短編小説|私が戻ってくる朝/シロクマ文芸部/詩のような物語
ゆっくりと、朝がほどけていく。
カーテンの隙間から差し込む光は、
まだ世界に遠慮しているみたいに淡い。
昨夜、胸の奥にしまった言葉たちは、
眠りきれなかったのか、
小さく寝返りを打っている。
――深く、息を吸う。
冷たい空気が、
まだ名前のない今日を運んでくる。
焦らなくていい。
答えを出さなくていい。
今日が今日であることを、
ただ受け取ればいい。
湯気の立つカップを両手で包むと、
指先から
「私」がゆっくりと戻ってくる。
昨日うまくできなかったことも、
言えなかったことも、
まだ途中のままでいい。
いつのまにか、
光は部屋の奥まで届いている。
誰かに認められなくても、
世界が静かなままでも、
私の中の灯りは、
消えずにここにある。
ゆっくりと、立ち上がる。
今日という物語は、
まだ一行目を書いたばかり。
それで、いい。
続きは、
まだ白い。
シロクマ文芸部に参加させていただいています。
小牧部長さま、いつもありがとうございます!
今回のお題
「ゆっくりと」から始まる文芸作品です。
【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
もし、今日の物語が、あなたの心にふれていたら
──それだけで、うれしいです。ありがとうございます。
これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
🌸【詩のような物語】🌸
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