梅と雨と父と酒
梅と雨の季節
しずかな雨の休日に
梅のヘタをホジホジ
ひたすらホジホジ
ホジホジホジホジ…
黙々と 淡々と
ひとり静かに梅仕事をする
そんな時間がとてもたのしい
*
お酒は少しいただきます。
あまり強いお酒は飲めないのですけれど、いちごをウイスキーで漬けたり、梅をブランデーで漬けたりすると とてもまろやかになるので、時期がくると果実酒にしていただいたりもします。
自家製の果実酒には、必ずアルコール度数20度以上の酒を使用。(酒税法)
時間が経つほどに熟成してまろやかな美味しい果実酒になります。
果実酒に使うお酒は お安いもので十分です。
梅酒であれば、 保存環境が良ければ10年や20年経っていても問題なく美味しくいただけます。
これも“育てる”という感じでしょうか。
時間をかけて大切にじっくりと育てる。
うちにも 長期熟成中の梅酒があります。
アルコールが苦手な方には、梅ジュースや梅シロップ、お酢を加えた梅サワーを。
こちらは仕上がったらそのシーズン中にいただきます。
ロックでも、水や炭酸で割ってもおいしいです。
仲間との家飲みの時には 梅酒や梅ジュースをおみやげにするととても喜ばれます。
仲間内では、CHIYA〈チーヤ〉の梅酒 と呼ばれています。
ん? どこかで聞いたような…?
パク… やだ、オマージュって言って。

***
父の日ですね。
わたしの父は10年前に75歳で他界しましたが、若い頃からお酒が大好きでした。
目が不自由でしたが酒屋を営み、自分の店で生涯を終えました。
果実酒を仕込むのも大好きで、母とふたりでいろんなものを試して漬けていました。
けれどもそれは、商売でもなければ売り物でもなく、父のおまけのお楽しみでした。
わたしも実家を離れ、自分で梅酒を漬けるようになってから、その楽しみや喜びがわかるようになりました。
“自分でつくる”という醍醐味は、仕上がっていくその過程も じっくり味わうことができるところ。
初めて自分の梅酒が仕上がって口にした時は感動しました。
青梅は水で洗ってアク抜きをしたら、ひとつひとつ拭いていきます。水分が残っているとカビや腐敗の原因になってしまうので丁寧に。竹串でヘタを取り、梅と氷砂糖などの材料を瓶に詰めます。あとは 毎日(おいしくなーれ)って念じながら 瓶をゆすって待つだけ。
難しいことは何もありません。
梅仕事ってとても単純で地味だけれど、とても静かでやさしい作業です。
*
東京も梅雨に入りました。
この先の暑さ予報に、すでに心がめげております。
梅には疲労回復効果もありますので、もしお好きでしたらこれからの季節、梅ジュースや梅酒はいかがでしょうか。
食欲増進や消化促進効果もあるので、食前酒としてもいいかもしれません。
ただし くれぐれも、飲み過ぎにはご注意ください。
どうかお体にお気をつけて。
よい一日を、よい一週間をお過ごしください。
#207. 『 梅酒 』
⭐︎ひとつずつ確かめながら詰めてゆく 盲目の父の梅の手触り
⭐︎ここからと覚悟を決めた日のように氷砂糖の角は溶けゆく
ー ちる ー

