第2章 ㉒ 「うん。いいね。」主人に初めて嘘をついた日
相変わらず体は疲れていたけど
そんな生活にも慣れていった。
朝7時半。
娘を車で保育園へ送り、その足で会社へ行く。
平日休みの日は主人のお見舞いへ行き
外出許可が出た日は病院の1階にあるカフェで一緒に過ごす。
それが、主人の何よりの楽しみだった。
「今日は外出許可が出たから外でご飯を食べたいな。」
「午前中、検査ばかりで疲れたから気分転換したいんだよ。どうかな?」
メールが来ていた。
正直、疲れていて体がしんどかった、、。
でも、主人の気持ちを考えたら
出来る事はしたいと言う気持ちが強かった。
「うん。いいね。」
1時間後、病室へ着くと
着替えを済ませた主人が嬉しそうに待っていた。
「肉も寿司も食べたいな。」
「私も食べたいと思ってたの。」
そう言った。
嘘をついた。
主人に初めての嘘をついた。
「ほんとは食べたくないの。」
「食欲ないの。」
「もう、私、疲れちゃって。」
「自分と娘の事で精一杯なの」
また、心の中で叫んでいた。
夫婦なのに言いたい事も伝えるべき事も言えなくなって言った。
自分よりも主人が辛いのが分かるから。
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