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同人誌のデザインを依頼する時の要望の伝え方・コツとポイント

※以前書いたブログ記事のリライトです。

同人誌のデザインをお手伝いするサービスをはじめて早5年が経ちました。
お客様の多くは個人の方です。そのためサービス開始当初から今に至るまで「外注に不慣れで要望をどう伝えればいいかわからない」というご相談をよくいただきます。

お客様がデザイナーとのコミュニケーションに不安を覚える背景には、クリエイティブの外注に不慣れなこと以外にも、同人誌をデザインするサービスの多くではリテイク(やり直し)で料金が加算される傾向があること、お客様自身が生活や仕事に加え同人活動の締切にも追われていて余裕がないことなど、さまざまあるように感じます。

特に最後の余裕がないというのは切実で、デザインの依頼に関しても、できるだけ少ないやりとりで自分の希望に沿ったデザインを出してほしい!というのが正直なところではないでしょうか。

それを叶えるためのコツ、あります!!

ということで、この記事では同人誌デザインの外注を検討している同人作家さんに向けて、依頼する際に押さえておくといいポイントをまとめていきます。

※注意と免責※
なるべく普遍的な事柄に限定して載せるよう心がけていますが、デザイナーさんごとに対応や考え方が異なる部分もあります。ご留意ください。




1. 制作予定の同人誌の仕様を伝える


デザイナーに全て任せてしまうパターンもあると思いますが、この用紙を使いたい、このサイズで製本したい、この加工がしたいなどなど、作家さん側で色々考えていることもあると思います。同人誌の仕様に関する希望は依頼時にすべてデザイナーに伝えましょう。

その仕様で実際に印刷できて、なおかつ予算に収まる印刷所をご自身でもピックアップできるとベストです。(これも伝えましょう)

また、箔押しなどの加工範囲によって印刷料金が変わる加工を利用したい場合は加工範囲もデザイナーへ伝えましょう。

印刷費用に関わる部分はデザイナー側で判断できません。




2. なるべく箇条書きで書く


依頼をする際に一番戸惑ったりハードルを感じたりするのはヒアリングシートや入力フォーム、メールの雛形にある自由記述欄ではないでしょうか。

本の仕様の希望は端的に伝えられる部分ですが、ビジュアル面のああしてほしい、こうしてほしい、今回の作品にはこういう背景があって…という内容を文章で伝えるとなると、かなりのエネルギーと時間が必要です。そして同人誌を作るオタク諸氏は真面目な方が多いので、とってもとっても丁寧です!いつも恐縮です。ありがとうございます。

  • でもその作文パワーは原稿に使って!

  • 依頼文はシンプルな箇条書きで◎

  • 原稿がんばってください

書くのが楽になりますし、文章より一覧性が上がるので、制作時に要件を再チェックするときなどにデザイナーも助かります。




3. 要望は抽象的な表現を避けて具体的に伝える


要望はできるだけ具体的に書いてください。どうとでも取れる抽象的な表現で書いてしまうと事故が起きてしまいます。

たとえば、「ピンク基調の可愛い感じで」というご要望があったとします。
ピンク・可愛いという方向性を示す単語があって一見具体的なようですが、ピンク色かつ可愛い雰囲気という条件で連想できるものが多すぎますし、魔人ブウを可愛いと思うか否か、みたいな個人の好みの問題も出てきます。

デザイナーとの間に認識の齟齬が生まれないよう、もう少し絞り込んだ表現にしましょう。

  • 強めのピンク基調で00年代のギャルっぽいギラギラした雰囲気

  • サン⚪︎オのグッズにありそうなピンク主体の柔らかい感じ

  • ピンク主体で高級文具のような落ち着いた雰囲気

例に挙げた3パターンはどれも「ピンク色かつ可愛い」の範疇ですが、それぞれまったく違ったビジュアルが出てくるのが想像できると思います。これくらいつっこんだ希望を伝えれば、大きく逸れたデザインが上がってくる確率はかなり低くなるでしょう。

とはいえどうしても抽象的な表現になってしまうこともあると思います。デザイナー側も「これはどう受け取ったらいいんだろう?」と思えば、さらなるヒアリングを試みるので最初はあまり心配せず、とりあえず一歩踏み込んだ内容を伝えることが大切です。

もし要望の言語化が難しければ写真、画像、ホームページのURLなど、自分の希望イメージに近いビジュアルが確認できるものを参考としてデザイナーに送ってみるのもひとつの手です。



具体的すぎて応えられないケースがある

具体的に伝えましょうと書いたばかりですが、具体的すぎても応えられないケースがあります。

たとえば「19世紀末のヨーロッパの荒んだ雰囲気の路地裏で男性二人が背中合わせで喫煙している写真/イラストを背景に使ってほしい」とご要望があったとします。かなり具体的ですね。

その写真やイラストを提供いただければ問題ないのですが、デザイナー側で用意が必要となると対応は難しくなります。同人誌デザインの一般的な予算感・スピード感では撮影やイラスト制作はできないと思いますし、細かなシチュエーションの指定があるほど既成の素材は見つけにくくなります。そういった事情から、どこかで妥協していただくか、お断りせざるを得ないかもしれません。

もしガチガチに希望のビジュアルが固まっていて譲れない場合は、デザインを依頼する前にイラスト制作や写真撮影の専門家に相談した方が良いでしょう。(デザイナーによってはこのあたりも含めて対応していることもあります)

余談ですがここまでくるとやってることがほぼアートディレクターなので、同人作家さんの仕事量ハンパねェと思います。本文も書くのに。すごすぎる…!




4. やってほしくないことも伝える


やってほしくないことがあれば、それも具体的に伝えましょう。

これも極端な例ですが、ご依頼があった本のタイトルが『clover〜幸せのありか〜』だったとします。添えていただいたあらすじを読んで物語に四ツ葉のクローバーが深く関わっていることは明らかと判断したデザイナーは四ツ葉のクローバーを表紙のメインビジュアルにしようと考えました。でも、実はお客様は四ツ葉のクローバーを表紙に入れるのはやめてほしいと思っていたとします。このすり合わせができないまま制作が進むと悲しい事故が発生します。

特にこの例のように「いかにもやられそう」な範囲にやってほしくないことがある場合はあらかじめ伝えておきましょう。




5. 要望なんてないよ!わかんないよ!という場合


制作している作品について語る

「制作してほしいデザインのイメージなんてない。考えたくない。1から10までそちらでやってくれ!」と思われる方もいらっしゃると思います。がんばります!

とはいえ、情報ゼロでは進行に支障がありますから、その場合はぜひ制作している作品について語ってください。

  • こういう気持ちをわかってほしくて作品をつくった

  • この本に登場するAとBの関係性のサビはここ!

など、できるだけ赤裸々に語っていただけるとデザイナーも核心に迫ったお仕事ができます。依頼内容はデザイナー当人しか見ないことが大半だと思いますし、積極的に同人誌のデザインを請け負っているデザイナーはガッツリオタクでサブカルに違いないので(偏見)、たとえハードコアな内容でも引かれたら嫌だな…とかは心配しなくて大丈夫です。



ふだん創作物を公開している媒体をデザイナーに見せる

もし日常的に創作物を公開している媒体があればそれも伝えてみるといいかもしれません。作品の傾向はもちろん、ビジュアル的な好みを察する上でも参考になります。

たとえばpixiv。イラストはもちろんですが、小説の表紙も意外と情報量が多かったりします。デフォルトで用意されているものからどれを選んでいるかだけでも察せるものがありますし、オリジナルの画像が設定されていればさらに好みがわかりやすいです。SNSのヘッダー・アイコンでも同じことが言えます。

ほかにもなにか見た目にかかわるものをご自身の好みで設定しているページがあれば伝えてみてください。




ex. 掲載してもいい文言をたくさん送る


これは要望の伝え方からすこし逸れた話でいわばハックのようなものですが、ついでに紹介します。

ここで言う文言というのは表表紙(表1)や背や裏表紙(表4)に入れるテキストのことです。「タイトル」「著者名」「サークル名」、二次創作の同人誌であれば「カップリング名」「(ジャンル名) unofficial fanbook」などが入っていることもあります。

この文言はデザイン上装飾のように使えることもあるので、場合によってはたくさんあったほうが見栄えのする表紙になる可能性が高いです。

ただ、文言表記には作者のポリシーが出る部分でもある(と個人的に思っています)ため、デザイナーが見栄えの都合で勝手に増やすのはなかなか難しい部分でもあります。

なので、自分の同人誌に載っていても良いと思える文言をあらかじめいくつか用意していただけるとデザイナーとしてはかなり有難いです。
ひとつの文言でも、ご自身の許せる範囲で、日本語表記ならこう(林檎)、ローマ字表記ならこう(Ringo)、英訳する場合はこう(Apple)、という風に、バリエーションがあるといい感じになりやすいと思います。

また、事務的な文言だけでなく本のあらすじや紹介文、ポエムなどが入っても面白いデザインになると思います。




さいごに


ここに書いたことを意識して要望を伝えていただければ、「仕様やイメージと全然違うものが出てきた!どうしよう!」みたいなことはあまり起きなくなるはずです。

とはいえこの記事に書いてあることを必ず実行しなくてはいけないというわけではありません。何よりご自身の本にかかわることですし、要望に関しても、あまり縛られず思い思いに書いていただくのが一番です。

デザイン依頼というタスクを前に途方に暮れてしまった方の参考になりましたら幸いです。

@at_choi


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