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本の虫になった、ある春の日

朝からお天気がよかったある日のこと


気持ちのいい青空が広がって
足もとには、黄色やピンクの小さな花が風に揺れている


シロツメクサも楽しそうに咲いて
そばを歩いていると、草花の香りがしてきた


風は時折、私の前髪を乱していく

せっかくセットしたのに


でも
日差しが暖かくて気持ちがいいから

何でもいい



最近、本棚にあった小説を読み返している


息子が中学生の時に、学校への行き帰りの電車の中で
読んでいた推理小説だ



「この本、ほんとに面白いよ。お母さんも読んでみて」
と、私に言ってくれたので読み始めたものの
少し読んでそのままになっていた


当時の私は忙しく、時間も心にも余裕がなかったのだろう


息子が大人になってもまだ、それはきちんと本棚に収まっている



𓂃𓈒𓏸

先日、息子と本屋へ行った時
息子は漫画ではなく、小説を買っていた


てっきり、また漫画を買うのかなと思っていたので、少し驚いた


「ああ、ちゃんと字を読むんだな」
と、変に驚いてしまったのだ


そういえば私も、何年か前に小説を読んでたな―


何の本だったっけ?



途中まで読んでそのままだった小説を
何年かぶりに「読もう」と思った




息子が中学生の頃
「この本、ほんとに面白いよ。お母さんも読んでみて」
とすすめてくれた本



あの時、きちんと読んで
感想を返せなかったことが
少し後悔として残っている


だから今は
一字一句を追うように読む

読み飛ばしたりなんかしないで…



丁寧に読んでいると、面白い


時間が経つのも忘れて
読み耽って


私は久しぶりに
「本の虫」になった


本の虫となった私は
外が暗くなるまで
きっと気がつかない


そして夜


眠たくなるまでの
静かな時間


私はまた虫になっている


今日はそれでいい




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