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自治体コンサルやアドバイザーが着任したら、その人の「会社」と「所属団体」を見ておこう

自治体に、新しいコンサルやアドバイザーがやってくる。

地域活性化アドバイザー。

観光アドバイザー。

DXアドバイザー。

地域ブランドの専門家。

官民連携の専門家。

肩書きを見ると、なんとなく安心してしまいます。

「国の制度に登録されている人だから」

「ほかの自治体でも実績がある人だから」

「専門家として紹介された人だから」

もちろん、本当に優秀で、誠実に地域を支えている専門家はたくさんいます。

だからこそ、アドバイザーが着任した時に、一つだけ自治体側でやっておいた方がいいことがあります。

それは、

本人の経歴だけでなく、その人が経営している会社、役員を務めている法人、所属している団体まで確認しておくことです。

難しい調査ではありません。

むしろ、公金を扱う仕事なら、ごく普通の確認です。

名刺だけを見ていてはいけない

アドバイザーを紹介するプロフィールには、たいてい華やかな経歴が並びます。

「全国各地の地域活性化を支援」

「官民連携プロジェクトを多数担当」

「○○省専門家」

「○○市アドバイザー」

それを見れば、経験豊富な人物なのだろうと思います。

しかし、本当に確認したいのは、その肩書きの数だけではありません。

その人が、

どんな会社を経営しているのか。

どんな法人の役員なのか。

どんな一般社団法人や協会に所属しているのか。

どんな事業者と共同事業を行っているのか。

ここまで見て初めて、その人物の「仕事の全体像」が見えてきます。

なぜ所属団体まで見る必要があるのか

理由は単純です。

アドバイザーの仕事と、その人自身の事業が、完全に無関係とは限らないからです。

たとえば、自治体から観光について助言する人がいたとします。

その人が同時に、

観光事業を受託する会社を経営している。

イベントを運営する団体の役員をしている。

研修事業を販売する法人に所属している。

システム開発会社と事業提携している。

補助金申請支援を行う企業と連携している。

こうした関係があったとしても、それだけで問題があるとは限りません。

むしろ、現場経験のある専門家だからこそ、関連事業を手掛けていることもあります。

問題になるのは、

その関係が明らかにされないまま、助言する側と利益を得る側が重なっていくことです。

「この事業をやりましょう」の、その先を見る

たとえば、アドバイザーから、

「この地域にはDXが必要です」

という提案があったとします。

それ自体は、何もおかしくありません。

では、その次です。

DX事業の仕様を誰が考えるのか。

公募条件を誰が決めるのか。

事業者を誰が紹介するのか。

審査に誰が入るのか。

そして、最終的に誰が受注するのか。

ここまで追っていく必要があります。

もし、

提案した人の会社。

その人が役員を務める団体。

その人と共同事業をしている会社。

その人が紹介した事業者。

などが次々に契約先へ入ってくるのであれば、少なくとも自治体は一度確認した方がいいでしょう。

「偶然なのか」「事前から関係があったのか」「利益相反管理は行われているのか」

を整理する必要があります。

人を見るのではなく、「関係図」を見る

ここで大切なのは、人を疑うことではありません。

見るべきなのは、人物ではなく関係です。

アドバイザーを中心に、

本人の会社。

所属する一般社団法人。

NPO。

協会。

共同事業者。

過去の受託先。

現在進行中のプロジェクト。

これらを一枚の紙に書いてみる。

すると、とても分かりやすくなります。

たとえば、

助言者

関連団体

受託事業者

という関係があるかもしれません。

あるいは、

アドバイザー

事業提案

関連企業が応募

同じ人物が審査や選定にも関与

という構図が見えてくることもあります。

逆に、きちんと整理してみたら何の関係もなかった、という場合もあります。

それなら、それで安心できます。

だから調べるのです。

会社のホームページだけでは分からない

確認する場所は、それほど難しくありません。

法人番号。

商業登記。

会社ホームページ。

一般社団法人やNPOの役員一覧。

自治体の委員名簿。

過去の公募結果。

契約結果。

補助金の採択一覧。

イベントの主催・共催・協力欄。

プレスリリース。

本人のプロフィール。

こうした公開情報を並べるだけでも、かなりのことが分かります。

特に注意したいのは、

「所属」

「顧問」

「理事」

「代表」

「共同代表」

「パートナー」

「アドバイザー」

といった表記です。

本人の会社だけ確認して安心してしまうと、別法人を通じた関係が見えないことがあります。

だから、

法人名ではなく、人を起点に調べる。

これが重要です。

公募が始まってから調べても遅いことがある

利益相反の確認というと、事業者の公募や審査の段階で行うものだと思われがちです。

しかし、本当はもっと早い方がいい。

アドバイザーが着任した時点です。

なぜなら、アドバイザーは事業そのものを設計する立場に入ることがあるからです。

「どの事業をやるか」

「どんな仕様にするか」

「どれくらいの予算を付けるか」

こうした上流工程に関わった人物や、その関係者が後から受注側に入るのであれば、公募だけを公平にしても十分とは言えません。

入口から確認しておく必要があります。

「利益相反」は、不正があった時に使う言葉ではない

利益相反という言葉は、ときどき誤解されます。

「利益相反があると言うのは、相手を犯罪者扱いすることではないか」

そんな受け止め方をされることがあります。

違います。

利益相反とは、

その人の公的な役割と、私的な利益が衝突する可能性のある状態を管理するための考え方

です。

利益相反が存在すること自体が、直ちに不正を意味するわけではありません。

だからこそ、

関係を申告する。

審査から外れる。

意思決定に参加しない。

契約条件を公開する。

第三者が判断する。

という仕組みを用意します。

きちんと管理されていれば、専門家にとっても自治体にとっても、その方が安全です。

良い専門家ほど、開示を嫌がらない

私は、ここが一つの目安になると思っています。

どんな会社を経営しているか。

どんな団体に所属しているか。

どんな事業者と関係があるか。

自分と関係する会社が公募に参加した場合どうするか。

こうした質問に対して、誠実な専門家であれば、多くの場合きちんと説明できるでしょう。

むしろ、

「誤解されないよう、最初から申告しておきます」

という人の方が安心できます。

利益相反管理は、専門家を縛るものではありません。

専門家自身の信用を守る仕組みでもあります。

自治体側も「知りませんでした」では済まない

そして、もう一つ大切なのは行政側です。

後になって、

「その会社がアドバイザーの関係会社だとは知りませんでした」

「同じ団体の役員だとは知りませんでした」

「過去から一緒に事業をしていたとは知りませんでした」

となってしまえば、住民から見れば、

「では、契約前に何を確認していたのですか」

という話になります。

特別な調査能力は必要ありません。

少なくとも公金を使う事業なら、

アドバイザー本人。

本人の会社。

役員を務める法人。

所属団体。

主要な事業パートナー。

これくらいは、着任時に利益相反確認書として提出してもらってもよいと思います。

そして毎年更新する。

関連法人が自治体事業へ応募する場合には追加申告する。

これだけでも、かなりの問題を未然に防げるはずです。

「誰を知っているか」ではなく「誰と利害関係があるか」

地方創生では、人脈が強調されることがあります。

「この人は国に顔が利く」

「この人はいろいろな自治体を知っている」

「この人なら有名企業を連れてこられる」

確かに、人と人をつなぐ力は大切です。

しかし公金を扱う以上、それと同じくらい、

誰と利害関係があるのか

を見る必要があります。

人脈は武器になります。

一方で、人脈がそのまま契約関係になれば、利益相反のリスクにもなります。

だからこそ、可視化しておく。

それだけのことです。

アドバイザーが来たら、まず一枚の関係図を

新しいアドバイザーが着任した。

そんな時、私は自治体に一つだけ勧めたいことがあります。

履歴書をファイルに入れて終わりにしないことです。

その人を中心に、

会社。

団体。

役員。

関連事業。

過去の受託。

共同事業者。

現在の契約。

を一枚の関係図にしておく。

そして新しい事業が始まるたび、その図を確認する。

難しいガバナンス改革ではありません。

数時間あればできることです。

けれど、その一枚が、

後になって何千万円もの公費をめぐる説明に苦しむ事態を防ぐかもしれません。

地方創生に必要なのは、

人を疑う文化ではありません。

関係を隠さない文化です。

良い専門家を安心して迎えるためにも。

自治体職員を守るためにも。

そして何より、市民のお金を守るためにも。

アドバイザーが着任したら、

まず、その人の「名刺の裏側」を見ておく。

それくらいが、ちょうどいいと思います。