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コンサルタントという人に初めて会った

「銀行との会議の結果あの会社にコンサルタントが入ることになりました。」

そう聞いた時、私は正直ワクワクしていました。

コンサルタントと聞くと、豊富な知識と経験と素晴らしいアイデア。ましてや銀行が融資先を潰さないために東京から呼んだとなると、分析力を武器に会社を立て直すスペシャリストというイメージがあります。

私が当時勤めていた税理士事務所でも、「記帳代行だけではなくコンサルティングができるようになれば、顧問先の利益にも貢献できるし、事務所の価値も上がる。当然売上は桁違いになり、そこの社員のお給料も上がる。ワンランク上の税理士事務所。」とよく話題になっていました。

だからこそ、「いよいよこの会社も立ち直るかもしれない」と期待していたのです。

崖っぷちだった製造業の会社

その会社は債務超過でした。

銀行への返済も厳しく、資金繰りはかなり苦しい状態。

社長自身も現状は理解していましたが、経営状況を指摘されるのが辛かったのでしょう。

毎月来ていた税理士との打ち合わせは数か月に一度になり、そのうち年に一度、決算の時だけになってしまいました。

一方、銀行は融資を回収できなくなるのは困ります。

当然、銀行からの連絡は増えていきます。

社長はその対応から逃げるように現場へ出る時間が増え、いつしか経営者というより、一人の現場作業員になっていました。

そんな状況を見かねた銀行が、東京のコンサルタント会社を呼び寄せてきたのです。

「税理士事務所のミスですね」

後日、コンサル会社の社長と担当者、アドバイザーの税理士、そして会社の社長が私たちの事務所へ来られました。

創業から数年分の試算表や申告書、会計データをお渡しすると、資料を見始めて間もなくこんな言葉が聞こえてきました。

「これ、経費を二重計上していますね。」

「税理士事務所のミスでしょう。修正申告すれば終わりですね。」

一瞬、頭が真っ白になりました。

「えっ、本当に?そんな馬鹿な!」

何重にもチェックしている内容です。税理士も目を通してます。

そんなはずはありません。

そこで何が問題なのか確認すると、

「去年の仕掛品もあるのに、今年も経費にしているから二重ですよね。」

という説明でした。

しかし、実際には前年の仕掛品を戻し入れ、当年の仕掛品を計上する、ごく一般的な会計処理です。

そのことを丁寧に説明すると、

「あれ?そうなの?分かりにくいことしてますね。」

と出だしから喧嘩腰です。

ところが今度は、

「じゃあこの内部振替がおかしい。」

と言い始めました。

この仕訳も、役員報酬などを販管費から製造原価へ振り替えるための処理です。

普段から作業に従事している役員の人件費を原価へ配分する、製造業では珍しくない会計処理でした。

間違ってない証拠を説明するって難しい。

「そもそも経費水増しでも二重計上でもホントにミスなのであれば、不明な支払いや未払いがBSに残るから分かりますよね?でもこの決算書の未払いには請求書の残高分しっかりあります。経費水増し分は何処から来てますか?」

キャッシュアウトも無しで、支払いの残高は正確で、内部振替とかで経費水増し出来ちゃったら、節税プロとして引く手あまたなんですよ。


何度説明しても納得してもらえず、こちらだけ汗だくになりながら説明を続けました。

コンサルタント会社の社長と担当者は
「え?分かる?」
「分かりません。」
「…」
「そもそも経費が普通こんなに掛かりますか?」

頂いた資料を元に入力しておりますので、事実そうなっているとしか言えません。

最終的にはコンサルタントに同行していた税理士の先生が、

「会計処理は間違って無さそうですね。」

という言葉で、ようやく話は収まりました。
…その税理士さんだいぶ前から分かってたのに一言も発しないから、ひたすら説明させられて冷や汗めっちゃかいたんですけど💦
勤めてる会社の社長が税理士事務所のミスと決めつけて無礼極まりない態度見たらもう少し早く止めようと思いませんかね。

事前に会計データを渡しているので
「税理士事務所のミス。」という結論を用意した上での来訪だったようで、最初にズバッと指摘して税理士事務所の担当者締め上げて終わると言うシナリオだったのでしょう。
とっととミスを認めろと言うスタンスでした。
その為、コンサルタントの方が納得するまで何度も同じ説明をしました。
こんなのに大金と時間を投入して…

その日一日は怒りで仕事が手につきませんでした。

コンサルにも得意・不得意がある

その後、本題である経営改善の話になりました。
ミスじゃない…じゃあ何でこんなに業績が悪いんだってコンサルタント会社の皆さんが頭抱え出したので、事前に聞かれたら答えるつもりで用意していたその会社の問題点をお話しました。

リース料が非常に高いこと。

機械が多い一方で人件費も多く、固定費が重くなっていること。
当初会社設立時は人が少ない分を機械リースで補おうと多数のリース契約を結びましたが、商品の品質が悪い。その為、結局大量の人員を投入する羽目になったとか。
そこに原価改善の余地がありそうだと。

仕掛品の管理方法を見直した方がいいこと。仕掛品は翌期の経費になるものですがこの計算方法がおかしくて、毎年どんどん仕掛品の額が増えています。計算方法を見直しつつ、業務改善と販路拡大と商品開発も必要です。

こうした課題は確かにありました。

しかし、リース契約は銀行系のリース会社との関係もあり簡単には解約できず、機械も思うように活用されていませんでした。

製品の質が下がるので人員も簡単には減らせません。
債務超過で事業を拡大して売上を増やす戦略も取りづらい。

現実には「こうすれば利益が出る」と分かっていても、それを実行できない事情がいくつもあったのです。

コンサルタントの方たちは、もちろんご存知だったのでしょう。
その後も数年間コンサルティングは続きましたが、会社はその間黒字を達成できず、最終的には倒産してしまいました。

当時の私は、「コンサルタントってこんなものなのか」と正直がっかりしました。
コンサルタントってこういう時に一発逆転の秘策をサラッと出して数年後には銀行も顧問先も頭があがらない的な想像してました。

でも今振り返ると、少し見方が変わっています。

コンサルタントは万能ではない

後から考えると、そのコンサル会社は財務改善よりも、補助金申請や金融機関との調整を得意とする会社だったのかもしれません。

もしそうなら、能力が低かったというより、依頼内容と専門分野が合っていなかったのでしょう。

医師にも内科や外科があるように、コンサルタントにも専門分野があります。

* 財務改善
* 補助金申請
* IT導入
* 営業支援
* 人事・採用
* 事業承継

どれも「コンサル」ですが、求められる知識も経験も全く違います。

だから「コンサルを入れれば安心」ではありません。

何を解決したいのか。

そこに強い会社を選ぶことが何より重要なのです。

私が学んだこと

この出来事を通して学んだのは、肩書きだけでは専門性は分からないということでした。

銀行の紹介だから安心。

有名な会社だから安心。

東京の会社だから優秀。

そんな思い込みは危険です。

もしコンサルタントを依頼するなら、実際に同じ問題を抱える会社の経営者から聞くなどして紹介してもらうのが一番確実だと思います。

コンサルタントは決して悪い存在ではありません。

むしろ、課題と専門分野が一致すれば、会社を大きく成長させる力を持っています。

だからこそ、「誰に頼むか」は「コンサルを入れるかどうか」と同じくらい重要な経営判断なのだと、私は今でも強く感じています。



🔖この記事の担当

経理代行・FP担当 staff碧

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