あの日の選択 〜心の居場所を見つけた日〜
あの日、私は一滴の精油から、
新しい自分と出会いました。
昔から、私は香りが好きでした。
でも、市販の香水は香りが強く感じられ、
あまり使いたいとは思えませんでした。
「もっと自然な香りを、自分で選べたらいいな。」
そんな思いが、アロマに興味を持ったきっかけです。
そしてもう一つ。
いつか家族や友達に、アロマスプレーなどを作ってあげられたら素敵だな。
そんな小さな憧れもありました。
好きなことを実生活に活かしたい。
そして、自分にもっと自信をつけたい。
そんな思いから、私はアロマを学ぶことを選びました。
調べていく中で私が惹かれたのは、フランス式アロマテラピーでした。
イギリス式がリラクゼーションを中心に考えるのに対し、フランス式は精油の「香り」だけではなく、「成分」や「作用」も大切にしています。
車での移動が心配な時や、
肩や腰に疲れを感じた時、
花粉の季節など、
毎日の暮らしの中で
ホームケアとして活かせる場面が多いことにも魅力を感じました。
学び始めて驚いたことがあります。
私はアロマは「いい香りを楽しむもの」だと思っていました。
でも、香りは鼻で感じるだけではなく、
脳へ伝わり、心や体とも深く結びついていることを知りました。
テキストにはそんな内容も多く書かれていて、香りの世界の奥深さに、ますます惹かれていきました。
今思えば、私が探していたのは香りだけではなかったのかもしれません。
それと同時に
私は、自分が心から落ち着ける居場所を探していました。
アロマは、そんな私の心をそっと受け止めてくれる存在になりました。
資格取得にかかる費用は、
決して安くありませんでした。
当時、元旦那には、
「それ、仕事につながるの?」
「意味あるの?」
「高いんじゃない?」
と言われたこともあります。
それでも私は、自分のわずかな貯金で
学ぶことを決めました。
悩んだけど、思い切りました。
やりたいことを、やりたい。
その気持ちだけは、誰にも止められませんでした。
教室へは土日の空いた時間を利用して通いました。
でも、先生はとても熱心な方で、
その分、指導も厳しく、
何度も心が折れそうになりました。
予習・復習は当たり前。
ワークにも自分の考えを書き込みながら、
一つひとつ理解を深めていきました。
授業では知識を学ぶだけではありませんでした。
わたしの楽しみの一つでしたが、
実際に石鹸を作ったり、
アロマオイルやアロマスプレーを作ったりと、
実習の時間もありました。
精油を選び、組み合わせを考えながら作る工程は、とても楽しく、
毎回わくわくしていたことを覚えています。
「今日はどんな香りになるんだろう。」
そんな期待を胸に、一滴一滴精油を加えていく時間は、私にとって心が満たされるひとときでした。
アロマの講義は、
仕事との両立や予約の都合もあり、資格取得までには一年近くかかりました。
決して楽な道ではありませんでした。
学んでいる途中、先生から思いがけないお願いをされました。
テラピスト試験を受ける生徒さんのモデルになってほしいという依頼です。
正直、最初は断りたいと思いました。
恥ずかしいが先に浮かび出した。
でも、「誰かの役に立てるなら。」
そう思い二度頼まれ、引き受けました。
熱心に頑張られている姿に、心を打たれました。
内容は違うけど、
この生徒さんも頑張られている。
自分自身の励みにもなりました。
試験を終えた生徒さんから、
「ありがとうございました」と、
感謝の言葉をいただいた時は、
とても嬉しく、
引き受けて良かったと心から思いました。
そして迎えた試験当日。
問題を解いている途中で、
頭が真っ白になる問題がありました。
「もうダメかもしれない。」
そんな不安を抱えながら最後まで解き終えました。
合格には80点以上が必要です。
後日、先生から合格の連絡をいただいた時は、思わず舞い上がるほど嬉しかったことを
今でも鮮明に覚えています。
一年近く積み重ねてきた努力が報われた瞬間でした。
今でも、
好きな香りを暮らしの中で活かせるこの資格を取得して、本当によかったと思っています。
アロマスプレーを作ったり、その日の気分に合わせて香りを選んだり。
好きなことが、日常を少し豊かにしてくれています。
そして、この学びは香りだけではなく、私に大きな自信も与えてくれました。
難しい資格にも挑戦し、最後までやり遂げたことで、
「やればできる。」
そう思える自分に出会えたのです。
以前の結婚生活の中で、
私は何度も
「お前にはできない。」
「お前には無理だ。」
そんな言葉をかけられてきました。
いつしか、その言葉を信じてしまい、
自分に自信を持てなくなっていた時期もあります。
だからこそ、この資格を取得できたことは、
資格以上の意味がありました。
「努力は裏切らない。」
そして、
「私にもできる。」
そう、自分を信じられるようになったのです
あの日、アロマを学ぶことを選んだ私へ。
あの時の選択は、間違っていなかったね。
