日本一小さな市に移住してみた。
人口が2600人ほど。日本で一番小さな市、「歌志内市」。
夫のふるさとである歌志内市に移住して、もうすぐ一年になる。
どこから移住したかというと、南米大陸最大の都市ブラジル・サンパウロから。
最大から最小へ。南半球から北半球へ。季節も真逆、昼夜も真逆。
雪の降らない亜熱帯地方から豪雪地帯北海道の空知地方へ。
何もかもが真逆の土地に心身が慣れるまで、もう少し時間がかかりそうだが、思っていたよりもずっとスモールシティ・歌志内は居心地が良い。
これは意外だった。
私がサンパウロで野生のパパイヤやアボカドを食べながら見たインターネットの記事では「消滅可能性№1のまち歌志内市」というあまりうれしくない話題でマスコミ取材を受けていたようだ。ところが実際にこの場所に住んでみると、まるで別荘地のような心地よさなのだ。
札幌まで車で約1時間ほど。旭川市までは1時間かからない。近隣市町までも車さえあれば買い物も通勤もあっという間。
まるで隠れ里のように山に囲まれ、静かで、毎朝窓を開ければ「ここは軽井沢?」というような風景が見える。スキー場もすぐそこにあり、立派なロッジや「チロル風」宿泊施設がある。スキーやスノーボードをたしなむ人にとっては「ここはスイス?」というパウダースノーが待っている。
実際に住んでみないとわからないものだ。
元、炭鉱で栄えたまち、ということで、「一山一家」と言われた炭鉱の人たちの助け合いの精神や、よそ者(私などまさにそうだ)に対する偏見のなさ、も移住者にとっては大切な要素だといえる。
今、歌志内市はその炭鉱の遺構に新たな価値を見出して「炭鉄港」(炭鉱、鉄道鉄鋼、そして港湾の遺構を活かした活動の総称)をまちの活性化に取り入れ始めた。
72年前に炭鉱の娯楽施設として建った「旧上歌会館(悲別ロマン座)」(異端の建築家、傑出したモダン建築家、渡邊洋治の現存する初期作品!)は、もうすぐ「日本遺産」の構成文化財に認定される予定で、建築マニアや古い遺構巡りが好きな人にとっても魅力的なまちと言える。
この頃、歌志内の人たちに「あなた、もう10年くらい歌志内に住んでいる人みたいよね。」と言われるようになった。
水が合う、って、こういうことなのかもね。
