サヨナラホームランは英語でなんという?|野球でイングリッシュ
同点あるいはビハインドで迎えた9回、あるいは延長戦の裏の攻撃。
勝ち越し点が入ったその瞬間に、試合は終わります。
これが、サヨナラゲーム。
決勝点が入った瞬間、グラウンドもスタンドも大歓喜。
まるで優勝したかのような大騒ぎになります。
このサヨナラ勝ちを味わえるのは、裏の回を攻撃するホームチームだけ。
ホームスタジアムならではの格別な喜びがそこにはあります。
その一打がホームランであれば、サヨナラホームラン。
打った打者は間違いなく、その日のヒーローです。
では、この「サヨナラホームラン」は英語で何と言うのでしょうか?
英語では “walk-off home run”
MLBの中継を見ていると、
“Gone!”
“Good-bye!”
といった実況を耳にすることがあります。
ただし、これらは単に「ホームランが出た!」という意味であって、
「サヨナラホームラン」そのものを指しているわけではありません。
英語では、
👉 a walk-off home run
と言います。
“walk-off”は意外と新しい言葉
この walk-off という表現について、ニューヨーク・タイムズに興味深い記事があります。
“The term’s first published citation was in July 1988 …”
つまり、この言葉が紙面に初めて登場したのは1988年。
意外に思われるかもしれませんが、
walk-off はそれほど古くからある言葉ではなく、
👉 比較的新しい表現なのです。
“walk-off”の由来
記事によると、オークランド・アスレチックスの絶対的なクローザーとして活躍したデニス・エカーズリーが、1988年のワールドシリーズの9回裏に逆転ホームランを打たれたときに初めて使ったとされているとのこと。
試合を決めるホームランを打たれた瞬間、
敗れた側の投手はマウンドを降り、ベンチへと歩いて去っていく。
そこから、
👉 walk-off(歩いて去る)
という表現が生まれたと言われています。
日本では古くから使われていた
では、日本ではどうだったのでしょうか。
1959年、長嶋茂雄が放った、いわゆる「天覧試合」のサヨナラホームラン。
このときの新聞には、すでにこう書かれています。
👉「サヨナラ・ホーマー」

より引用(スクリーンショット)
つまり、日本では少なくともこの時点で、
👉 試合を終わらせる一打=サヨナラホームラン
という表現が定着していたことになります。
実は日本の方が古い
ここまでを整理すると、
日本:「サヨナラホームラン」→ 1959年には使用
英語:“walk-off home run” → 1988年ごろに登場
👉 つまり、
9回及び延長回の裏の攻撃の決勝打に対して、日本の方が先に言語化していた可能性が高いのです。
生の英文で文法の勉強
最後に、今回紹介した記事の一文を見てみましょう。
Unknown as recently as the 1970s and 1980s, the term walk-off for a game-ending hit has become as comfortable a part of the baseball lexicon as balls and strikes.
この一文には、重要な文法が凝縮されているのでご紹介します。
✔ Unknown(分詞構文)
👉 As it was unknown
→ 「それは知られていなかったことだが」
分詞構文は、副詞節を分詞を利用して簡略化する構文です。
✔ as recently as 〜(強調)
👉 「つい1970〜80年代になってもなお」
比較 as ~ as で後ろの語の程度を強調します。この場合は1970~80年代がかなり最近であることを強調しています。
✔ game-ending hit
👉 「試合を終わらせるヒット」
名詞+ハイフン+分詞を自由に組み合わせて名詞を修飾してみましょう。
イキイキした表現になりますよ。
breath-taking「息をのむような」が有名ですね。
✔ as comfortable a part of the baseball lexicon as 〜
👉 as ~ as …「…と同じくらい~である」の変形です。
~ の部分に、a + 形 + 名 が入ったものですが、注目すべきは冠詞 a の位置。形容詞 comfortable が as に引っ張られ、a が名詞句 part ~ lexicon に引っ張られてこのような並びになっています。
comfortable の意味は、ここでは
👉 「(ボールやストライクと同じくらい)当たり前の~」
くらいの意味で使われています。
訳してみると
👉
「1970〜80年代までは一般的ではなかったが、今ではボールやストライクと同じくらい、野球用語として当たり前の存在になっている。」
おわりに
サヨナラホームランという一つのプレーも、ルーツをたどってみると
言葉の違い
文化の違い
英語の仕組み
が詰まっています。
“生きた英文”を通して学ぶと、英語はぐっと面白くなります。
