フランス2026(11)コート・ダジュール③アンティーブ
今日はアンティーブ1カ所なので、ゆっくり朝食を。

ここは自分で卵を茹でる
駅に行ってびっくり。ごった返している。7台ほどある赤い券売機が故障故障で2台しか使えず、大行列ができている。日曜日なのもあるかも。列に並ぶ。1人が買うのに10分以上かかる。
赤い券売機もだめだなあ。なぜ切符1枚買うのに、乗る列車の時間を指定して、名前、誕生日、メアド、電話番号を入れる必要があるのか。私はプロヴァンスで慣れてメアドと電話番号はスキップしてるけど(名前も誕生日もスキップ出来るかもだけど)、初めての人は漏れなく入力するだろう。
青い方の券売機は時間指定も無いし、不要な情報を入力しなくていいところは日本の機械に近いが、ハンドルを回す操作がやりにくい。とにかく切符を買うのが大変だ。
やっと自分の番になった。私、慣れてるなんて思ってたけど、また例の記号が表示されて切符が出ない状態になってしまった。このタイミングで。
列を離れて、駅員に言うが、アヴィニョンの駅員のような親切な人は誰もいない。みんな自分の持ち場を一歩も離れず、自分でやれ、レッド・マシーンでコレクト、と言う。コレクト(訂正)って。レッド・マシーンで何回もやった、自分で出来ない、と言うと、窓口で聞けと言われる。窓口閉まってるけど。今日は日曜日だから開くのは45分後、と言われる。詰んだ…。
あのアヴィニョンの初老の駅員にどうやるのか聞いとけば良かった。まさか二回もなるとは思わなかった。アヴィニョンは人が改札するタイプの駅で、若い駅員は「この記号があれば乗れる」と、のどかなことを言っていたが、ニースの改札は全部機械化されている。駅員の方でその気があっても、切符無しでは通れない。
45分待つよりは、と列に並び直す。周りの人に聞きながら、操作すると、「コレクト」という画面が出て来た。それに記号を入れると切符が出て来た!
さっき慌てて列を離れず、周りの人に聞けば良かった、などと言ってるヒマは無い。余裕を持って買ったはずの発車時間ギリギリだ。
アンティーブ行きの電車の最終目的地はグラースだ。どのホームか?毎回変わるホームを電光掲示板で確かめている暇はない。
グラースグラースと叫びながら走っている2人のマダムがいたので追いかけて走る。途中、マダムの1人が振り返って私に「これはグラース行きの列車ですか?」と聞いて来る。分かって走ってたんじゃなかったの?しかもなぜ私に聞く?どう見ても外国人だよ。そう望んでいます、と答えて階段を駆け上がる。
ホームに上がると列車が止まっていたが、ドアは閉まっている。マダムの1人がドアを開けるボタンを押すが開かない。違う車両のボタンを押すが開かない。とうとう列車は発車して行ってしまった。
あー。次は30分後。時間オーバーしたら自動改札は通れなかったかもしれないが、一旦通ったらもう違う時間のどの列車に乗っても誰もチェックしない。1駅か2駅乗るだけの切符に、時間指定などもともと無意味では?他の列車に乗ろうかと見て回ったが、TGVなどは検札が来そうなので、結局はおとなしく次のグラース行きを待った。
やっとグラース行きが来て乗り込んだ。次は空港、次は空港としつこくアナウンスしている。空港の後、アンティーブに止まるのか。空港の次はグラース、とかでは困る。
電車の車体横の電光掲示板を確認するためにちょっと出ようとしたら、乗って来ようとする人と目が合って驚いた。スーツケースを引いているその人も相当驚いている。
ニース行きのTGVで隣の席だった青年だ!
こんなことある?こんな大きな都市で?信じられない。それに、すんなり切符が買えたら、あるいは、前の電車のドアが開いたら、会えなかったのだ。しかも私の乗ったドアから乗って来るとは。
挨拶して、お互いここ2日何をしていたか話すが、2人とも驚きが冷めない。すぐに空港に着いてしまい、彼は降りて行った。こんなことあるんだなあ。奇跡の再会だ。
電車は無事にアンティーブに着いた。港狭しとヨットが並ぶ。海が眩しい。


まず「 i 」に行く。分かりにくいところにある。地図をもらい、観光スポット共通券をお薦めされて買う。どこに行くつもりか聞かれて、ピカソ美術館と城砦と答える。湾を挟んでU字型の端と端に立つ、二つの美術館だ。
「城砦へは車ですか、歩きですか?」
「歩きです。」
車か、なんてなぜ聞くんだろう。「 i 」に来る人は大体徒歩の人のはずだ。
「歩くのが好きなんですか?歩くと遠いですよ。でもずっと海沿いに歩けばいいので分かりやすいですけど。」
歩くの大嫌いだけど、外国でレンタカーとか無理だし。


後で食べようと思って二度と巡り会えず




「 i 」を出てピカソ美術館を目指す。アンティーブの市街はとてもおしゃれで家々の色合いが美しい。どこも写真スポットだ。



またマルシェ。ここは常設のマルシェのようだ。すっかりマルシェずれしてしまって感動無く通り過ぎる。




教会を過ぎるとピカソ美術館が見えた。もうそれだけで感動する。少し並ぶが、1人出ると1人入れる、というようにしているようだ。
美術館はグリマルディ城というお城。ここに滞在したピカソがここで制作した作品を残していった。もとは個人の邸宅。装飾が美しい。




入って他の展示物を先に見る。ピカソの絵だけでなく、制作中のピカソの写真なども展示されている。最後にお楽しみのテラスに出た。ピカソの彫刻が並ぶテラス。地中海の青がバックだ。これが見たかったのだ。













去るのが本当に名残り惜しかった。近くのレストランで昼食。真ん中がブラータつまり水牛のチーズだ。柔らかいチーズとフレッシュなトマトがおいしい。
隣りの夫婦が上品で繊細なクレープ料理を食べている。デザートにも甘いクレープを食べている。サラダばかり食べているがクレープも選択肢だと思った。



食べ終えて城砦に向かって歩き出す。暑い。それでなくても遠いのに、グー〇ルマップに間違った道を教えられ、遠回りさせられる。コレ本当に合ってる?誰も通らないんだけど。遭難しかける。


本当にこの道で合ってる?

絶対この道のはずない
ついに城砦の側に来ると、1人の眼鏡をかけた女性が座り込んで水を飲んでいる。これは城砦ですか、と聞くと、そう思います、と答える。何とか入り口を見つけて中に入る。
中に入ると係の人が満面の笑みで迎えてくれた。早速ですが、帰りの交通手段を聞くと、市街地との無料のシャトルが10分刻みで出ているらしい。やっぱりバスがあったんだ。しかも10分って…ヨーロッパとしては無駄に小刻み。なぜ「 i 」の人は教えてくれなかったのか。
眼鏡の女性も入って来て、係の人の説明を聞いている。
「あなたは歩いて来ましたか?」
「はい。シャトルがあります。」
「私達はそれを知っておくべきでした。」
2人のおバカさん。グー〇ルに騙されて道を間違ったから、私の方がより多く歩いて、より多くおバカなはずだけど。




海きれい






城砦を見学したが、わりと期待外れだった。ここって美術館になってるんじゃないの?全く普通の城砦でしかない。何かの説明と間違ったのか?これぼど歩いて?まあ景色はいいので他の観光客と写真を撮ったり撮られたりした。


係員に帰りのバス乗り場を尋ねると、そこを左に曲がって、ずっと行くと言われたが、最初のポイントでもう分からない。左に行く道が二つある。階段と平らな道と。案内標識も無い。
「階段の方だ。」
後ろから来た老夫婦のおじいさんが英語で言ってくれた。礼を言って階段を降りるが、降りたら何も無い原っぱで、また分からない。
「左だ。」
追いついてきたおじいさんが言う。彼らはとてもゆっくり歩いているが、一緒に行ってもらうことにした。
「日本から来たのか。私は政府の要請で日本に行ったよ。東京、京都、広島。小さな島の上に神社だけがあるとてもきれいな場所。」
「厳島神社ですね。私は京都から来ました。」
政府の要請って。私、引退した政治の大物と歩いてる?老夫婦と一緒にとてもゆっくり歩いた。案内標識も何も無い原っぱを突っ切る。アンティーブの重要な観光スポットの一つなら、矢印の標識ぐらい置いて欲しい。この道をグー〇ルさんが認識できなくても仕方ないかも。あの眼鏡の女性はもしかしたらシャトルで来て、その駐車場から城砦へ行く、この何も無い原っぱで迷っていただけなのかも知れない。
まもなく駐車場が見えて来た。
「ほら、あそこに白いバスが見えるだろう?今、向きを変えているあの車だ。あれに乗りなさい。」
老夫婦はこれから海岸へ行くそうだ。お礼を言って別れた。シャトルバスに乗ったら一瞬で街に戻った。これは教えといて欲しかった。



私はハッとした。もしかしたら、「 i 」の人が言っていた「車」にはバスが含まれるのでは?日本語では自動車、バス、歩き、という分け方だが、こちらではカー(乗り物)、歩き、という分け方では?あるいは本当に知らないのか。可能性は五分五分だ。

その後、お茶をしようと思ったが、朝見ておいたケーキの店が見つからない。方向音痴過ぎ。いい感じの店が見つからず、疲れて適当な店に入る。アイスラッテがあってうれしかったが、クレープは普通。食べて店を出ると、なぜかお茶するのに感じ良さそうな店が次々見つかった。


マルシェはレストランに変貌していた。



実演してくれる


方向音痴過ぎの私だが、朝、感じいい石鹸のお店を見つけていて、それには巡り会えた。カヌレやマカロンなどお菓子の形や、花びら入りなど、様々な色や形の石鹸だ。うれしい。中に入ると、先客の女性に女性店主がフランス語で説明している。私の方を向いて、グー〇ル翻訳に吹き込んで、英語で説明してくれた。
「この石鹸は全て私が作りました。」
だから個性的なんだ。形が可愛い。色も香りも種類が多い。女性店主はグー〇ルで翻訳して、使い方を実演してくれる。なるほど、グー〇ル様。私もデタラメのフランス語を連発せず、もっとグー〇ル翻訳を使えばいいのかも。
先客の女性がパチパチ写真を撮っているので、私も撮った。そしてカヌレ型の石鹸を何個か真剣に選ぶ。店主が個包装にしましょうか?と言うので、個包装の袋に香りの名前を書いて、と頼む。書いてないと絶対忘れる。
先客の女性はまだ選んでいる。私はだんだんこの女性が気になってきた。こういう顔の人、イタリア系だろうか、よくいる。着ている服もヨーロッパでよくあるタイプだ。でも、スマホケースの色まで一緒ってこと、ある?
「すみません、あなたと私はどこかでお会いしましたか?」
眼鏡の彼女はニコッと笑った。
「はい、昼間、城砦で。あれは私です。」
ええええええ!
「アンティーブは狭いから。」
いやいや、あんな遠いところで会い、市街地の一軒の店でも会うなんて。いくら狭い街でもピンポイント過ぎ。観光地としてはマイナーな城砦といい、個性的なこのショップといい、私達、好みに共通点あり過ぎでしょう。
それに説明は省くが、これは本日の奇跡の再会、第二弾なのだ。
彼女が女性店主に説明して、2人はニコニコしている。挨拶をして別れた。彼女はまたきっと会うでしょうと、言ってくれたが、残念ながらこの後は会わなかった。
アンティーブのきれいな街で夕食を取ることにした。グー〇ル翻訳様でメニューを読むが、分からない食材をただカタカナにするだけとか、「ムール貝のぬいぐるみ」とか変な翻訳をするので、使うのをやめて、英語で読んでシーフードサラダを頼んだ。


はい、当たり。エビ、小さいタコ、イカ、ムール貝、こんなの食べたらニースで食事できないなあ。


狭い街路を人がひっきりなしに通る。家と家に紐を通して飾りを下げているのは南仏共通だ。
帰りの駅で切符を買うのに苦戦していたら、隣の機械を使っていた男性が手を伸ばして、ダイヤルをうまく合わせてくれた。
こうしてコート・ダジュール3日目、アンティーブ訪問の一日は終わった。
2026.7.12.(日)
