短編小説|ちゃんと、ここにいる/詩のような物語
大きな声は、出せなかった。
手を挙げる勇気も、前に出る足も、
いつも少し遅れていた。
それでも、
朝の空気に名前のない息を混ぜ、
誰にも気づかれない角度で確かに、立っていた。
声は小さい。
けれど、消えてはいない。
胸の奥で、きちんと震えている。
見てもらえなくても、
呼ばれなくても、
この体温は、嘘じゃない。
影は薄くても、
足元には、ちゃんと地面がある。
今日を生きている、その事実だけで
もう、充分だ。
小さな声のまま、
ちゃんと、ここにいる。
【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
もし、今日の物語が、あなたの心にふれていたら
──それだけで、うれしいです。ありがとうございます。
これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
🌸【詩のような物語】🌸
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