ななし的名盤解説#1 フジファブリック『FAB FOX』

はじめに


 こんにちは。今回から私的名盤解説としてアルバムの解説をしていきたいと思います!初めての試みで、不安な気持ちとかありますが、軽い気持ちで読んでくださるとと幸いです。

 一番最初に選んだアルバムは、フジファブリックから『FAB FOX』です!アルバム解説をしようと思い立って、一番最初にフジファブリックを持ってくる人はそうそういないと思いますが、私はフジファブリックを選びました。

 フジファブリックと言ったらやはり「若者のすべて」が一番知られている曲だと思います。様々なアーティストにカバーされ、最近ではテレビでもよく流れてきます。ただ、私はフジファブリックの本流は『FAB FOX』にあると感じています。それをお伝えできればよいなあと思っています。それではどうぞ!

『FAB FOX』基本情報

リリース:2005年11月9日
・レーベル:東芝EMI
・メジャー2枚目のフルアルバム
・ドラム足立房史脱退前最後のアルバム
 (脱退以降フジファブリックは4人+サポートドラマー体制へ)
・12曲入り
 (「茜色の夕日」に関しては、インディーズ時代に音源化されている。
  「銀河」に関しては、アルバムバージョンで収録)
 銀河、虹、茜色の夕日は先行シングルリリース

アルバム全体解説

 このアルバムをなぜ最初に持ってきたかというとフジファブリックの中で一番思い入れが強く、なおかつ志村正彦の世界観を存分に味わうことができると思っているからです。方向性としては、次作の『TEENAGER』と似ていますが、「よくわからないけどやたら格好いい曲」・「変態的な曲」と「素直な曲」のバランスがよいこと、「季節感を感じやすい」ところが優れているなあと感じています。

 「よくわからないけどやたら格好いい曲」は「モノノケハカランダ」や「銀河」、「変態的な曲」は「唇のソレ」。素直な曲は「虹」、「Birthday」が該当します。「季節感を感じやすい」ところは「水飴と綿飴」、「茜色の夕日」が該当します。それぞれに解釈の仕方はあると思います。

 フジファブリックの優れている点は、季節と時間の流れの解釈を、バラエティ豊かにリスナーに提供してくれるところだと思っていますが、このバラエティの豊かさが存分に表れているのがこのアルバムです。浮き沈みは『TEENAGER』よりもあるかなと思っています。その点でこのアルバムが優れていると私は感じています。メンバーもインタビューで「面白いアルバム」とか、「やりたいことを何でもやる」とかそんなようなことをしゃべっています。

個別楽曲解説

・モノノケハカランダ
 他の志村期のアルバムと比較してもなかなかとっつきにくい曲で、志村正彦特有のへなちょこロックでこのアルバムは始まります。理解しようとしてはダメです。とにかく体で聴きましょう。この曲はライブでも演奏率が高かったはずです(2024年の東京ガーデンシアターでもやっていました)。

私は志村の作る「勉強できる子が、夜に殻を破って暴れまくっている」ような曲が大好きでして、この曲はまさにドストライクなのです。
 そして、この曲が一発目に流れ出すことによって、「相手をぽかんとさせに来る感じ、そしてそれをニヤニヤ見ている感じ」がまさにフジファブリック的で変態だなあと感じます。


・銀河
 続けて変態的な曲を紹介してすみません。ただ、この曲がフジファブリックで一番好きな曲なので、勘弁して下さい!
 中学のとき、この曲を友達に紹介したのですが、「イントロが終わって歌い出してすぐ聴くのをやめた」と言われたことがあります。バックサウンドはやたらかっこいいけど、歌詞が意味わからない。これがフジファブリックらしさで、合わない人もいるかなとは思います。実際私の友達は合わなかった。

 最近、(2025年現在)applemusicだと、上位20曲目くらいにランクインしているため、人気が少し衰えてきたかなあと思いますが、YouTubeだと、700万回再生をたたき出しております。これは「若者のすべて」、「赤黄色の金木犀」に次ぐ再生回数です。ある程度の大衆性があるからなんですかね。ちょっと今の時点では、なんでこんなに人気があるかわからないです。
 ただ、2016年ごろ、とにかく踊れるような曲を作るバンドがそれなりにいて、「あんたら絶対フジファブリックに影響受けているだろ」くらいのバンドがへなちょこソングを作っていました。だからこそ、意外と「銀河」が受けているのかもしれません。(フジファブリック自身も奥田民生やユニコーンの影響を受けていますが。)

 ちなみにフジファブリックは、メジャーデビューしてから1年間4作連続で季節に沿ったシングルを出しています。通称「四季盤」と呼ばれますが、この曲は四季盤の最後であり、冬をイメージした曲になっています。全くわからん。

・birthday
 志村正彦は、昔プロ野球選手になりたかったらしく、野球に熱中している少年でした。転機となったのは、中学三年のときに見た、奥田民生のライブです。そこからプロミュージシャンを志しました。売れること、有名になることを全く隠さずストイックに音楽にひたむきに接してきた志村正彦が作ったバースデーソングです。だからこそ、「体が二つあるなら僕はもっとすごいことをやっていた なんて思ったら自信家?」や「昔なりたかった自分とはかなり違う現実をみてる よくある話かい」といった歌詞がより響くんです。

 私的には非常に思い入れが強い曲で、最初にフジファブリックを知った3曲のうちの一つなんです。小学校一年生のときからかれこれ16年この曲を聞いてきて、年々誕生日の重さも変わってきました。もう誕生日だけで表面的に喜べる年齢ではなくなりました。もちろん今でも祝ってくれる家族・友達がいるわけですが、それぞれがそれぞれに隠し事や責任を負っていて大人になったんだという感覚がどうしても付きまとってしまう。
 それでも、曲としてそこに存在している限り、音楽は逃げも隠れもしないわけです。だからいつでもこの曲は見守ってくれている感じがして、この曲はちょっとしたやる気を私に吹き込んでくれます。誕生日だからこそ少し肯定してくれる、そんな曲です。

・茜色の夕日
 『FAB FOX』はこの大名曲で終わります。これは志村正彦が高校を卒業し、東京に上京したときに作った曲で、アルバムの中で唯一インディーズ時代に制作された曲です。フジファブリックの特徴として、よくわからない世界観の楽曲と、心情をストレートに吐き出す楽曲がありますが、この曲は後者の方です。そして、後者の中でも、志村やメンバーが非常に大切にしていた曲でもあります。志村の死後、ほとんどこの曲をライブで演奏していません。(私は運よく、2024年8月4日に東京ガーデンシアターで演奏したところを見ましたが、まあバカみたいに泣きました)

 私は特にこの曲の優れている点として、誰でも簡単に想像できる風景がこの曲に詰まっている点を上げます。もちろん日本は広いので、様々な風景の夕日を想像すると思いますが、私はどうしても田舎育ちなので、五時のチャイムが鳴って友達の家から帰るときの夕日とか、学校帰りの田舎道を歩いているときの夕日を想像して黄昏ます。
 でも、どこにいても夕日を見てちょっと自分の人生を振り返ってしまうことって誰にでもあることだと思うんですよね。見てきた景色や体験は違うけど、誰でも夕日を見て黄昏てしまうことは同じ。この普遍性を変にごまかさずにストレートに歌ってくれるからこそ、この曲はだれもが認める名曲なのだと思います。

おわりに


 初めて書くにしては、やたら長くなってしまいましたが、これでも端折ったほうです。本当は前編後編でやるつもりでしたが、書くのが大変なので辞めました。他にも紹介したい曲がいっぱいあったんですが、(Sunny Morningとか、虹とか、マリアとアマゾネスとか、唇のソレとか!)あとはみなさんぜひ聴いてみてください。このnoteきっかけに、『FAB FOX』を聴いてみようかなと一人でも多く思ってもらえたら幸せです。また、次の記事でお会いしましょう。

参考文献


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