短編小説|潮風のラムネ/シロクマ文芸部/詩のような物語
水色は
潮風に溶けた、ほのかな甘さと塩の匂い。
夕暮れのカーテンに映る影を、やさしく染める色。
耳を澄ますと、遠い浜辺から
かすかな笑い声と、消えかけた泣き声が届く。
幼い日のわたしは、砂浜で貝殻を拾い、
それを耳にあてて海を聴いた。
空洞に響く音は、胸の奥の痛みに寄り添い、
どうしてか涙を隠す勇気をくれた。
水色は、氷の溶けかけたラムネ水の味がする。
冷たさが喉を刺し、
そのあとに、ほのかな甘さだけが残る。
痛みと希望の、境目のように。
けれど、水色は静けさも宿している。
雨上がりのアスファルトに広がる匂い。
放課後の教室に沈む影の長さ。
そこに立つと、孤独が少しだけ透きとおって見えた。
空は広がりすぎて掴めず、
海は深すぎて言葉を返さない。
そのあいだに漂う水色は、
過去と未来をつなぐ、ひとつの場所だった。
シロクマ文芸部に参加させていただいています。
小牧部長さま、いつもありがとうございます!
今回のお題
「水色は」から始まる文芸作品です
最後までお読みいただきありがとうございました。
もしあなたの心にも、なにか言葉が灯ったなら…よければそっと教えてくださいね🌿
もしかしたら、そのひとことから「詩のような物語」が生まれるかもしれません。
【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
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これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
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