的は射るのか得るのかどっちやねん
「的を得た発言」
「的を射た発言」
ネットのコメントやサムネでも観測される2つの言葉。
どっちが正しいのか。
その謎を解明するため、我々調査隊はアマゾンの奥地へと向かった――。
まずは的(まと)の意味。
1 弓や銃砲などの発射の練習の目標にする道具。円形・方形など各種あるが、普通は中央に黒点を描いてある。標的。「—をねらう」
2
㋐物事をするときの目標・対象。めあて。「非難の—になる」「受験校の—を絞る」
㋑物事の核心。「—をそれた質問」
3 紋所の名。1を図案化したもの。
的(まと)は、遠距離武器の目標にするもの。
転じて、目標や対象を表した言葉です。
次に「的を射る」の意味と使われ方についてNHKの見解。
「的(まと)」は、弓や銃砲の発射練習の際の目標のことです。「的を射る」は、「矢や弾を的に向かって放つ。また、放った矢、弾が的に命中する。」(日本国語大辞典・小学館)ことから、「的確に要点をとらえる」ことを意味するようになりました。「的を得る」という言い方も慣用的に使われるようになっていますが、「的を射る」が本来の言い方です。放送では「的を射る」を使っています。
「道理にかなっている」ことを意味する「当を得る」との混同から使われるようになったのでしょうか。
最近だと国語辞典では「的を得る」でもOKということになっているようですね。
では、なぜ誤用・誤った使い方が浸透してしまうのか。
物事の要点を捉えたときに使う言葉は以下のような言葉があります。
・要領を得る
・納得
もしかしたらこれらの「得」という文字と「的を射る」が混ざっているのかもしれませんね。
個人的には「的を得る」のニュアンスだと、「的をゲットする」
射撃訓練で的をゲットするのはなんか違和感を感じます。
的は射抜くものでしょと。
と色々書きましたが、揚げ足取り・言語警察のように私はそこまで言葉に厳しいわけではないですと注意書きしておきます。
(とはいえ「的を得る」に関してはムズムズする)
私は学生時代社会言語学の分野を専攻していました。
言葉は変化するものですから、当時間違っていたとされる「的を得る」が権利を獲得する過程を見るのは興味深いと思います。
言葉の誤用を是としてなぜ誤用されるのかを研究する分野ですね。
「御前」も「貴様」も元々敬語表現だったのに、今では目下に使う人称表現になってますし、そのうち「的を得る」もOKな時代が来るんでしょうね。
私が国語の講師をする上では「現時点では正しいとされる文法や表記状のルール」に対しては生徒の作文に指摘していました。
受験国語は合否を決めなければいけないですから、合っているか間違っているかハッキリしている表現は残念ながら容赦無く指摘しないといけないんですよね。
例えば「ら抜き」言葉も公的文書以外なら別に寛容でもいいと思っています。
反面、「ら抜き」での受け身・可能・尊敬・自発を意味する「れる、られる」を知ってないと楽しめないレトリックもあります。
例えば、『注文の多い料理店』。
二人の紳士がやってきた料理店は注文が多い。
全身に酢の匂いのする香水をかけたりクリームを塗ったりしなければいけない注文が多く違和感があるなかでの看板がこちら。
「料理はもうすぐできます。
十五分とお待たせはいたしません。
すぐたべられます。
早くあなたの頭に瓶びんの中の香水をよく振ふりかけてください。」
文脈と大きなネタバレにはなりますが、この「すぐたべられます」はダブルミーニングなんですよね。
(料理を)すぐたべられます。
(お前たちが)すぐたべられます。
という2つの意味は含まれていることを知った時の爽快感ね。
小学校の国語でこれを習った時に国語文法が好きになりました。
やっぱら抜き言葉は肯定しつつも正しい文法は教えた方がいいかもですよね。
もしくは『注文の多い料理店』が古文寄りの教材になるかですね。
と、色々言葉に思案してますが、こんな感じで改めて正しい言葉の意味や使い方を調べるのも楽しいです。
気をつけるのは、真の言葉の意味を知ったとしてもあたり構わず知識をひけらかさず、すぐに揚げ足を取らないこと。
雄弁は銀、沈黙は金でございます。
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