長男の奇妙な話1【体験版】
息子の話を初めてさせていただきます。
私には二人の息子がいて、もちろんどちらも成人して社会人ですので、「子育て」はとうに終わっています。
長男は大人しくて少しボーっとしていて行動も遅く、そのくせ意外にも物事をよく観察していて、ちょっと大胆な一面も持ち合わせているという、私から見ると何を考えているのかわからないタイプ。
暇があればゲームばかりしているオタク。
次男はまったく正反対で、アンテナが多くて落ち着きがなく、反応行動も速い単細胞。しかし、意外にも努力家で生真面目で、忍耐力に富んでいます。
サッカーを幼稚園から高校卒業まで15年間もしていたスポーツタイプ。
2人とも私が産んで、同じように育てたつもりでも、まったく違う人格が出来上がりました。
特に長男は、昔からちょっと不思議な体験をする事があるのです。
過去形ではありません。現在進行形です。
それこそ、他の人には見えないものを見たり、
なんだか意味深い「夢」を見たり。
本人も怖かったからなのか、話すのが面倒なだけのか、一度きりしか話さないので、私はこれはと思う話しは、極力聞いた時にメモるように心掛けています。
そのうちの一部をここに記します。
何かが追いかけて来る!
まだ長男が中学生の頃、高校受験に向けて塾に通っていました。
3年生にもなれば受験勉強にも拍車がかかり、塾の授業は日数も時間も増えて、帰りは22時を回る事が多くなってきました。
塾は、国道を渡っただけではありましたが、隣の校区にあたり、小学校とその裏の住宅街を抜けた位置にありました。
その小学校の裏手には用水路がS字型に流れていて、小学校の裏門に通じるところに古ぼけた石橋がひとつ、その10ⅿ先にも道が延長になったような橋がもうひとつありました。
その日も22時30分ごろだったと思います。
いつもの道を自転車に乗って帰路についたのですが、住宅街を抜けて小学校に差し掛かろうとする時、急に背中がゾワゾワ~と寒気が走り、本能的に「これはあかん!」と思ったそうです。
そして、その古ぼけた石橋の前を通る時、何者かが川の水面をうなだれて見るように立ちすくんでいるのを視界に捉えたのです。
「これは見たらあかん!」と思えたので、正視はしなかったのですが、視界の中で確かにそれは佇んでいたのです。
それを振り切るように猛スピードで自転車を漕ぎながら、ちらっと後ろを振り返ってみても何もなかったので、ちょっと安心して、それでもスピードを落とさずS字カーブを進んで、帰路を急ぎました。
もう一つの橋を渡ったところにカーブミラーが設置されていて、その鏡面が視界に入り、黒い影がシュッと動いたのがわかったので、再び背筋が凍り、またチラッと振り返ろうとすると、自分の顔のすぐ横に何かの黒い顔らしきものが迫って来ていたのです。
驚いて叫びそうになったのですが、あまりの恐怖に声すら出ず、さらにスピードを上げて、「来るな!」と念じながら、一目散に通り抜けたのです。

長男いわく、橋に立っていたアレが追いかけて来た。
アレは少なくとも生身の人間ではない。と言っています。
私も地元のママ友などに聞いてみましたが、そのあたりで何か事件があったとか、怪奇現象があったとかという話しは入手できなかったのです。
その後ずいぶん長い間、気になっていましたが、長男に何かが憑りついた様子もなかったので、そのうちに気にならなくはなりましたが、長男も私も二度とその道は通らず、今でも別ルートを使っています。
冷たい雨の夜に
長男が大学生の頃、大手コンビニでアルバイトしていて、そのうち仕事に慣れてくると、同じ経営者の店を転々と勤務させらるようになって、忙しい時は1回の勤務で複数店を移動することもあり、車での通勤もOKになっていたのです。
11月も終わりごろだったかな。
その日は冷たい雨が降っていたし、ちょっと遠い所の店舗だったので、車で通勤していたのです。
10時過ぎ、勤務を終えて、駐車場の端っこに停めていた車に乗ろうとしたら、車が並んだ一番奥の壁際に立つ男性に目が留まったのです。
「これはヤバい!」とこれまた本能的に思ったので、慌てて車に乗り込むと、その男性は、駐車している車をどんどんすり抜けてこちらにダッシュしてくるではありませんか!
その男性がここに到達する前に行かなくてはっ!と思い、急いでエンジンをかけて出発し、国道に出たところでバックミラーを確認してみたら、追いかけて来なかったのでひとまず安心して、家路についたのです、
ところが、1Kmほど走ったところにある別のコンビニの前に、その男性がうつむいて、こちら側にうなだれた姿で立っていたのです。
うわー!と全身総毛立ち、とにかく夢中でなんとか家まで帰ってきたのです。
後で思い返してみると、寒く冷たい雨降る夜にも関わらず、その男性は黒い半そでのTシャツを着て作業着風のズボンという服装で、その人だけ全く濡れていなかった事を思い出したそうです。
きっとその時は、自分以外には見えていなかっただろうし、自分だけが見えているということを察知したその男性が、何かを訴えたかったのかな…と言っていました。

その男性、とても険しい顔をしながら突進してきたのでメチャクチャ怖かったと言って、真っ青になっていました。
これもなんの逸話も探しあてる事が出来ていないので、その男性が何なのかわからないままなのです。
ただ、季節と状況と服装がまったく合っていないのは、後から気づいた事で、その男性の姿をみたとたん、感覚で「ヤバい」と感じて、背筋が凍ったと言っていました。
鈍感なのか、敏感なのか。
私から見ると日頃の長男は、とてものんびりしていて、どちらかと言うと鈍感に見えるのですが、どいうやら感受性は高く、何かシックスセンス的なところだけは敏感なようです。
自宅にいても、時々不思議体験はあります。
一人で留守番をしていると、リアルに足音が聞こえてきて、インターフォンを鳴らさず、誰かが玄関をドンドン!と激しくノックするので、家族の誰かがカギを持たずに出て、忘れ物でも取りに来たかとおもって、ドアを開けると、誰もいない。とか。
我が家の唯一の和室に、誰かはわからないが、膝から下だけの両足が窓の方を向いて立っていたと言っていた事もありました。
ベージュのズボンに白いソックスの男の人だったとまで言うのです。
他の家族は誰も経験がなく、長男だけが体験しているのです。
本当はすごーく敏感なのでしょうか?
26年もの付き合いになりますが、いまだによくわからない息子なのです。
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