原発処理水の海洋放出に反対する

私は原子力発電など今すぐにやめるべきだと思っている。百害あって一利なし。危険だとわかっていたくせに利権やら黒い思惑に固執して突き進んだ結果が2011年の福島第一原発事故だ。
私はあの事故の10年以上前から脱原発の市民運動に関わっていた。地震によって電源喪失すると原子炉を冷却できず、燃料が溶融しメルトダウンを起こす。日頃主張していた通りのことが起きてしまった。運動の敗北だと思った。事故が起きる前に原発を止めることができなかった。

あの時、メチャクチャになった原子炉の中のドロドロに溶けた燃料を何とか冷やさなければと水をかけた。かけた水は核燃料に触れたことで放射性物質を含んだ汚染水になった。汚染した水はそのまま流したら環境を汚すので貯蔵していたのだけれど、どんどん水をかけてどんどん汚染水が増えてしまって場所もなくなってきたので、ALPSで処理して海に流すことにしました、と。

私は、あんな事故を起こしたのにも関わらず今も原子力発電を推進する政府や電力会社を信用していない。原子力の平和利用を推進するとか言っちゃうIAEAも全く信用していない。ALPSとかいう機械も信用できない。天ぷらのカスを濾すように簡単に放射性物質を取り除けるのか。宇宙戦艦ヤマトのコスモクリーナーじゃあるまいし。

汚染水を「処理水」などとと言い換えるところがもう胡散臭い。その「処理水」の海洋放出がどうやら近々始まるらしい。私はこれに反対する。安全だと言っているけれど、この「処理水」、更に水で薄めて1キロ先までパイプで運んで海に流すんだぜ。ホントに安全なのかよ。おっかなびっくりじゃん。
私はALPSも、「処理水」にお墨付きを与えたIAEAも信用していないから、心配しているのは「風評被害」じゃない。「風評被害」の事しか言わないところも胡散臭いじゃないか。海洋放出に反対している近隣諸国も、心配しているのは「風評被害」ではなく、現実的な放射能による被害だ。

水で薄めて遠くに流したからといって、放射性物質が溶けてなくなるわけではない。水中を漂い、または海底に沈み、核種によっては長い間放射線を出し続ける。海中に放出された放射性物質は、植物や動物に取り込まれると「濃縮」を起こす。薄まったはずの放射性物質が生物の体内に溜まってしまうのだ。濃縮の度合いは生物の種類によるが、放射性物質は食物連鎖によっても濃縮される。植物プランクトンを食べた動物プランクトンを食べた小魚を食べた魚の刺身を食べた人間はどうなるのか。
こうしたことを喧伝するのが「風評被害」だと言いたいのだろうが、私はこうした放射性物質による影響が人間に及ぶことを本気で心配している。
たとえ海洋放出を始めてしまっても、推進派反対派に関わらずモニタリングをすることは不可欠だろう。単に海水を調べるだけでなく、生物濃縮も視野に入れる必要がある。

海洋放出について、政府や電力会社があまり言わないことで恐ろしいのは、放出がいつまで続くかわからないということだ。溶けた核燃料は今も手を付けられない状態で、廃炉に向けたロードマップなど絵に描いた餅。今現在もこれからも汚染水は増え続け、「処理水」は海に流され続けることになる。

果たして事故を起こした原子炉の廃炉に向けたロードマップを見直す必要はないのか。このまま溶けた燃料に水をかけ続け、汚染水を増やし続けるのは間違っているのではないか。原発を新設するとかいう妄想にうつつを抜かす前に、こっちをもっと真剣に考えなくてはいけないと思うが、またそれは別の機会に。

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