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新居の玄関で全てが報われる

1月31日の土曜日、夫と、猫2匹と、新しい家で暮らし始めた。福岡市中央区。福岡に来て2軒目の家である。

日取りを決めた際には全く気づいていなかったが、月末の土曜というのは引越しの繁忙期らしい。夫が業者をいくつか見繕ってくれたが、大手は強気価格、地元業者はお値打ちでも「前日まで枠が分からない」と時間指定できなかった。ガスの閉栓はすでに満枠で、退去の前日しか選べなかった。計画できるなら、月末の土日の転居は避けるべし、と次の転居まで覚えていたい。

福岡に来るときもそうだった。わたしたち夫婦は、6年半前の2019年8月、コロナ禍によるリモートワークが一般化する前に、京都から福岡に来た。当時は夫婦で同じ会社に勤めていたが、家庭の事情……夫の父親の介護を理由に、夫の地元である福岡に戻りリモートワークをすることを会社に相談した。ちなみに、夫は福岡行きをかなり渋っていたが、わたしは「行かないと後悔するだろうな」と覚悟を決め、夫に対しても会社に対しても半ば強引に押し切った。10年以上の結婚生活の中で、夫の強い反対を覆すほど強く意思表示をしたのはそれくらいしかない。兎にも角にも、決めてから実際に引っ越すまで1ヶ月半しかなかった。物件も日取りもエイヤで決め、当日は猫2匹とともに新幹線に乗り(台風による計画運休の直後だった上に、酷暑で猫が苦しみ大変だった)、文字通り死に物狂いでやってきた。

そんなわけで、我々夫婦は計画性が皆無なのだけれど、今回の家は見つけるまでに足掛け5年くらいかかっている。我が家にとっては必須要件である猫2匹の飼育が可能な賃貸物件というのはこの世にほぼない。体感値としては0.1%あるかないか。その上、希望の間取りや立地などの条件を加えると、本当にない。

6年半前は、時間との勝負で贅沢を言っていられなかったので、「猫2匹飼育可能」だけを条件とし不動産屋にお任せだった(が、結果的にその家と街をとても気に入り6年以上住んだので、不動産屋というのはすごい)。今回は、そろそろ新しい物件を見つけるかと思い立ってから、のんびり、しっかり、選んだ。仕事の休憩中、いやオンラインMTGの合間にも、R不動産を見続けていたことを白状しておく。

「そんなに希望があるなら家を建てるべし」と思われるかもしれないが、実は京都には持ち家がある。持ち家があるのに引越して来てしまった。一生住むと思っていたんだけどね。計画性が皆無な夫婦にとって、大きな買い物はしばらく不要なのである。

話を新居に戻そう。今回の引っ越しも例に漏れず大変だった。引越しの繁忙期なことに加えて、仕事も忙しく(これは自分の責任だが)、転居日の数日前には膀胱炎になり焦った。6年ですっかりシニアとなった飼い猫も、新居に馴染めるか不安だった。

それでも、引越し当日、猫2匹を自家用車に乗せて新居に降り立った瞬間、全てが報われた。この景色。理想の家だ、と思った。諦めずに探し続けて本当に良かったな。

入居直前に玄関から眺めた景色(家具はオーナーさんが残してくれたもの)

引越しで得た教訓がひとつある。理想を描き、諦めなければ、いつか理想に出会える可能性があるということだ。わたしは、どうやってやるのか、うまくやれるのかにフォーカスしがちだが、理想の暮らしを諦めてはいけない。

計画性のなさは、理想を手に入れるための、柔軟性と適応力だったんだと思いたい。

あ、心配していた猫は引越し翌日からすっかりくつろいでいて笑っちゃった。これからも仲良く暮らそうね。

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