第2章 ⑯ 「順調ですよ」その言葉に私たちの希望が見えた日
一時帰宅中も、腫瘍マーカーのチェックは定期的に行われた。
主治医が外来を担当する日には、病院へ通い、腫瘍マーカーの結果を確認した。
数値は正常値を維持していた。
「順調ですよ。」
その言葉を聞くまで、私たちは張り詰めた空気の中で、息をするのも忘れるほど緊張していた。
心臓の鼓動を、こんなにも全身で感じることがあるのだろうかと思うくらいに。
診察室で見せてくれる主治医の笑顔と言葉は、私たちに何度も希望を与えてくれた。
そして、主人の髪も少しずつ生え始めた。
主治医から社会復帰の許可も出て、通院を続けながら仕事へ復帰できることになった。
一年以内に社会復帰ができるなんて思ってもいなかった主人は、
毎朝、目を輝かせながら出勤していった。
私はうれしい反面
体力が落ちてしまった主人のことが心配でならなかった。
電車で都心まで通い
帰宅するとぐったりしていた主人。
それでも十日ほど経つと
少しずつ体も慣れていった。
娘も「パパ」「まんま」と話せるようになり
家族みんなで、その小さな成長を喜んだ。
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