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ロジ目線で感じる「売れる商品」とは?

出荷現場から見える、売れ続ける商品の条件



1.はじめに


日頃から、私たちは多くの通販商品の出荷に関わらせていただいている。

毎日、数多くの商品が倉庫から出荷され、お客様のもとへ届いていく。
その現場にいると、売れる商品、売れ続ける商品、逆に一時的には売れても続きにくい商品の傾向が、少しずつ見えてくる。

もちろん、私たちは商品開発会社でも、広告代理店でもない。
しかし、物流は「売れた後」の現実に最も近い場所にある。

どの商品が継続して出荷されているのか。
どの商品に問い合わせが多いのか。
どの商品が返品や受取拒否につながりやすいのか。
どの商品をコールセンターや現場スタッフが自信を持って案内できるのか。

そうした日々の積み重ねから、ロジを担う私たちの目線で感じる「売れる商品」とはどんな商品なのかを、今回は整理してみたい。

2.売れる商品には「早い体感」がある

まず、売れる商品には、お客様が何らかの変化や納得感を得るまでの時間が短いという特徴がある。

健康食品であれば、飲み始めてから早い段階で、何らかの前向きな実感があるか。
食品であれば、一度食べた後に「また食べたい」と思えるか。
化粧品であれば、肌に触れた瞬間や、数日使った後に気分が上がるか。
日用品であれば、生活が少し楽になった、便利になったと感じられるか。

体感が早ければ早いほど、お客様は商品に納得しやすい。
例えば、シャンプーは使った瞬間か、ドライヤーした時か、次の日の朝には実感出来る。

逆に、実感までに時間がかかる商品は、販売設計が難しくなる。
お客様が価値を感じる前に、解約や離脱が起きやすくなるからだ。

その結果、新規獲得に無理をしなければいけなくなる。
広告表現が強くなる。
オファーが強くなる。
初回価格が下がる。
CPOが上がる。
F2転換率が下がる。

つまり、体感までの時間は、単なる商品開発の問題ではなく、広告効率、継続率、物流量、CS対応にまで影響する。

中長期的に飲み続けなければ価値を感じにくい商品であれば、なおさら設計が大切になる。

短期では、「飲みやすい」「続けやすい」「朝の習慣にしやすい」といった、まず続けたくなる要素を作る。
中期では、「少し変化を感じる」「生活の中に馴染む」といった納得感を作る。
長期では、「自分にとって必要不可欠なものになる」という関係性を作る。

このように、短期・中期・長期でそれぞれ価値を感じられる設計が必要だと思う。

3.成分勝負だけでは、価格競争に陥りやすい

健康食品や機能性表示食品では、どうしても成分で訴求したくなる。

〇〇配合。
〇〇mg配合。
高濃度。
業界最大級。

もちろん、成分は大事である。
しかし、成分だけで勝負すると、成分量競争、価格競争にさらされやすくなる。

お客様が成分名で検索したとき、そこには似たような商品が並ぶ。
その瞬間、比較軸はシンプルになる。

どの商品に目的とする成分が一番多く入っているのか。
どの商品が一番安いのか。
どの商品が一番お得なのか。

成分が同じに見えれば、ユーザーは、配合量が多く、価格が低い商品を選びがちになる。

これは消費者心理としても自然だと思う。
人は選択肢が多くなるほど判断が難しくなり、わかりやすい比較軸に頼りやすくなる。

通販において、そのわかりやすい比較軸が、価格、容量、配合量、レビュー数になりやすい。

だからこそ、成分で入口を作ることはできても、成分だけで選ばれ続けるのは難しい。

大切なのは、成分を並べることではない。

なぜその成分なのか。
なぜその原料なのか。
なぜその配合なのか。
なぜその商品でなければならないのか。

ここまで語れるかどうかだと思う。

4. 比較されにくい商品は強い

売れ続ける商品には、他社と単純比較されにくいという特徴がある。

仕入れた商品を販売するだけでは、価格や見せ方でしか差別化しにくい。
同じ商品を他社も扱えるのであれば、いずれ価格競争になりやすい。
製造元や別の販売者が、同じ商品をより安く販売し始める可能性もある。

しかし、そこにオリジナル性が加わると変わる。

原料の選定にこだわる。
産地や生産者と一緒に商品を作る。
育て方、加工方法、味付け、配合、包装まで設計する。
その商品でなければならない理由を作る。

さらに、成分名や一般的なカテゴリー名だけで売るのではなく、独自の商品名や世界観を持たせることも大切だと思う。

成分名で売ると、どうしても他社商品と比較されやすい。
しかし、独自の商品名や世界観があると、その商品自体が記憶に残る。

「〇〇が入っている商品」ではなく、
「あの商品が欲しい」
と思ってもらえるようになる。

そうすると、単なる仕入れ商品ではなくなる。
他社が簡単には真似できない商品になる。
価格だけで比較されにくくなる。
その商品自体が、ブランドになっていく。

売れる商品とは、単に良い商品ではなく、比較されにくい理由を持っている商品だと思う。

5. 素材を語れる商品は強い

強い商品は、素材を語ることができる。
素材を語れる商品には、物語がある。

どこで作られたのか。
誰が作っているのか。
なぜその素材を選んだのか。
他の素材と何が違うのか。
どのような品質管理をしているのか。

こうした背景がある商品は、単なるスペックではなく、信頼として伝わる。

特に通販では、お客様は商品を手に取って選ぶことができない。
だからこそ、素材の背景、開発の理由、生産者の想い、品質へのこだわりが大切になる。

成分を並べるだけでは、比較される。
だから、素材を語れることも、選ばれる理由になる。

6.現場が自信を持てる商品は強い

「商品力」は、お客様だけでなく、社内や外注先にも影響する。

私がおすすめするのは、商品開発の段階で、自社のスタッフだけではなく、ロジやコールセンターまで含めて、試食や試飲、使用体験を行うことだ。

他社製品との飲み比べ、食べ比べ、使い比べも行う。
そのうえで、自社の商品に対する自信や愛情を作っていく。

これはとても大切だと思う。

コールセンターのスタッフが、心から「これは良い商品です」と言えるか。
ロジ現場のスタッフが、「この商品を届けることに意味がある」と感じられるか。
営業担当が、自信を持って提案できるか。

良い商品だから、みんなに広めたい。
お客様に喜んでほしい。
この商品なら自信を持って案内できる。

そういう空気は、必ずお客様にも伝わる。

逆に、社内の誰も本気で良いと思っていない商品は、長く売り続けることが難しい。

商品力とは、社外に向けた魅力だけではない。
社内や販売に関係するステークホルダーが、その商品に誇りを持てるかどうかでもある。

7. 医薬品における商品力

医薬品の場合、商品力の考え方は少し変わる。

第二類・第三類医薬品は、効能効果や用法用量が決められている。
そのため、広告で効能効果を大きく見せたり、承認された範囲を超えて表現したりすることはできない。

だからこそ、差別化できるポイントは限られている。

商品名。
パッケージ。
飲みやすさ。
持ち運びやすさ。
原材料の品質。
成分量の安定性。
製造管理。
情報提供のわかりやすさ。
飲み合わせ。

たとえば飲みやすさであれば、錠剤なのか、顆粒なのか、ドリンクなのか、ソフトカプセルなのかによって、お客様の受け取り方は変わる。
同じ医薬品であっても、日常の中で使いやすい形になっているかどうかは、商品力に大きく影響する。

医薬品における商品力とは、効能効果を大きく見せることではない。
承認された範囲の中で、品質、使いやすさ、安心感、信頼性をどこまで高められるかだと思う。

たとえば漢方薬であれば、量が多い、苦い、においが強い、持ち運びにくいという印象を持つ人もいる。
それを、エキス化、濃縮、錠剤化、カプセル化、包装設計などによって、どこまで日常に取り入れやすい形にできるか。

こうした「使いにくさ」の解決策を提供できることも、商品力だと思う。

ちなみに、返品対応の現場を見ていると、医薬品であっても、返品時の品名が「サプリメント」と記載されているケースを目にすることがある。

もちろん、お客様が悪いわけではない。
錠剤やカプセル、粉末の商品は、一般のお客様から見ると、医薬品なのか、健康食品なのか、サプリメントなのか、区別がつきにくい場合もある。

だからこそ、商品名、パッケージ、同梱物、購入後の案内、返品時の案内を通じて、正しく認識してもらう設計も大切になる。

返品伝票の品名ひとつにも、お客様がその商品をどう認識しているかが表れる。
こうした小さな違和感に気づけることも、ロジ現場の価値だと思う。

8. 機能性表示食品における商品力

機能性表示食品も、表現には注意が必要である。

機能性表示食品は、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などを販売前に消費者庁へ届け出ることで、機能性を表示できる制度である。一方で、特定保健用食品とは異なり、国が個別に審査して許可する制度ではなく、事業者の責任で表示するものとされている。

つまり、届け出された機能性と、実際にお客様が感じる納得感にズレがないことが大切になる。

機能性を強く見せるだけでは続かない。
届いた後に、飲み続ける理由があるか。
生活の中に取り入れやすいか。

味。
におい。
粒の大きさ。
飲む回数。
価格。
パッケージ。
同梱物。
説明のわかりやすさ。

こうした一つひとつが、継続率に影響する。

機能性表示食品における商品力とは、届け出された機能性を土台にしながら、日々の生活の中で「これなら続けたい」と思える体験を作れるかどうかだと思う。

9. 食品における商品力

食品の場合、商品力はとてもシンプルである。

また食べたいか。
もう一度買いたいか。
誰かに勧めたいか。

食品は、どれだけ広告が上手くても、味が弱ければ続かない。

そして、売れ続ける食品には、良い意味での中毒性がある。

また食べたくなる。
冷蔵庫にあると嬉しい。
なくなると不安になる。
誰かに食べさせたくなる。
贈り物にしたくなる。

食品における商品力とは、単に美味しいことだけではない。

記憶に残る味であること。
生活の中に入り込むこと。
もう一度食べる理由があること。

この「また食べたい」が作れる商品は強い。

10. 究極の商品力とは、買いにくくても欲しいと思われる力

商品力を突き詰めていくと、究極的には「買いやすいから買われる」のではなく、「買いにくくても欲しい」と思われる状態に近づいていくのだと思う。

お金を払えば、すぐに買える商品ばかりではない。
待ってでも欲しい商品がある。
予約が何ヶ月先、何年先でも、それでも欲しいと思われる商品がある。
購入までの手間があっても、わざわざ買いに行きたくなる商品がある。

高級ブランドや希少性の高い車、予約の取れない飲食店、何ヶ月も待つ人気商品などは、まさにその象徴だと思う。

もちろん、すべての商品がそうなる必要はない。
通販においては、買いやすさ、分かりやすさ、サイトの使いやすさ、配送のスムーズさはとても大切である。

しかし、本当に商品力がある商品は、多少買いにくくても選ばれる。

サイトのUIが少し分かりにくい。
購入までに手間がかかる。
届くまでに時間がかかる。

それでも「欲しい」と思ってもらえるなら、その商品には強い力がある。

極端に言えば、UIが悪くても買われるかどうかは、商品力を測る一つのものさしになるのかもしれない。

もちろん、売れ始めた後には、UIや購入導線、配送体験は必ず改善した方がいい。
せっかく欲しいと思ってくれたお客様を、買いにくさで逃してしまうのはもったいない。

ただ、順番としては、まず「欲しい」と思われる商品であること。
そのうえで、買いやすくすること。

買いやすさで売るのではなく、欲しさで選ばれる。
そこに近づいていくことが、商品力を高めるということなのだと思う。

11.商品力とは「不」を解消する力

売れる商品は、必ず何らかの「不」を解消している。

不便。
不満。
不安。
不足。
不快。
不調。
不自由。
不信。

お客様は、何かを解消したくて商品を買う。

もっと楽になりたい。
もっと元気でいたい。
もっときれいでいたい。
もっと美味しいものを食べたい。
もっと便利に暮らしたい。
もっと安心したい。

商品力とは、この「不」に対して、どれだけ本質的な価値を提供できているかだと思う。

そして、その価値がお客様に伝わるまでの時間が短いほど、商品は強くなる。

体感が早い商品は、納得されやすい。
納得される商品は、続けてもらいやすい。
続けてもらえる商品は、LTVが伸びる。
LTVが伸びる商品は、広告費をかけても利益が残りやすい。

結果として、ロジ現場にも良い影響が出る。

出荷が安定する。
返品が減る。
問い合わせが前向きになる。
コールセンターも案内しやすくなる。
現場も自信を持って届けられる。

商品力は、物流にも表れる。
だからこそ、我々ロジは、荷主と本質的に、利害が一致したパートナーなのだと思っている。

12.まとめ


私たちは、商品を開発する立場ではない。
広告を作る立場でもない。

しかし、日々、多くの商品を出荷していると、売れる商品と、売れ続ける商品の違いが見えてくる。

体感がある商品。
比較されにくい商品。
素材を語れる商品。
社内の人間が自信を持てる商品。
お客様の「不」を解消している商品。
そして、届いた後に「買ってよかった」と思ってもらえる商品。

出荷する私たちも、ただ荷物を流しているのではなく、
「この商品を待っているお客様がいる」と思える。

ロジ目線で感じる売れる商品とは、単に売上が作れる商品ではない。
お客様に待たれ、現場に愛され、何度も選ばれ続ける商品である。

物流は、商品力の結果として現れる。

だからこそ私たちは、出荷の現場から見える気づきを、商品づくりや販売設計に活かし、荷主のビジネスの本質的な成功を支える存在でありたい。

最後に、この記事を書くに際し、私の思考を壁打ちしてくれた株式会社コウダプロの幸田八洲雄社長に心から感謝したい。


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