フロム新作がSwitch2で出るということ
4月2日の22時のニンテンドーダイレクトにて、
「Switch」の後継機「Switch2」がお披露目された。
各種使いやすくなった部分や単純に高性能化した部分。ボイスチャットが標準装備されるようになったことなど、全体的に見れば「PlayStation4」を携帯機化したような印象。
ようやっとFHD(1920×1080)に対応したことで、いまだにPS4と5の縦マルチで発売されているタイトルの多くが、このSwitch2でも移植可能ということになったわけだ。
中にはPS4ではほぼまともに動かなかった「サイバーパンク2077」まで移植されるようで・・・・これはむしろ本当に動くのか?と心配になるものも。
そしてソフトラインナップの終盤に発表されたのが、フロムソフトウェアの、
Switch2専用タイトル「THE DUSK BLOODS」。
久しぶりの任天堂機での作品
実はフロムソフトウェア、任天堂ハードのみならず色々なハードでゲームを出していた。
2001年に発売されたXboxにはハイスピードロボットアクション「叢 MURAKUMO」が。
同年には任天堂のゲームキューブからカードバトルアクションの「RUNE」。
PSPではシリーズ異色作の「アーマード・コアフォーミュラーフロント」。
NintendoDSではPS2で発売された「くりクリミックス」から「くりクリDS おたすけアイランド」。
次世代機に入るとXbox360でRPG「【eM】eNCHANT arM」。
携帯電話の方でもアーマードコアやキングスフィールドがあり、直近ではPSVR専用タイトルで「Déraciné」といったぐあいで、新しいハードが発売されると早い段階で作品を送り出すのがフロムソフトウェアの特徴だった。
けれどもゲーム機が高性能化していくにつれて開発費、開発時間も増えてきて、ここ10年は性能を重視したソニーやマイクロソフトの方でのリリースが占めていた。
実に十数年ぶりとなる任天堂機での完全新作ということで、今までとは違うユーザー層にフロムソフトウェアのゲーム体験を送ることが出来るのだが、一方で気がかりな点も。
PvE

新作「THE DUSK BLOODS」はPvE(Player versus environment)、
つまりプレイヤーは用意された敵(AI)を相手に戦うというもの。
恐らくはオンラインで協力して複数人で敵を攻撃したりすることも出来るだろうが、「THE DUSK BLOODS」はPvPvEと表記されており、
プレイヤー同士の対戦も出来るとのこと。
このシステムはこれまでのフロムソフトウェア作品の中ではお馴染みとなっているもので、
今回の新作ではよりその部分を強調したものであると考えられるが、実際のところこれまでの作品がこのシステムを上手く扱えていたのかどうかはよくわからない。
矛盾したゲームシステムの系譜
2009年の話題作となった「デモンズソウル」から、PvP、ならびにPvEが存在する。
相手の世界に侵入するという形でマッチングし、そこで相手プレイヤーを倒すことで今度は自分が襲われる形になる(生身状態となり侵入される対象になる)。
生身になると体力は常に満タン状態(非生身状態では半減される)。そのステージの攻略難度が下がることになるし、他プレイヤーを召喚するという形でマッチングさせ、協力して最奥のデーモンを倒すことが出来る。
当初はこういったサイクルが生まれるはずだったが、蓋を開けてみれば侵入してくるプレイヤーがそんじゃそこらのデーモンよりも手ごわくて、ステージ攻略の難度は飛躍的に上がるうえ、
逆に侵入する側は協力者を呼び寄せた相手プレイヤーによって集団リンチの状態を作られ、倒すどころか妨害することすら難しい両極端な状況が生まれた。
挙句、タイマンでの決闘形式をする“道場”なるものも流行り出し、おおよそ侵入する側される側というシステムが、このゲームで機能していたとは言い難い。
ただプレイヤーが編み出した遊び方というものを否定するのもおかしな話で、実際に次回作にあたる「ダークソウル」では正式に闘技場という場が設けられた。
しかしながら高難易度という謳い文句をしている中で、
誰が嬉しくて相手によってランダム性があり、到底無理な状況で戦わざる得ないものをやるかという疑問がある。
こっちは観察してじっくり攻略したいのにPvPも加わった日には攻略どころの話ではないわけで、結局、マッチングしない状態にさせて攻略するのが常となり、PvPとPvEを発見と突破を売りにした作品に盛り込むことは失敗していたと言わざる得ない。
オンラインに対する姿勢

なにより一番気掛かりなのが、フロムソフトウェアのオンラインに対する技術力ならびに捉え方。
13年前の「アーマード・コアV」でかなりのバッシングを受けた理由のひとつが、そのオンライン周りについてだった。
「アーマード・コアV」でのメインとなる領地戦は、一定条件が用意された作戦をクリアしてその領地の耐久値を減らし、
耐久値が減った領地の防衛側と侵攻側に分かれて4人チームで戦い、防衛側が勝てば領地の耐久値が回復し、侵攻側が勝てばその領地を奪える。
しかし数多のチームが存在する中で直接侵攻側のチームと相対するのは1チームだけで、必ずしも耐久値を多く減らしたチームが領地をめぐる戦闘にマッチングできるわけではない。
武器の性能変化といった機能も、発売前の生放送では「戦闘に参加しない形でチームに貢献できる」とまで発言したりしたが、欲しい性能が出るまで幾度とない戦闘をしなければならない都合上、一回3分もかからない敵ACの対決を延々と繰り返す作業が余儀なくされることなど、
オンラインでは効率的なプレイが主になるユーザーのプレイをまるで想定してなかったルールのうえ、技術的な欠陥(マッチングしない、そもそもログインも出来ないことやバグ等)が重なり、シリーズ最大級の大批判を浴びた。
それもあって、次回作の「アーマード・コア ヴァーティクトデイ」では武器性能変化はユーザーが任意でできるようになり、領地戦は勢力戦に変わって必ず対人戦が行えるように変更された(マッチングしない場合は防衛装置との戦闘になる)。
おおよそユーザーがオンライン時とるプレイを想定したデザインにはなっていないことがあるのがフロムソフトウェアの作品には多く、総じてオンラインに対するノウハウは最底辺と言わざる得ない。
「デモンズソウル」から始まったPvPの機能は「ブラッドボーン」や「エルデンリング」まで採用され続けたが、どれもうまく機能していていたとは言いづらく、
通信ラグといったオンラインではつきものの不平等さというのも、他ゲームよりも顕著であるというのがこれまでのフロムソフトウェア製のオンラインだった。
過去作から要素を分離

今回の「THE DUSK BOODS」がマルチプレイ用のPvPvEであると公言したことは、先述した過去のPvPやPvEを分離・独立させて、メインコンテンツへと昇華させたということになる。
特に今回、新たなSwitch2にハードを移したことで、
より気軽にワイワイ楽しみながらマルチプレイが出来るという利点がある。
携帯機としての手軽さを存分に活かすというのもあるが、Discordのような機能も備わっているため、マルチプレイ環境としては最適な場所に見える。
発売日は来年中ということだが、問題はその一年前にあたる今年の6月。
競合する「Elden Ring Nightreign」

今年の5月30日、まさにSwitch2や「デスストランディング2」が待ち受ける荒波の中でリリースされるのが、
同じフロムソフトウェア製の「Elden Ring Nightreign」。
対人要素は無いが、同じくPvEのマルチプレイがメインとなる作品。
「エルデンリング」の世界観で三日間を生き抜くというルールだが、ロールプレイを促すキャラクターの性能だったり、「エルデンリング」よりもアクションの幅を広げていたりと、「THE DUSK BLOODS」に通じる部分が多い。
更にディレクターは宮崎氏ではない。
昨今、映像に「Hidetaka Miyazaki」の名前が出れば歓声があがるほどにまでなったフロムソフトウェアが、
似たような仕様、似たようなジャンル、似た技術力を一年越しに、今度は宮崎氏がディレクターとして出すという不思議なことが起きている。
特に今年はマルチプレイ面では「モンスターハンターワイルズ」も発売され益々混沌と化しているわけで、「Elden Ring Nightreign」は初めから逆境の中で発売されるという自社製品を自らアウェーな状態にさせている。
一年後のフロムソフトウェア
ここ十数年のフロムソフトウェア作品群は宮崎英高という逸材に頼りっきりという点がある。
なにより一年後の2026年になっても、エルデンリングと変わり映えしないビジュアルスタイルを貫くというのが、なかなか不安にさせる。
名前は大手会社と同じぐらいにまで上がっているにも関わらず、技術力に関しては先述したオンライン他グラフィック面でも不満が残るし、世界観も変わり映えしない。
新しいディレクターを選出し、フロムソフトウェア内での多様性を出していきたいところにも関わらず、一年越しに似たジャンルのものを出してきて共食い状態にさせる意図が本当にわからない。
結局、今回の発表はここ十数年間やれていなかった任天堂機での再展開というだけで、
フロムソフトウェアの技術的、ゲームの思想的なアップデートが一年後も変わらないことを証明したことになる。
果たして本当にそれでいいのかどうかの判断材料は「Elden Ring Nightreign」にかかっていると言っていい。
先述したようにフロムソフトウェア製のオンライン作品は、乱暴な言葉で言うと“ろくなものではない”。
それは以前の記事でも書いたように2009年の「デモンズソウル」以降、ほとんどシステムを変えずにやってきたからとも言えるし、
今回の「Elden Ring Nightreign」のネットワークテストがログインに時間がかかったり、そもそもログイン自体が出来なかったり、参加人数が不足したりといった技術的トラブルが12年前の「アーマード・コアV」でもあったからだ。
勿論、テスト段階なのでネットワーク関連のエラーは付き物だし、
むしろその段階で不具合等をあぶりだすのは非常に有益なことだと思う。
しかし前例がある以上、本当に大丈夫?という心配も出るのも当然ではある・・・。
逆に言うと、今回の「Elden Ring Nightreign」がゲームとしてトラブルなく評価が高いものであれば、
一年後の「THE DUSK BOODS」の期待は更に高まるということになる。
・・・にしたって、あまりにも前座的な印象をフロムソフトウェア自らが植え付けるのもなかなか酷い話ではあるが・・・。
