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日本一ロマンチックな終着駅に訪れた夜

あの日、僕は長野県を旅した。
今までの旅と違って、移住しようと思ってのことだった。その街を歩いて、そこで暮らす人達と色々話して、その後、「せっかくここまで来たから、別所温泉のユースホステルに行ってみよう」そう思って乗り込んだ電車の光景は不思議だった。もうだいぶ昔のこと、母に連れられて観た「千と千尋の神隠し」の不思議な電車みたいな感じだった。一つ一つ駅に停まるごとに、人が降りていくのもそっくりで…
終点、別所温泉に着くと、電車の窓の向こうの光景に心が震えるくらいの感動を覚えた。
「あまりにも綺麗すぎて美しいこの駅は、日本一ロマンチックな終着駅だ」そう確信した。

僕一人だけのこの駅は、映画の世界に迷い込んだようだった。僕の好きな色あいの可愛い駅舎に、すっかり酔いしれた。その喜びを噛み締めたくて、駅前のお店で夕食を買い込んで、駅舎内のベンチでのんびりと食べた。結局、長野県への移住は辞めた。
引っ越しなんて簡単にするものじゃないし、ネットの情報を鵜呑みにしちゃいけない。そう思って歩き回って、いろんな人達と話してみて、スーパーとかのお店を巡って値段とかを見てまわった。その答えは、「この街は僕には合わない。遊びに行く場所だ」それに、僕は逃げようとしてるだけだった。いい加減、弱い自分と向き合わなきゃいけない。あちこち旅して、いろんな人達と話して、自分の至らなさをうんざりするほどに見れたことは、僕の宝だ。
「もう逃げない。丁寧に自分と向き合って、この日一日を大切に生きよう」素でそう思えた。
優しい自分と会えた旅をすることができて、本当に良かった。「いつかまた、ここへ来れますように」
僕の小さな願いだ。

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