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エピソード1 : 祖父が海を渡った日

人生の道標(みちしるべ)〜人に導かれて〜

私の人生は、1960年(昭和35年)2月13日、兵庫県姫路市で始まりました。

しかし、私の物語の始まりは、その日から始まったわけではありません。

私の人生の原点は、私が生まれる何十年も前、祖父が中国・福建省を離れ、日本へ渡るという大きな決断をした、その日にあります。

私の本籍地は中国福建省福清市で、当時の福建省は生活が非常に厳しく、多くの人々が生きる道を求めて海外へ渡りました。祖父もまたその一人でした。

最初に日本へ渡ってきたのは祖父一人でした。

異国の地で生活の基盤を築き、家族を迎えられるようになるまで、どれほどの苦労があったのか、私は知ることができません。今となっては想像するしかありません。

その後、幼かった父は祖母とともに日本へ渡り、ようやく家族が日本で再び一緒に暮らせるようになったと聞いています。

一方、母方の祖父も同じ福建省の出身でした。しかし、その人生はさらに長い旅路でした。福建省から台湾へ、台湾から沖縄へと移りました。母は沖縄で生まれ、その後、一家は熊本市へ移り住みました。

父方の祖父は姫路市の駅前で小さな中華料理店を営み、一方、母方の祖父は熊本市内の商店街で婦人服店を営みました。

二人の祖父は、それぞれ異なる地で家族の未来を切り開いていったのです。

私が男三人兄弟の次男として、姫路で生まれました。

振り返れば、その人生は決して私一人のものではありません。

祖父たちが海を渡る勇気を持たなければ、父と母は日本で出会うこともなく、私はこの世に生まれていなかったでしょう。

だから、私が自分の人生を振り返るとき、その原点は祖父が海を渡った日にあるのだと思います。

そして今、人生には、自分が生まれる前から始まっている物語があることを、この歳になって初めて実感しています。

#創作大賞2026 #エッセイ部門


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