#27 「動くモックがすべて」スマートバンクのデザイナー2人と語る、デザイナーがOpenAI APIを叩く時代へ
Ubieのプロダクトデザイナーのchihokotaroです。今回のユビーデザインラジオは、スマートバンクのputchomさんとhasegawaさんをゲストにお迎えして、AI家計アプリ「ワンバンク」のAIキャラクター設計とプロトタイピングについて話しました。
ワンバンクには「ワンバン君」というメインのAIキャラクターのほかに、辛口で鼓舞してくれる「デビルワンバン」、甘口で何でも褒めてくれる「なるように」、機能を案内する「システムさん」という個性豊かな仲間たちが住んでいます。今回はこの「ワンバントーク」というAI機能の設計と、デザイナーがどう関わって作ったかを伺いました。
今回はユビーデザインラジオ史上最長のエピソードとなり、4人の話は尽きなかったのですが、その中でも印象的だったテーマを3つピックアップしてご紹介します。
動くモックがすべて——フロント側から直接OpenAI APIを叩く
putchomさんが繰り返し話していたのが、「Staticなモックアップは意味をなさない」というプロトタイピングのLLMを使ったプロダクトならではの検証方法についてでした。普段スマートバンクではユーザーインタビューで仮説を立てて、ソリューションを設計して……というプランニング型のプロセスが多いそうなのですが、今回のワンバントーク開発はちょっと違ったとのこと。
結構僕が最初にもう動くモックアップをWebフロント側で作っていったってのがあって、というのもエージェントとかって、スタティックなモックアップとかがあんま意味なさないなとか、そもそも価値みたいなものが、初期段階でそんなに見えないなって思ってたんです。——putchomさん
putchomさんがフロント側から直接OpenAI APIを叩いて、社内アクセス限定で「動くモック」を立ち上げ、社員が触りながらフィードバックを返す。そのフィードバックをもとにシステムプロンプトを更新して回答品質を上げていく——という進め方をされたそうです。
AIプロダクトは触ってみないと価値の輪郭が見えないのは、ユビーで開発しているAIパートナーでも全く同様でした。また実際に「作れる」環境になってきたことも、開発する体験に大きく影響を及ぼしていることを感じます。
3体のキャラクターと「お金の話は人と状況で違う」
ワンバントークには3体のキャラクターがいます。フラットに受け答えしてくれる「ワンバンくん」、辛口で鼓舞してくれる「デビルワンバン」、甘口で何でも褒めてくれる「ナルヨーニ」。なぜキャラを分けたのか?という話で、hasegawaさんがこんなインサイトを共有してくれました。
節約したいなって時には辛口で、使っちゃダメだよって言ってほしいんだけど、本当に落ち込んでる時は優しく慰めてほしいなみたいな感じで、人によっても何て言われたいかがすごく違うのが、一通りでこう説明できない、本人もどうしてそう思うのかってのも分からないし、ルールで決められないものがやっぱりあるというのが分かっていて——hasegawaさん
お金は人によって、そして同じ人でも状況によって、求める相手が変わる。それを「キャラクターを選べる」という形で受け止めるのが、ワンバントークの設計でした。
私自身まだデビルには話しかける勇気がないのですが(…)、デビル選んだ時点で、家計に対するモチベがある。真剣に向き合おうって気持ちがないとあれを選ぶのは勇気がいる!という、キャラを選ぶ行為にもその人のお金への向き合い方が現れそうだな……と感じ、選択肢があることで体験が深まる可能性を感じました。
システムプロンプトを階層で整理する——ベース層 × キャラ層
開発の中で工夫したところとしてputchomさんが挙げてくれたのが、システムプロンプトの設計です。複数のキャラに対してそれぞれシステムプロンプトを渡す必要があるため、どう整理するかをClaudeに相談したそうで……。
ベースプロンプトとキャラプロンプトっていうのを作るといいよみたいな話をしてて、ベースプロンプトがワンバンクってアプリでこういうものですみたいな条件とか、出力する時に言っちゃいけないことみたいなのはそのベースの基本のところに置いて、(中略)キャラの方は、いわゆるそのキャラの性格とか、こういう質問が来た時にこういう判断の優先順位で回答するみたいな、そのキャラの判断軸みたいなものを書くとか、あと行動方針。——putchomさん
ベース層(アプリの前提・禁則・使えるツール)とキャラ層(性格・判断軸・行動方針)を分けて組み、サーバー側で合体させてプロンプトを渡す。さらに「キャラのモード違い」も実装上は別キャラとして定義することで、複雑性を抑えているそうです。
おわりに
スマートバンクさんもユビーもAIを使ったプロダクトを作っている近い場所にいる仲間として、本当に手触りのある話を伺えました。動くモックでいきなり試す姿勢、お金というデリケートな領域への向き合い方、システムプロンプトの設計tips——どれもAIプロダクトを作っている人なら何かしら持ち帰れる回になっていると思います。
putchomさん、hasegawaさん、ありがとうございました!
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