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短編小説|痕跡を消すために/シロクマ文芸部/詩のような物語
手を洗う。
何度水をかけても、ヤツの血がまだ残っている気がする。
爪の間に入り込んだ赤が、
まるで過去の証のように落ちない。
いくら忘れようとしても、指先が覚えている。
刃を入れた瞬間の肉を割く、手応え。
沈黙。
目の前に広がる、赤――
――人は、あんなにも簡単に冷たくなるんだ。
水音がやけに響く。
泡立てた石けんの中で、証拠は消えるものだろうか。
痕跡は、どうしても残すわけにはいかない。
「……もう、これでいいだろ」
そうつぶやいて、水を止めた。
振り返る。
まな板の上に並ぶのは、
きれいに三枚におろされたハマチ。
「よし。おいしく食べてあげるから、待ってろよ!」
シロクマ文芸部に参加させていただいています。
小牧部長さま、いつもありがとうございます!
今回のお題
「手を洗う」から始まる文芸作品です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
もしあなたの心にも、なにか言葉が灯ったなら…よければそっと教えてくださいね🌿
もしかしたら、そのひとことから「詩のような物語」が生まれるかもしれません。
【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
もし、今日の物語が、あなたの心にふれていたら
──それだけで、うれしいです。ありがとうございます。
これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
🌸【詩のような物語】🌸
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