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歩いたら、歩いたら

 先週末、久しぶりに体重計に乗り、現在の体重に衝撃を受けてからというもの、毎日6千〜7千歩、歩くことを目標にした。
 今週の火曜、たまたま“1万歩”歩けてしまった。珍しく用事があって(現在、思いがけない休職中につき出かける用事がほとんどない)出かけたからだ。
 1万歩を達成してしまうと何だか翌日以降も達成したくなって、歩いてしまっている。計画的に歩いていると言うより、ウォーキングのコース取りが上手く出来ず、結果歩いてしまっているというか。昨日なんて、慣れない道を歩いていたら、予定していたより一駅多く歩いてしまった。
 しまった、しまった、とまるで悪いことのように書くことはないのだが、急に歩き過ぎると疲れてしまい家事もままならないのには困っている。

 なぜこんなに歩けてしまうのか。
 キョロキョロしながら街を歩くのが結構楽しいからなのだ。

 いきなり国の制作の話になるが、国交省はここ数年、まちづくりの分野で「ウォーカブル(WALKABLE)」に力をいれている。“able”とつくが、“物理的に歩ける”ということよりも、“楽しく歩きたくなる”空間を増やそう、という動きだ。
 「ここ数年」とは言いつつ、道路空間を人中心にして安全に歩きやすく、イベントを開催したりベンチやテーブルなどの滞在できる空間を設えたりというものなので、古くから歩行者天国はあるし(週末の銀座通りなど)、商店街もそういった空間と言える(営業中の店舗が多く活気づいているところは減ってきているけれど)。
 ここ10年くらいの動きだと、都内では東京駅近くの丸の内エリア(少し広域になりますが、大手町、丸の内、有楽町の頭文字をとって「大丸有エリア」ともいいます)の丸の内仲通り。期間限定で車道に芝生をひき、くつろげるスペースを作っている。

 池袋のグリーン大通りにはちょっと凝ったベンチが置かれており、年に数回、大規模なマルシェも開かれている。池袋はグリーン大通りから少し入ったところにある南池袋公園が整備され、家族連れもゆったり過ごせるような空間になったこととの相乗効果もあって、10数年前には見られなかった人の滞在・流れが出来ている。

 関西圏だと大阪の御堂筋では大規模に歩道を拡幅(側道部分を歩道化)。歩けるようにするだけでなく、デッキやテーブルなどを設置し人がくつろげる空間にもしている。

 車道を封鎖して活用できる(交通上問題がない範囲で)制度設計や、歩道の拡幅、ベンチなどの設置といったハード整備はもちろん必要だし、有用だ。

 ただ、ここ数日歩き回ってみて、歩いて楽しいかどうかは「歩き方」と「歩く時の心持ち」にもよるなぁとつくづく感じた。
 目的地に一目散に行きたい時は周りの景色なんて目に入らないし、気持ちが落ち込んでいると何となくうつむきがちに歩いてしまう。それじゃあ、どんなに素敵な空間になっていたって、歩いても、歩いても、あまり楽しくない。

 キョロキョロしながら、「興味」に敏感になって歩くと、なんて事ない街なかでも面白いことを発見できる。
 公園の片隅でシャドーボクシングする休憩中の警備員のおじさん。満開の梅。早咲きの桜。ヘンテコな外観の建物。
 キョロキョロ歩きをしていると、ほっこりすること、綺麗だなぁと思うことにたくさん出逢う。
 それに、「興味があったこと」と「街」がふいに繋がったりもする。
 文章講座仲間のたかみさんが、「ホットケーキを焼くならインドのチャパティパン(チャパティを焼く用のフライパン)で焼くのがおすすめ」と教えてくれた。ナンは良く食べるが、チャパティ(ナンよりも薄焼きでシンプルなパン)は食べたことがない。昨日、偶然通りかかったインド料理店の店先のメニューをよくよく見てみると、チャパティ!ありましたよ!今度食べてみよう。

 
 今は時間が有り余って暇だから、こんな呑気なことを言っていられるのだとは思う。
 でもせっかく一度良さを味わったのだから、「キョロキョロ歩き」の習慣を無くしてしまいたくはない。
 “歩いたら、歩いたら”、何か楽しい発見がある。そんな歩く時間を生活には残しておきたい。

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