海を渡って見つけたキャリア|ドイツ|#未来に向けた挑戦|点と線を繋ぐ|ドイツ暮らし
なぜ多くの経験が必要なのか
「世に出たら、たくさんの経験をするといい。
好きなことでも、どんなことでも
とにかく挑戦するんだ。
点をひとつの経験だとすると
年を追うごとに点はドンドン増えていくよね。
1つずつは全然関係ないように見えるけれど
数年、数十年と経った時
それは全て繋がるんだよ。
未来へ繋ぐ線になる。
道になるんだ。
それが自分のチカラ。
行くべき方向。
だから、ひらすら挑戦するんだよ」
中学3年生の時の国語授業。
先生からこの話を聞いた時
なんとなくわかったような
わからないような感じでした。
それが…
まさか
日本を出てドイツで暮らすようになり
この言葉の意味を理解する日が来るとは
思いもしませんでした。
点しかない…
大学卒業後に教員試験に落ちて
長年の夢が崩れ落ちました。
薄い封筒に入った紙を見た瞬間
夢だけを追っていた自分の甘さを知りました。
でも、試験に落ちたであろうことは
受験した時に予想していました。
なぜなら
極度の緊張で頭が真っ白になり
面接で何もできなくなってしまったのです。
それからは
どんな仕事がしたいかより
自分に足りないものを補ったり
興味関心のあるものを仕事にしました。
まず、人前で緊張しないようになるために
営業職を選んだのですが
数百人いた同僚が
数人になる状況を目の当たりにし
会社の駒としての働き方に疑問を抱き
先が見えなかったので退職しました。
そして、次に経営陣の考え方が知りたくなり
秘書をすることにしたのです。
とにかく現場で経験を積んで
社会人としての階段を
少しずつ上がっていきました。
でも、結婚してドイツへ行くと
学歴や日本で取得してきた資格は
意味を成しませんでした。
そもそも
日本について知らない人が多いですし
ドイツにいる以上
ドイツ語を話し
ドイツの資格を持っていることが
重要だったからです。
マイスターの国と
呼ばれるだけのことはありました。
当時は
ドイツ語も全然話せず
ドイツで暮らしたこともなかったので
もう、降参しそうになりました。
でも、その時に頭をよぎったのが
あの中学校の国語の先生の話でした。
そこで
それまでの点を全て書き出して
その時点で自分ができることを洗い出し
そこから出発することにしたのです。
前に進む勇気
それまでの点の経験を書き出すにあたり
たとえ言語が違っても
仕事として回せる業務に目を向けました。
ちょうどその頃
「挑戦してみたら?」と
ある方に勧められた求人があり
面接を受けに行きました。
幸い、英語が通じたので
それまでの経験を中心に話をすると
驚いたことに採用してもらえたのです。
ドイツでの初仕事は
モダンダンスの舞台制作アシスタントでした。
日本にいたら、まず職探しの候補として
目を留めることはなかったと思います。
でも、積み重ねてきた点をかき集めたら
できるような気がしたのです。
日本にいる時
趣味でダンスをしていました。
また、レッスン料を浮かせたり
英語通訳の経験を積むために
裏方の仕事も手伝っていたのです。
また、企業での事務経験もあったので
出演者の名簿作りやスケジュール調整
舞台活動の会計補助や
衣装や必要品の調達サポートなど
細々とした仕事もこなすことができました。
日本にいた時のような
仕事の探し方をしていたら
きっと見つからなかった仕事。
それまでの点が少しずつ繋がり道になった
新しい発見でした。
その後、無事公演を終え
初仕事は終わったのですが
数か月後に
別の場所で公演があるので来て欲しいと
お声を掛けていただけたのです。
間髪入れずに「喜んで!」と返事をしました。
そして、日本とドイツを行き来し数年後
再びドイツで暮らすようになりました。
今度は全く土地勘のないベルリン。
点が再び線になった
人生2度目のドイツ暮らしは
ベルリンで始まりました。
しかし、前回と大きく違ったのは
幼い子どもを連れていたことでした。
「初の育児」と「新しいキャリア」
ドイツ語は勉強したので
話せるようにはなっていましたが
土地勘がなく
生まれ育っていない異国の地で
育児と仕事をするのは至難の業。
そこで再び点の経験を
書き出すことにしました。
とは言え
前回初めてのドイツ暮らしを経験し
日本に戻ってからというもの
会社勤務やフリーランスとして
バリバリ働いていたので
オフィスで働きたい気持ちは
なかなか捨てられませんでした。
でも、それは日本での話。
ドイツでは
ドイツの基準に合わせるしかないのです。
そうして、見つけたのが今のパート先でした。
地元のドラッグストアに毎日のように足を運び
目をつぶっても店内を歩けるくらい
各売り場の商品の位置を覚え
日常生活で商品を試しては
良し悪しを調べていました。
店舗の雰囲気も買い物の際に見ていたので
実際に働くことを想定し
イメージができていました。
面接では、希望していたポジションが
勤務時間の関係で合わなかったのですが
自分の点の経験について説明し
今の仕事を得ることができたのです。
日本の自分のイメージを持ったままでは
得られなかった仕事でした。
過去と未来
過去に経験してきたことは過去のこと。
未来に向けて挑戦するのは
過去を土台にして、階段を昇ること。
過去は土台にしても
過去と今を比較しないことが
大切だと感じています。
歳を取り
ライフステージが変わり
自分の住む国や場所が変わりました。
これではもう
過去と現在の比較はできませんし
しても仕方がないのです。
あの時は良かった。
あの時の自分はもっと輝いていた。
新しいことを始める時は不安ですし
過去の楽しかった思い出は
なかなか忘れられないものです。
でも
過去の点を集めれば
必ずそれらの点は線になり
未来に進む道を作っているのです。
まさに今歩んでいる道も
未来の自分へのプレゼントになる。
今は育児中で昔のようには働けていません。
やりたいことも、たくさんあります。
でも、新たなライフステージで楽しみながら
次の未来へ向けて働くことはできています。
今日もベルリンで
家族と無事に変わらぬ日を送れるのは
過去の自分がその時々に挑戦し
いろんな経験をしてきたからだと思っています。
過去の点の集合が
未来への挑戦に繋がる道になる。
そうした学びを得たのが
海を渡って見つけた新しいキャリアでした。

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