある料理を手がかりに、波之進は下手人を追い始めます。「美味の傍には悪がいる」——シリーズを貫くこの一句が、料理の描写と事件の探索を一本の線でつないでいるのです。
このシリーズが唸らせるのは、第一巻の終盤で物語が誰も予想しない方向へ舵を切るところです。ここでは詳しく触れませんが、シリーズの主人公が誰なのかという前提そのものが揺らぎます。以降の巻で物語を背負っていくのは、容姿も頭脳も剣も、何もかもが兄に劣ると自他ともに認める、気弱な弟の魚之進です。皆から大丈夫かと心配されながら、それでも彼は自分のやり方で江戸の食に潜む悪と向き合っていく。前述した「外れた側の人間が主人公になる」という風野作品の芯が、もっとも直球で表れているシリーズだと言っていいでしょう。
シリーズは「隠密」篇が全9巻で完結し、その後、魚之進が江戸城内外の食べ物を探る「潜入 味見方同心」篇へと続いていきます。文章は軽快そのもので、時代小説の風情をじっくり味わうというより、テンポと発想を楽しむ読み方が合っています。江戸の食に興味がある方、ミステリーとして時代小説を読みたい方には、まず勧めたい一作です。
わるじい秘剣帖
孫を溺愛する隠居が主人公という、これもまた一目で覚えてしまう設定のシリーズです。主人公は愛坂桃太郎。「鬼殺しの桃太郎」の異名をとった元目付で、剣の達人。すでに家督を息子に譲って隠居の身です。
物語は、堅物の息子が芸者の珠子とのあいだに外に子をつくっていた、という発覚から始まります。しかも息子は保身を口にするばかり。呆れた桃太郎ですが、生まれた孫娘・桃子に会った瞬間、あっけなく陥落します。口の減らない内孫の男の子三人とは比べものにならない可愛さに、完全に骨抜きにされてしまうのです。以後、彼は孫を背中に背負ったまま、母子の身に降りかかるトラブルを次々に片づけていくことになります。
第一巻『じいじだよ』では、珠子が越してきた長屋にいくつも怪しい節があることに桃太郎が気づき、桃子を守るために自ら同じ長屋に住み込んでしまいます。屋敷の妻や息子には隠したまま、老骨に鞭打って動き回る。幼馴染で元目付仲間の朝比奈留三郎との丁々発止も楽しく、初老の男二人の意気地と自然体が、物語に厚みを与えています。剣の腕はもちろん健在で、衰えを自覚しながらも冴えを見せる「枯れ葉の剣」の描写は、ユーモアの合間に走る一本の緊張です。
「わるじい」という題名がついていますが、桃太郎はどう見ても好々爺です。悪知恵が働くという意味と、家族に隠れて孫のために動き回るという意味を、ひねって重ねた題名なのでしょう。読みどころは、剣も謎解きも切れる元目付が、孫の前ではただのじいじになってしまうという落差です。江戸の老舗や食文化が随所に顔を出すのも楽しく、連作短編の形式なので、一日一編という読み方にも向いています。シリーズは「秘剣帖」全10巻、「慈剣帖」全10巻と続き、さらに「義剣帖」へと第三シーズンが開幕しました。長く付き合える一群です。
若さま同心 徳川竜之助
身分を隠した若様が町方同心として事件を解決する、という時代小説の王道をど真ん中から書いたシリーズです。主人公の徳川竜之助は、御三卿・田安徳川家の十一男。将軍家に連なる血筋に生まれながら、その身分を隠して江戸の町を守る見習い同心となります。
聡明さと機転、そして練達の剣の腕で、竜之助は次々に事件を解決していきます。剣戟あり、人情あり、ユーモアもたっぷり、という総合エンターテインメントで、シリーズを象徴するのが「風鳴の剣」です。第一巻から『消えた十手』『風鳴の剣』『空飛ぶ岩』と、思わず手に取りたくなる題名が並んでいるのも、このシリーズの魅力のひとつでしょう。
ここまで紹介してきた作品と比べると、設定の奇抜さでは一歩譲るかもしれません。しかし、だからこそ「時代小説らしい時代小説」を求めている方にはこのシリーズが向いています。身分を隠した貴種が市井に降りてくるという構図は、日本の物語が古くから愛してきた形であり、風野真知雄はそれを、読みやすい文体とテンポの良い謎解きで現代の読者に差し出しました。双葉文庫から刊行され、新装版はシリーズ全13巻。その後、続編として「新・若さま同心 徳川竜之助」が全8巻で書き継がれています。長編でありながら一冊ごとの読後感がしっかりしており、シリーズものに慣れる練習台としても優秀です。風野作品のユーモアが少し軽すぎると感じた方が、剣戟の手応えを求めて戻ってくる場所でもあります。
沙羅沙羅越え
シリーズものに手を出す前に、この作家の実力を一冊で確かめたい。そんな方に迷わず勧められるのが、第21回中山義秀文学賞を受けたこの作品です。文庫書き下ろしの軽快なシリーズで知られる作家が、まったく別の顔を見せた重厚な歴史小説です。
舞台は戦国時代末期。越中を領する佐々成政は、本能寺の変のあとに覇権を握った羽柴秀吉と敵対しています。しかし、越後の上杉景勝、加賀の前田利家に挟まれて身動きが取れない。もはや自ら浜松の徳川家康に会い、秀吉への徹底抗戦を説くしかない。残された道はただ一つ——厳冬期の飛騨山脈を越えて行くことでした。史実として語り継がれてきた、あの「沙羅沙羅越え」です。
読みどころは二つあります。一つは、雪山との闘いそのものの迫力です。吹雪、雪崩、凍傷。草鞋と毛皮しかない時代に、真冬の北アルプスを越えるという行為がどれほど死と隣り合わせだったのか。その一歩一歩が、山岳小説の緊張感をもって書き込まれていきます。時代小説と登山小説が交差する、他にあまり例のない読み心地です。
もう一つは、佐々成政という人物の造形です。信長や秀吉のような英雄ではありません。この決死の山越えは、家康の説得に失敗して結局は徒労に終わり、成政はこののち領地まで召し上げられます。歴史の敗者です。それでも、この生真面目な武将が一歩ずつ雪を踏んでいく姿には、現代を生きる読者の肩を叩くような手触りがあります。作者自身が、東京マラソンを走って苦しくてやめたいと思った瞬間に、これは成政と同じ気持ちに違いないと実感したことを執筆の動機のひとつに挙げているのも、この作品の温度をよく物語っています。結果がだめでも挑戦し続けたい——その思いが、白い地獄を行く一人の男に託されているのです。
読み終えたあとに残るのは、勝敗とは別の場所にある人間の尊厳のようなものです。風野作品のユーモアが好きな方にも、逆にユーモアが苦手で敬遠していた方にも、この一冊は勧められます。
さらに読み進めたい人へ、次の一冊の選び方
代表作を押さえたら、あとは気分と目的で選んでいくのが風野作品の楽しみ方です。ここからは、次の一冊を探すときの候補を、テンポよく挙げていきます。
『水の城 いまだ落城せず』
https://amzn.to/44DrBxL 天正十八年、秀吉軍が関東の北条家に襲いかかり、百を超す支城が次々と陥落するなか、武蔵・忍城だけが落ちない。攻める石田三成は五万余、籠もるのは足軽と百姓を合わせて三千人弱。城代を務める成田長親は、際立った武勇も才覚もない、捉えどころのない男です。歴史小説としての完成度の高さもさることながら、この作品には注目すべき事実があります。同じ忍城の攻防を描いた小説として『のぼうの城』が広く知られていますが、風野真知雄のこの作品は、2000年に祥伝社文庫から刊行されています。つまり、この題材に先に光を当てていたのは風野のほうなのです。取り柄のない男が大軍を退けるという構図は、この作家の主題そのものでもあります。
「潜入 味見方同心」シリーズ
「隠密」篇を読み終えて魚之進と別れがたくなった方へ。今度は南町奉行から、将軍暗殺の動きがある江戸城の内外で食べ物を探るという特命が下ります。舞台がぐっと大きくなり、料理の描写はさらに冴えます。
「耳袋秘帖 妖談」シリーズ
根岸肥前守ものの中で、怪談テイストを前面に押し出した系統です。江戸版UFO遭遇事件とも目される「うつろ舟」伝説まで題材になり、おどろおどろしさとユーモアの配合が独特です。怪異寄りの空気が好きな方はこちらから入るのも手です。
「新・若さま同心 徳川竜之助」シリーズ 竜之助の物語をもっと読みたくなったら、続編の全8巻が待っています。旧シリーズを読了した方の受け皿として、安心して手に取れます。
「わるじい慈剣帖」「わるじい義剣帖」シリーズ
「秘剣帖」の続きです。「慈剣帖」は前シリーズの最終巻から数日後という設定で始まるので、違和感なく読み継げます。孫の桃子が少しずつ大きくなっていく時間の流れそのものが、このシリーズの隠れた読みどころでもあります。
『黒牛と妖怪』
歴史文学賞を受けたデビュー作です。いまの風野作品しか知らない読者にとっては、この作家がどこから出発したのかを確かめる意味で興味深い一冊でしょう。
「歴史探偵・月村弘平の事件簿」シリーズ
時代小説の書き手というイメージが強い作家ですが、現代を舞台にしたミステリーも精力的に手がけています。歴史上の謎と現代の事件が交差する構成で、時代小説とは違う筋肉が使われています。
「昭和探偵」シリーズ
西新宿の雑居ビルで細々と開業してきたおっさん探偵が、昭和に置き忘れられた謎を追う現代ミステリーです。昭和は歴史ではなく、いまと地続きの、色も臭いもあるついこのあいだなのだ——という作者の言葉が、このシリーズの立ち位置を的確に示しています。江戸から昭和まで、結局この作家は「過ぎ去った時代に埋もれた声」を掘り続けているのだと気づかされます。
「いい湯じゃのう」「象が来たぞぉ」シリーズ
PHP文芸文庫のユーモア時代小説の系統です。風野作品の笑いの部分を目当てに読む方には、この一群がまっすぐ届きます。
こんな人におすすめ、逆に合わないかもしれない人
これだけ幅のある作家だと、自分に合うかどうかが気になるところでしょう。風野作品は、時代小説は言葉が難しそうだと敬遠してきた方にこそ向いています。文章は軽く、会話は現代的で、ページをめくる手が止まりません。設定の面白さで読ませる作家なので、あらすじを聞いた瞬間に「それは読んでみたい」と思えたなら、その勘はまず外れないはずです。ミステリーとして時代小説を楽しみたい方、江戸の食や風俗の細部にわくわくする方、一話完結でさくさく読み進めたい方にも合います。
一方で、緻密で格調の高い文体をじっくり味わいたい方、時代考証の厳密さや江戸の風情の描き込みを何より重視する方には、シリーズものの軽さが物足りなく映るかもしれません。風景描写よりも人物と発想で押していく作風であることは、あらかじめ知っておいてよいでしょう。ただし、その物足りなさを感じた方こそ『沙羅沙羅越え』や『水の城』を試してみてほしいところです。同じ作家が書いたとは思えないほど筆致が変わります。軽さが苦手だからこの作家は合わない、と結論を出すのは、少し早すぎるのです。
似ている作家、次に読みたい人へ
風野作品を読み終えて、まだ江戸の町を歩いていたいと感じたなら、隣の書き手にも足を伸ばしてみてください。読みやすさとシリーズの物量という点では佐伯泰英が近く、江戸の食や風俗の描写に惹かれたのなら池波正太郎が、市井の人々の哀歓をより静謐な筆致で読みたくなったなら藤沢周平が、それぞれ次の扉になってくれるでしょう。それぞれの作家については別の記事で詳しく紹介していますので、気になった方はあわせてご覧ください。
まとめ
風野真知雄は、実在の江戸の随筆を骨組みに使い、負けた側・外れた側の人間を主人公に据えて、それを軽やかな笑いにくるんで差し出す作家です。膨大なシリーズ数に圧倒されるかもしれませんが、選び方は単純です。設定を聞いて心が動いたシリーズの第一巻を開くか、あるいは『沙羅沙羅越え』で、この作家のもう一つの顔から入るか。どちらの扉から入っても、ページの向こうには、うまくいかない自分を少しだけ許してくれるような、そんな人物が待っているはずです。
電子書籍を読むなら、Kindle Unlimited!:「読みたい」がすぐ叶う、気軽な読書体験

「本をもっと気軽に楽しみたい」
「新しいジャンルにも挑戦したいけど、買うのはちょっとハードルが高い」
そんなあなたにぴったりなのが、Amazonの電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」です。
月額980円で、数百万冊以上の本や雑誌、コミックまで幅広く楽しめるこのサービスは、毎日のちょっとした時間を読書に変えてくれます。
しかも、今なら30日間の無料体験が可能。もし合わないと感じたら、無料期間中に退会すれば一切お金はかかりません。
気軽に始めて、じっくり自分に合うかどうか試せるのが大きな魅力です。
月額980円で、和書・洋書・コミック・雑誌など500万冊以上が読み放題
スマートフォン、タブレット、PC、Kindle端末など、どんなデバイスでも利用可能
気になる本をダウンロードすれば、オフラインでも読書OK
1アカウントで最大6台の端末に対応、家族とシェアもできる
新刊や話題作、ベストセラーも続々追加
30日間の無料体験があり、合わなければ無料で退会可能

「本をもっと身近に感じたい」
「気になる本を気軽に試したい」――
そんな方は、まずは無料体験でKindle Unlimitedの世界をのぞいてみてください。
きっと新しい読書の楽しみ方が見つかります。
▼無料体験はこちらから
▼関連記事
移動中や作業中に読書するならAudible!――「聴く読書」で、毎日がもっと豊かに

「本を読みたいけど、忙しくてなかなか時間が取れない」
「目が疲れて活字を読むのがしんどい」
そんな悩みを持つ方におすすめなのが、Amazonのオーディオブックサービス「Audible」です。
プロのナレーターや俳優が朗読する本を、通勤中や家事の合間、運動中など、好きなタイミングで耳から楽しめます。
Audibleなら、今なら30日間の無料体験を実施中。
20万冊以上のオーディオブックやポッドキャストが聴き放題で、もし自分に合わないと感じたら無料体験中に解約すれば、料金は一切かかりません。
気軽に始めて、新しい「聴く読書」の世界を体験してみてください。
月額1,500円で、20万冊以上のオーディオブックやポッドキャストが聴き放題
スマートフォンやタブレット、PCで利用でき、オフライン再生にも対応
プロの声優や俳優による高品質な朗読で、物語や知識がより深く心に残る
ながら聴きができるので、通勤・家事・運動中などスキマ時間を有効活用
会員限定セールや割引購入など、お得な特典も充実
30日間の無料体験があり、合わなければ無料で解約OK

「本を聴く」という新しい体験は、忙しい毎日や活字が苦手な方にもぴったり。
まずは無料体験で、Audibleの便利さと楽しさを実感してみてください。あなたの毎日に、新しい知的な刺激が加わるはずです。
▼無料体験はこちらから
▼関連記事
この記事を読んだあなたにおすすめの記事集
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援していただけたら大変うれしいです! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!また、クリエイターがモチベーションが爆上がりし、記事の執筆スピードがさらに上がります🔥