祇園祭のお稚児さん事情
日本の三大祭と言えば、
京都の祇園祭
大阪の天神祭
東京の神田祭
只今、そのうちのひとつ京都の「祇園祭」が開催されています。
「八坂神社」のお祭りですが「祇園社」ともいい、地元では「祇園さん」と呼ばれています。
もうかれこれ35年も前でしょうか?
一度だけ行った事があり、あまりの混雑ぶりに辟易して、現地で楽しむのは最初で最後となりました。
同じ三大祭の一つ大阪の「天神祭」も地元であり、近くの会社に勤務していたにも関わらずたったの一度しか行っていません。
暑さに加えて、多くの人がそぞろ歩くので、砂埃が舞い、手にしていたかき氷の中にも混じってしまうほどでした。
確かに現地へ出向いて、美しい光景を見て臨場感を味わうのは貴重な経験ではありますが、私はどちらかというと、エアコンの効いた部屋のテレビでじっくり見たいと思いました。
そして、そのお祭りの起源などを探って、妄想する事だけで十分だと悟ったのです。
起源は平安時代

◇神泉苑での疫病退散祈願が始まり
そもそも「祇園祭」の起源とは、今から約1,100年前の西暦869年、東北で大震災が起こり、平安京では疫病が蔓延した時に始まります。
これだけ見ても、まるで現在とシンクロしますね。
当時の人々はこれを怨霊の仕業とし、この怨霊を鎮めるために神様に頼るしかないと思います。
ヤマタノオロチを退治した強い神様として有名な素戔嗚尊が神輿に乗って、天皇家の庭園であった神泉苑までをお渡りになる道に、当時の国の数である66本の矛を立て、疫病退散を祈願しました。
これが現在の山鉾の起源となったようです。
平安京最古の史跡寺院である「神泉苑」にて、日本に存在した国の数・66本の矛をつくり、現在の疫病の退散を祈願したのです。
以後も、政治的理由や伝染病の流行で何度も中止を経験してきましたが、町衆の強い熱意により、守られ継承されてきました。
お稚児さんには2種類ある

さて、本題に入ります。
今年、3年ぶりに開催されている祇園祭の見どころであり、主役どころである長刀鉾のお稚児さん。
今年は京都の老舗呉服店・おか善さんの御子息に決まりました。
◇長刀鉾は資産家から

おか善さんは寛政年間に近江商人・岡本儀衛門による「近江屋儀衛門」という呉服小売業からの始まりで、少なく見積もっても220年も続く老舗中の老舗なのです。
今の株式会社の「おか善」となったのも昭和25年(1950)のことで、実に70年を超えています。
過去の歴代のお稚児さんの家柄を見ても、ほぼ企業社長の子息で占められいます。
お金持ちの家から選出されているのには、お稚児さんの家には莫大な費用がかかるからなのです。
稚児の家には座敷が必要で
父親は羽織袴・母親は紋付の着物を新調し
関係者の飲食・接待 ハイヤーの手配も稚児家が負担します
そのほか諸々の費用や 御祝儀・心付けなど
大変もの入りで 概ね2千万円以上と言われています。
2千万円には驚きます!
全ての費用が、公的になところから出るのではなく、個人負担であることに驚かされます。
私は伝統催事は国が守るべきだと思っているので、いくら資産家とはいえ、これはちょっと道理が違うような気してなりません。
確かに稚児や禿に選ばれる事は、大変な名誉でありますが、いくらお金持ちでも最低条件がそろわないと無理なのです。
長刀鉾町在住、または関係のあるご家庭から過去1年間不幸がなく、8~10歳の男の子ときまっています。
◇綾傘鉾のお稚児さん

我が子を伝統儀式の主役にしたくても、そんなにも費用はかけられないと諦める一般庶民の方々、ご安心ください。
綾傘鉾のお稚児さんはかなり格安でなれます。
総計 260,000円
【内訳】 ①結納金200,000円 ②父兄支度金 50,000円(衣装代含む) ③後援会年会費 10,000円(1口)
長刀鉾とは2桁も違う26万円です。
これなら一般人にも十分手が届く金額ですし、しかもH.Pでも「一般募集」と謳っていますので、これは公平でいいかもと思い、応募条件をシッカリ確認してみました。
幼稚園・保育園年長~小学校中学年頃までの健康な男児で、 綾傘鉾保存会役員・後援会の推薦がある方
役員の方の推薦がいるのですねー!
これはやはり、応募とは名ばかりのコネによる推薦と見た方が良い感じです。
早くからの根回しは必要のようです。
こちらの稚児は6名が選ばれ、鉾に乗るのではなく練り歩きます。
とはいえ、長刀鉾に比べると、運が良ければなんとか体験できる確率は高いのは間違いないです。
長刀鉾の稚児の役割

◇「神様」として任命される
古代より幼子には神が降霊しやすいと言われ、神社の催事に参加する事が多くありました。
7月1日:お千度の儀
氏神である八坂神社の本堂周りを時計回りに3週回って参拝します。
7月13日:稚児社参
八坂神社でお祓いを受け、「五位の少将」という位を授与される。
この日から祭りの期間中は神としての自覚を持ち、精神も体も清める「精神潔斎」の生活に入る。
◇精進潔斎の生活
・地面を踏んではいけない
強力と呼ばれる男性のお世話係が付き、抱いて移動、
または馬に乗って移動します。
もうこれは太った子はNGですね
・女人禁制
たとえ母親であっても身の回りの世話、作った料理も食べる事不可。
女性の手を一切借りてはいけない。
これは当人より母親の方が辛いかも
・きゅうりを食べてはいけない。
八坂神社の紋は「五瓜唐花」で、きゅうりの断面図を図案化したものなので、その神紋の元を食べる事を禁止。

◇山鉾巡業
7月17日は一番のクライマックスであり、本番です。
・注連縄切り
長刀鉾は数ある山鉾の先頭のため、その稚児は神界と人間界の境目である結界の注連縄をパ~ン!と威勢よく一刀両断します。
これが一番の見せ場で、これから山鉾が進むための道を作るための儀式で、
その場にいる人たちだけでなく、テレビを見る日本中が固唾をのんで見守るところです。
我が子でなくても緊張してしまう瞬間です。
このシーンを見ると、本当に長刀鉾のお稚児さんは大役だと実感してしてしまいます。
当人たちにとってもどれだけ緊張するのか想像すると、可愛そうになってきます。
・鉾の中央での稚児舞
よくニュース案内番組などで採り上げられるシーンです。

身を乗り出すように上半身をせり出して、舞う姿は圧巻です。
同時に稚児の後方でしっかり支えている大人はさぞかし大変だろうと思ってしまいます。
後から続く山鉾のための道を開き、そして率いてゆくという一世一代の大仕事は、彼らとそのご家族にとって一生の宝となるはずです。
同時に京都人にとっては、古代から続く神事に主役となって参加できるという事は、何よりも名誉な事でしょう。
資産家の御子息しかなれないとはいえ、自腹を切って日本の大きな伝統行事をシッカリ守り継いできてくれたことに感謝しかありません。
◇◇◇
当記事は、現在執筆中の奥の枝道シリーズ・京都 神社仏閣編の番外編あるいは下書きメモとして書かせていただきました。
【参考文献】
・Kyoto Love Kyoto
・興味津々
・つれづれ情報日記
※出典元未記入の画像はフリー素材のphotoACより引用
先週もたくさんのスキをいただきありがとうございます!



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