ファーウェイ:界と境の違いと電子ねじ戦略を改めて説明
華為(Huawei)上級副社長であり引望CEOの靳玉志氏は先日、36Kr Autoの取材で、鴻蒙智行(HIMA)のいわゆる界シリーズと、同氏が主体で進める乾崑の境シリーズについて説明した。HIMAはより上位の同社常務董事の余承東氏の管轄のため、おそらく余氏の同意を得た上での発言だと思われる。ここで同氏は改めてHuaweiの自動車事業における「電子ねじ戦略(Electronic Screw)」を強調。ここでは、同氏が述べた界と境の違い、そして同氏が強調した「電子ねじ戦略」について解説する。

界と境
まず、中核戦略として、界は30万元以上を中心として、高級市場におけるベンチマークを構築する、という。境は30万元以下を中心として、主流市場におけるベンチマーク需要を補完する、とした。両者は相互補完関係にあり、目標は共通。ともに「電子ねじ」戦略を実践するものだとした。
それによれば、共通認識として、HIMAは30万元以上の市場でベンチマークとなる車種を作り、30万元以上の車両がADSやHarmonySpace等を含むHuawei乾崑インテリジェントソリューションを全面採用できるようにする。
補完として、30万元以下の市場にも同様にベンチマーク車種が必要であるとの認識を示し、これが「境」が誕生した理由であり、より広い消費市場をカバーするためであるとした。
両者の関係はつまり、競合関係ではなく、相互補完の関係であるとし、一部で価格帯や車種が重なることはあるかもしれないが、全体としての役割分担は明確であり、ともに「電子ねじ」戦略を実現していくものだとした。
HIMA界シリーズ
余氏の管轄でどちらかといえばOEMは組み立て屋
問界(AITO) - 賽力斯(SERES)
智界(LUXEED) - 奇瑞(CHERY)
享界(STELATO) - 北汽集団
尊界(MAEXTRO) - 江淮(JAC)
尚界(SAIC) - 上汽集団
乾崑 境シリーズ
靳氏の管轄でどちらかといえばHuaweiはサプライヤー的
啓境(AISTALAND) - 広汽集団
華境(Huajing) - 五菱(Wuling)
奕境(EPICLAND) - 東風集団
電子ねじ戦略
これはHuaweiが自動車事業で繰り返し使っている比喩で、「自動車メーカーにはならず、クルマを支える電子部品・知能システムの中核サプライヤーになる」という考え方を表している。「ねじ」は車の完成後には目立たないが、なければ車は成立しない。同じように、Huaweiも「黒子」として自動車メーカーを支える立場を目指す、という意味となる。
それでは、なぜ「電子」なのか、となると、従来の自動車では、ボルト・ナット、エンジン部品、シャシー部品が車を支えていた。一方、スマートカーでは、自動運転・コックピットOS・通信・センサー・コンピューティング・電源・制御といった電子・ソフトウェアが車の競争力を左右する。
「これからの車を支えるのは機械のねじではなく、電子技術という『電子ねじ』である」という発想だ。Huaweiは今まで何度も「車を作らない」と表明してきた。その代わりに提供するのが、乾崑ADSやHarmonySpace、車載OS、MDC(車載コンピュータ)、LiDAR、通信モジュール、電動化部品などとなる。
つまり、完成車メーカーではなく、知能化プラットフォーム企業になるという立場だ。「電子ねじ」は、その役割を分かりやすく表現した言葉となっている。界と境との関係で言えば、それぞれ違う価格帯での役割分担が示された上で、両者は競争するのではなく、Huaweiの「電子ねじ」をより多くの車種へ組み込むための二つのルートという位置付けになる。
目的は共通で、より多くの完成車メーカー・より多くの価格帯に、Huaweiの知能化技術を浸透させることにある。この言葉には、単なる部品供給以上の意味がある。
完成車ブランドとは競合しない
どのメーカーにも採用される共通プラットフォームになる
車の価値の中心を機械から電子・ソフトウェアへ移す
採用車種が増えるほどHuaweiエコシステムが強くなる
言い換えれば、「Androidがスマートフォン業界で果たした役割を、自動車業界で実現する」ことに近い考え方と言える。今回の同氏の発言は界と境という一般はもちろん、業界人にもわかりにくい分類に対して、改めて「電子ねじ」思想によって概括したとも位置付けられる。
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